[バイクビギナーライテク] 内側のヒザを開くと、なぜ曲がりやすくなるのか!?

内ヒザを開いてコーナリング

●文:ライドハイ編集部(根本健)

1964年頃からGPレースで始まった、内ヒザを開くスタイル

ヒザ擦りどころかヒジ擦りすら珍しくなくなったレースシーン。そこまでアグレッシブでなくても、ワインディングでそんなに深くバンクしてないのに内側の膝を開いているライダーを見かけたことがあるはず。

コレ、ヒザを擦りたくて突き出しているのではなく、こうするとカーブが曲がりやすくなるからだ。

1980年代の腰を思いきり落としたハングオン(オフともいう)スタイルが流行るずっと前の1964年頃、ホンダやヤマハの高回転ハイパーGPマシンが台頭してきたタイミングで、それまで両ヒザを閉じたリーンウイズだったのに対し、当時のトップライダーだったジム・レッドマンやマイク・ヘイルウッドなどが次々に内側の膝を開き出した。それが、たまにヒザ頭を路面にタッチするライダーも出現する、完全に主流のライディングスタイルとして定着したのだ。

1966年ドイツGP|J.レッドマン/M.ヘイルウッド

1966年ドイツGPのJ.レッドマンとM.ヘイルウッドと250cc6気筒RC166。それまでレースでもリーンウイズだったのが、細いタイヤでも軽いリーンインと内膝を開くフォームが定番に。

もちろんGPレプリカブームの前でも、峠の腕自慢ライダーたちは内ヒザを開くフォーム。曰く「内側に空気抵抗を作って旋回しやすくなる…」などと専門誌が謳う怪しげな言葉を素朴に信じていた(?)、ある意味平和な時代でもあった。

じつは体幹で重心を内側下方向へ移動する効果が得やすい姿勢

この内ヒザを開くフォーム、ただのカッコだけではない。効果としては、リーンウイズのフォームのまま体幹で重心を内側下方向へ移動させるという、効率は良いものの経験の浅いライダーには難しい動作に対して、この内側のヒザを開くことで似たような状況を生み出せるのである。

ただし、内側のヒザをただ横へパカッと開く動作では、効果は半減以下だ……

※本記事は2022年6月16日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。