![スズキGSX400E[名車バイクレビュー] あえてツインに徹した熱血マシン](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/11/rd-suzuki-gsx400e.jpg)
●文:根本健(ライドハイ編集部)
2ストメーカーだったスズキが4バルブで一気に追い抜く算段の400は、ツインの急先鋒に賭けていた
スズキは、1975年まで生産車すべてが2ストロークで、4ストバイクは皆無。GT380やGT750の3気筒マルチシリンダーも2ストエンジンだった。
そして1976年、DOHC4気筒のGS750(続いてGS1000も投入)、DOHCツインのGS400で、先行していたカワサキとホンダに肩を並べることに成功。
ここで次に一気に追い抜き先頭へ躍り出るための高性能化が何よりの命題だった。
その切り札が、2バルブ→4バルブ化とともに、このバルブ配置を利用したTSCCエンジン。
燃焼室に吸気バルブと排気バルブがそれぞれ対で向き合ったふたつのドームとすることで、スワール(渦流)を生じさせて、伝搬を含め燃焼効率をアップしようという技術だ。
これには各気筒の燃焼室の大きさも鍵を握っているので、スズキは750/1000ccクラスで開発したノウハウを、一番メジャーな400ではボアが小さくなる4気筒ではなく、4バルブの2気筒とすることが必須となる。
すでに1972年にホンダはCB350フォアでミドルクラスにも4気筒化をスタートさせていたが、スズキは各気筒の排気量が小さくパワフルではない4気筒はあり得ないと、ひたすら2気筒路線にこだわっていたのだ。
180度クランクでバランサー駆動、超高回転域までまっすぐ伸びていく傑作ツインの誕生
ボア67mm×ストローク56.5mmの並列ツインは、399ccで44ps/9.500rpm、3.7kgm/8.000rpm。並んだピストンが交互に往復する180度クランクなら、高回転域でアタマ打ちにならない特性からあえて採用。不等間隔爆発で振動を打ち消すバランサーを駆動する、とにかくブン回して乗ってほしいというなんとも過激なエンジン特性を引っ提げて、GSX400Eは1980年に登場した。
180度クランクの低回転域は得意ではないが、中速域ではパルシブなトラクションでコーナリングしやすいチューニングに徹していたのと、フレームは可能なかぎりコンパクトな設計として、軽快で正確なハンドリングを目指していた。
次いで1981年には、フロントのブレーキをダブルディスクとしたり、ミニカウルを装備したS対応も追加、しかしフラッグシップのGSX750E/GSX1000Eが、鼻息荒く乗り込んだわりにいまひとつ人気とならない状況と同様に、GSX400Eもいまひとつなまま。
しかし4気筒のビッグマシンのほうは、このタイミングであのKATANAが登場することとなり、4気筒のTSCCエンジンはこの大ヒットで大量生産されることとなったのだ……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
初の2ストGPマシンNS500を応援するホンダファンは3気筒のエンジンのMVX250Fに目が釘づけ! 1979年、ホンダは世界GP復帰宣言で500ccの4ストロークV型4気筒(当初はオーバルピストン3[…]
2ストロークで大型フラッグシップの高級路線へ挑戦! ホンダが1968年にCB750フォアで世界の大型バイク・メーカーに挑戦を開始すると、スズキも高価格で利益の大きなビッグバイクへのチャレンジを急いだ。[…]
ゼファーとは真逆のコンセプトで独り勝ちを掴む! 1989年のカワサキZEPHYR(ゼファー)をきっかけに、カウルのないフォルムをネイキッドと呼ぶカテゴリーが瞬く間に人気となった。 続いて1991年に、[…]
ネイキッドブームの立役者もライバル続出で遂に対抗刷新! 1989年、カワサキがリリースしたZEPHYR(ゼファー)は、レーサーレプリカ熱が冷めたタイミングもあって、瞬く間に400ccクラスの販売トップ[…]
カラーオーダープランにはじまり車体をツートンに塗り分けるまでに! ホンダは1991年、250ccの4気筒カムギヤトレイン、CBR250FOURやCBR250RをベースとしたJADEを投入した。 JAD[…]
最新の関連記事(ネモケンのこのバイクに注目)
新型4気筒を待ち焦がれていたホンダファン CBにXが加わった車名のCBX400Fは、1981年10月にデビュー。バイクブーム真っ只中で爆発的な人気を誇ったホンダの切り札となったマシンだ。 実はカワサキ[…]
ボクサーエンジンの誕生、最強バイクとして世界中でコピー BMWといえば、2輪メーカーとしてスーパーバイクS1000系からボクサーのRシリーズなど、スポーツバイクで世界トップに位置づけられるメーカーだ。[…]
