
●文:ライドハイ編集部(根本健)
CVCCエンジン開発によりマスキー法をクリアしたホンダの、その先は?
1970年代、どのクルマメーカーもお手上げだったマスキー法という排気ガス規制に対し、ホンダは全社のエンジニアを投入してCVCCエンジン開発を成し遂げ、世界に認められた。
その後、しばらく新型スポーツバイクを開発できなかった期間の巻き返しを図るホンダの大攻勢は、1970年代終盤にご存じCB750/900Fからスタート。無敵だった耐久レーサーRCBの直系DOHC4気筒に、待っていたホンダファンは狂喜した。
しかしその影で、じつはホンダが本当の意味で大改革を狙った切り札がデビューしていたのだ。
それは、まさかの縦置きVツインでシャフト駆動のGL400/500(輸出名はCX500)。当時のバイクファンが期待する路線ではイメージすらしていなかった、新しい次元のコンセプトで開発されたバイクだった。
ホンダが反転を期した大攻勢で、次世代のスポーツバイクは高速でタンデムする快適スポーツツーリングモデルへ。そしてそれまでのホンダらしさを脱ぎ捨てた、発想がまったく異なるテクノロジー開発が込められていたのだ。
膝頭が当らないよう22度ひねったシリンダーヘッド。そのためOHCが使えずOHVで開発!
高速道路を長距離クルージングするためのシャフトドライブ。そのシャフトドライブで安定性に優れ、かつ軽快な車体構成とするエンジンは、縦置きVツイン。
スリムな設定を狙った80度のVバンクは、クラッチを1次減速で逆回転させる縦置きの反トルクを打ち消す画期的な構成。そして大容量のフライホイールの採用で、低速での力強いトルクと高速での滑らかな回転…さらには初の水冷化で高出力でも安定した性能を可能としていた。
それまで高回転/高出力で多気筒化がブランドの必須イメージだったホンダが、まるで自らを否定するような構成に、多くのファンは半ば唖然としていた。
それを決定づけたのが、ホンダの代名詞のように思われていたDOHCではなく、なんとローテクイメージだったOHV、プッシュロッドでバルブ駆動するエンジン型式だった。
そのOHVを採用した理由とは……
※本記事は2023年3月20日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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