
一向になくならないバイクの盗難。ワイヤーロックやディスクロック、バイクカバーや厳重な鍵をかけたガレージに収納するなど、盗難対策のアイテムや方法は多岐にわたる。そんな盗難対策にプラスすると、もし万が一盗難されても見つかる可能性が出てくるアイテムが、この「POLARISS.NET」だ。
●文&写真:モトメカニック編集部(栗田晃) ●外部リンク:OWL-TY
決して逃げられない、切実な“盗難問題”
すべてのライダーにとって切実な盗難問題。自宅はガレージ保管だから安心と言っても、出先で被害に遭わないとも限らない。令和4年1〜12月で全国の警察が認知した盗難件数は8000台あまりで、一日平均22台が被害に遭遇している事実を知ると(警察庁犯罪統計)、気軽に出かける気も失せてしまう。
地面のアンカーにつなぐチェーンやU字ロック、警報音を発するアラームなどの盗難対策商品が“停車/駐車所から移動されない”ことを目的としているのに対して、車体に搭載した専用端末によって“停車中も移動された後も常に位置情報を把握できる”のが、IoTを活用したPOLARISS.NETである。
名刺サイズ程度のコンパクトなPOLARISS.NETには、
- 3つの衛星信号を同時受信して常に正確な位置情報を把握する。
- 大手キャリアの通信網を利用して位置情報を知らせる。
- ユーザー自身が直接POLARISS.NETを操作できる。
という3つの特徴がある。
セキュリティ企業が提供する同様のサービスの場合、位置情報の把握などは企業側が行うのが原則なのに対して、POLARISS.NETは、ユーザー自身がスマートフォンの通信アプリ・LINEで操作でき、異常発生時もスマホに直接通知されるため、初動対応がカギとなる盗難に対してきわめて有効だ。
またGPSによって得られた位置情報や移動軌跡はGoogleMap 上に表示されるので、捜査を要請する際にも強力な手がかりとなる。
もちろん、車体に積んだPOLARISS.NETが見つかり、破壊/遺棄されたら終わりだが、U字ロックやアラームと合わせて重層的に使用することで、盗難対策レベルは確実に向上する。大切な愛車を守りたいユーザーにとって、頼りになるアイテムになるはずだ。
【OWL-TY POLARISS.NET】●本体サイズ:約83×49×13.8mm ●電池容量:1500mAh ●位置情報:GPS/GLONASS/みちびき ●価格:本体1万5000円(税抜)月額通信費1980円(税抜) カモフラージュケース+電源コード9800円(税抜)
株式会社OWL-TYがサービスを提供する「POLARISS.NET」は、日本の京セラ製の端末を使用する。本体に容量1500mAhの電池を搭載し、通常環境下においては充電なしで1か月以上使用できるスタンドアローンタイプ。車体側の配線加工は不要なので、絶版原付モデルにも使用できる。端末位置をスマホに通知する通信用として、またPOLARISSのサービスを利用するためのパケット使用料として、本体価格とは別に月額使用料が発生する。
初期設定から監視操作まで、すべてをLINEで行うPOLARISS.NET
スマホユーザーに普及しているLINEで操作できるのが、POLARISS.NETの大きな特徴。不正にジオフェンス外に移動された場合は、通知と同時に追跡を開始する。
GPSによる監視範囲「ジオフェンス」の設定や、監視開始と監視解除などすべての操作は、スマートフォンのLINEにインストールしたソフトで行う。移動中の軌跡はGoogleMap上に記録されるため、盗難後の追跡ができ、捜査依頼時の具体性が大きく向上するのが、既存の盗難対策用品との最大の違いだ。
配線作業が不要で、シート下部や車載工具トレイなどどこにでも収まるのがスタンドアローンタイプ(独立型)の利点。一方で、POLARISS.NETの搭載を警戒する窃盗団対策のためには、見つかりにくい場所に設置することが重要。バイク用POLARISS.NETの総代理店であるビーズガレージでは、バイク用部品のようなケース(画像はプロトタイプ)を用意。