特別な存在をアピールする“衝撃”=IMPULSEと名付けたバイク スズキには、1982年から400ccネイキッドのシリーズに「IMPULSE(インパルス)」と銘打ったバイクが存在した。 IMPULSE[…]
250ccの4気筒はパフォーマンスで不利。それでも届けたかった4気筒の贅沢な快適さ 250ccで4気筒…。1982年当時、それは国産ライバルメーカーが手をつけていないカテゴリーだった。 1976年にD[…]
一般公道は乗りやすさ最優先、そのコンセプトを後方排気でピュアレーシーへ ヤマハは、1980年にレーサーレプリカ時代の幕開けともいうべきRZ250を発売。一躍250ccをビッグバイクを凌ぐパフォーマンス[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車 | スズキ [SUZUKI])
ゼロハンが一番熱かった夏 多くの若者がバイクを愛し、GPライダーが同世代共通のヒーローとなった1970年代後半。 それでもフルサイズの“バイク”は、経済的理由や悪名高い“三ナイ運動”の影響からなかなか[…]
2ストロークで大型フラッグシップの高級路線へ挑戦! ホンダが1968年にCB750フォアで世界の大型バイク・メーカーに挑戦を開始すると、スズキも高価格で利益の大きなビッグバイクへのチャレンジを急いだ。[…]
「世界初の量産250ccDOHC水冷4気筒エンジン」が生み出す最上の乗り味 1983年3月。デビューしたてのGS250FWに乗った印象といえば「速い!というよりすべてがスムーズ。鋭い加速感はないけど必[…]
アンダー400並列二気筒の代表モデル 第一世代 GSと他3車は異なるモデルだった とりあえず第一世代としたけれど、’70年代中盤に登場した400ccクラスの4スト並列2気筒車の中で、日本の中型限定免許[…]
“水冷”と、その存在感から「ウォーターバッファロー」の愛称も 1971年の東京モーターショーにGT750が出品された当時、観客はラジエーターの大きさや、フィンの見えないシリンダーブロックに目を丸くした[…]
人気記事ランキング(全体)
デザイン刷新&Eクラッチ採用の2024年モデルからカラーバリエーションを変更 ホンダは欧州で、2024年モデルのマイナーチェンジでデザイン変更とEクラッチ(Honda E-Clutch)搭載仕様の追加[…]
新型CBは直4サウンドを響かせ復活へ! ティーザー画像から判明したTFTメーターとEクラッチ搭載の可能性 ホンダは中国がSNS『微博』にて、新たなネオクラシックネイキッドのティーザー画像を公開したのは[…]
電子制御CVTにより街乗りもスポーティ走りも思いのまま! ヤマハは、インドネシアや日本に続いて新型スクーター「NMAX155」を欧州市場に投入する。これまでNMAX125のみラインナップ(一部地域では[…]
ゼロハンが一番熱かった夏 多くの若者がバイクを愛し、GPライダーが同世代共通のヒーローとなった1970年代後半。 それでもフルサイズの“バイク”は、経済的理由や悪名高い“三ナイ運動”の影響からなかなか[…]
低く長いデザインが個性マシマシ! レトロモダンなボバークルーザー 中国から新たな刺客がやってきた! ベンダは2016年設立の新興メーカーで、独自設計のエンジンを搭載したクルーザーを中心に、ネイキッドな[…]
最新の投稿記事(全体)
3.7kWのパワートレインに14インチホイールやコンビブレーキを組み合わせる ホンダが新基準原付モデルを一挙発表。10月末をもって生産できなくなる現行50cc原付を代替するモデルとして、市民の足を担っ[…]
それぞれホイール色も異なるカラー展開 カワサキがZ650RSの2026年モデルを発表した。カラーバリエーションは2色とも新色に置き換わり、黒ボディにレッドストライプ&レッドホイールのエボニー、メタリッ[…]
前輪にディスクブレーキ+ABSを採用、前後キャストホイールなど通常版110に準じた装備 ホンダが新基準原付モデルを一挙発表。10月末をもって生産できなくなる現行50cc原付を代替するモデルとして、市民[…]
世界初公開の2機種はいずれもモーターサイクル カワサキが発表したジャパンモビリティショー2025出展モデルで確定しているのは、日本初公開となる「Z1100 SE」、スーパーチャージドエンジンを搭載した[…]
重点的な交通取締り場所は決まっている 安全運転を心がけていても、パトカーや白バイの姿を目にすると、必要以上にドキッとしたり、速度メーターを確認したりするといった経験がある、ドライバーやライダーは少なく[…]
- 1
- 2