塗料開発製造メーカー・BAN-ZI製の「サビキラープロ」は、サビの上から塗るだけでサビの進行を止める、たしかに便利だ。だがバイク用パーツのサビは、上から塗るのではなく根こそぎ取り除きたい。「サビトルキラー」「サビタンキラー」は、そんな絶版車オーナーにこそ活用してもらいたいアイテムだ。
●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:株式会社BAN-ZI
旧車や絶版車のメンテナンスに最適。使い勝手の良い水性&中性タイプ
塗装やメッキで表面処理を行っても、進行していく金属のサビ。旧車や絶版車ユーザーにとって、サビは常に悩みのタネだ。
サビの上から直接ペイントできる錆転換塗料「サビキラープロ」と防錆塗料「サビキラーカラー」、そして今回紹介する錆除去剤「サビトルキラー」「サビタンキラー」は、いずれもサビの専門メーカーであるBAN-ZIが開発した製品だが、アプローチの方法がそれぞれまったく異なるのが興味深い。
サビトルキラーもサビタンキラーも金属表面のサビを除去する製品で、サビキラープロのような塗料ではない。そのため、サビに覆われたクロームメッキパーツのように、サビは落としたいが質感は変えたくないという場面で最適。
スプレーボトルで吹き付けるサビトルキラーの主成分はチオグリコール酸塩で、スプレー後30秒程度で反応が始まり、5〜10分待つと赤紫色に変色した溶液が流れ落ちる即効性が特長。この反応はブレーキダストクリーナーにも共通するもので、サビとともに鉄粉除去にも使用できる。
一方のサビタンキラーは、有機酸アミン塩がじっくり反応してサビを落としていくタイプで、ガソリンタンク内部のサビ取りに適している。また、バケツに入れたサビタンキラー溶液にパーツを浸せば、表面のサビ取りにも使える。どちらも金属素材や環境や肌に優しい中性タイプなので、安全に使えるのも魅力。
ワイヤーブラシなどで擦らなくてもサビが溶けるように落ちるサビトルキラーも、手が届かないガソリンタンク内のサビも確実に除去するサビタンキラーも、旧車や絶版車のメンテナンスやレストアには欠かせないアイテムである。
サビを研究し尽くしたBAN-ZIが開発したサビ取りケミカル
サビに対抗すると言っても、赤サビを不活性化する錆転換塗料のサビキラープロと、錆自体を取り除くサビトルキラーやサビタンキラーの原理は別。この2製品も成分や特性が異なり、それぞれに得意分野がある。ただどちらとも、性質を理解して使えばサビ取り効果が秀逸なのは確かなので、錆に悩むサンデーメカニックは活用すると良いだろう。
サビトルキラー:スプレーすれば赤サビが溶け出す即効性が魅力
鉄やステンレスのサビだけでなく、プラスチックやコンクリートに付着したサビ汁(サビ汚れ)にも反応するため、幅広いジャンルで効果を発揮する。スプレーすると秒単位で赤紫色に変色する反応の早さも特長で、目の前のサビを今すぐ落としたい時に好都合。すすぎ後は防錆処理を行うと良い。
クロームメッキのサビはメッキ表面の目に見えないクラックから浸入した水分が原因となって発生し、コンパウンドなどで物理的に磨いても取り除けない。サビトルキラーは成分中のチオグリコール酸塩がサビを溶かすため、表面のツブツブ感がなくなるのが特長。
サビ部分に確実に付着させるため、油汚れや泥汚れは事前に洗い落としておくことが重要だが、水分が残っているとサビトルキラーが定着せず流れてしまうので、しっかり拭き取ってからスプレーする。
独特の匂いとともに、サビに付着すると10〜30秒ほどで赤紫色に変色が始まり、そのまま5〜10分程度放置した後に水で洗い流す。
クロームメッキ被膜の奥から出てきたサビの痕跡は残るものの、メッキ自体の光沢は回復し、メッキの表面を指先でなぞってもサビが引っかかることはない。
一度で落ちきらない場合は、洗い流した水を拭き取った後に再度スプレーする。短時間で確実にサビに反応するのが最大の魅力だ。
サビタンキラー:根深いサビは漬け込み処理を。20倍希釈で繰り返し使えるエコタイプ
サビタンキラーは水やぬるま湯で20倍に希釈して使用する。製品が1Lなので、ガソリンタンク容量20Lまで1本で対応できる。
サビの程度が酷いからといって、水を減らして濃度をアップしてもサビ取り効果がアップするわけではない。一度でサビが落ちきらなかった場合は、20倍に希釈した溶液で再度サビ取りを行う。
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