本体は内蔵バッテリーで駆動するので、定期的に取り外し充電をする必要がある。そこで、取り外しが難しい場所に設置した際の充電用コードをオプション設定。充電用コードをバイクのバッテリーに直結しても、POLARISS.NETの電池残量は本体内部のモニターで検知して放電量に応じて充電するため、定期的にバイクに乗ればバッテリー上がりのリスクは少ない。
バイク用POLARISS.NETの総代理店を務める、ビーズガレージ代表の湯浅泰司さん。20年近く会員制レンタルガレージを運営する中で、外出先での盗難を恐れてガレージから出かけなくなるユーザーの声を聴き、盗難対策グッズの重要性を強く認識したという。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
モトメカニックの最新記事
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
ギボシ端子取り付けのポイントをおさらい バイクいじりのレベルやセンスは、その人が手がけた作業の跡を見れば一目瞭然。電気工作なら配線同士をつなぎ合わせる際、芯線をねじってビニールテープでグルグル巻きにし[…]
バイクとの親和性はスマホを圧倒的に上回る AKEEYOが販売する「AIO-6LTE」は、太陽光の下でもはっきり見える視認性の高い大型6インチのIpsモニター、Wi-FiとBluetoothによるスマホ[…]
販売終了が続く絶版車用純正部品を信頼のMADE IN JAPANで復刻 長期間不動状態だったバイクを再始動する際、キャブレターやガソリンタンクの状態もさることながら、クラッチの張り付きも懸念事項のひと[…]
最新の関連記事(ポラリス)
誰にとっても他人事ではないバイク盗難問題 盗難対策に“絶対”はない。こう言ってしまうと身も蓋もないが、バイクの盗難自体は間違いなく深刻なのにもかかわらず、決定的な対抗手段がないのが現実だ。 警察庁が毎[…]
IoTを使った最新盗難対策「POLARISS(ポラリス)」とは? 盗難のことを考えると片時も気が休まることはなく、出先はちろん自宅での保管時にも二重三重のロックを使っているサンデーメカニックも少なくな[…]
盗難台数年間2万台のうち検挙率は僅か15%という現実 第4次バイクブームが到来し、新たに免許を取得しバイクを楽しむ新人ライダーから、久しぶりにヘルメットをかぶるリターンライダーまで、バイク市場を賑やか[…]
他人ごとではない盗難問題。高スペックセキュリティで愛車を守る 自宅での保管時はもちろん、出先で駐車する際にも二重三重にロックを掛けて盗難対策に気を遣うユーザーは多いはず。そうしたアピールは有効だが、突[…]
人気記事ランキング(全体)
125ccクラス 軽さランキングTOP10 原付二種は免許取得のハードルも低く、手軽に楽しめる最高の相棒だ。とくに重要なのは「軽さ」だろう。軽ければ軽いほど、街中での取り回しは楽になるし、タイトなワイ[…]
コンパクトで使いやすいワイヤーロック ヘンリービギンズの「デイトナ ワイヤーロック DLK120」は、質量約90gの軽量設計で、ツーリング時の携行に適したポータブルロックです。ダイヤルロック式のため鍵[…]
日本仕様が出れば車名はスーパーフォアになるか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「Ninja ZX-4R」が登場し[…]
どうする? スクーターのエンジンがかからない ※これはまさに、筆者が直面した実話です。我が家のスクーター(TODAY)に乗ろうと思って、車庫から引っ張り出しました。ちょっと久しぶりですね。エンジンをか[…]
50レプリカのフルサイズからミニバイクレースを経てデフォルメフルサイズへ! VR46カラーのTZR50……実はヨーロッパで1997年から2012年まで生産されていたイタリアのミナレリ製エンジンで、現地[…]
最新の投稿記事(全体)
ライバルとは一線を画す独自の手法で効率を追求 妥協の気配が見当たらない。GS400のメカニズムを知れば、誰もがそう感じるだろう。 フレームはGS750と同様の本格的なダブルクレードルだし、気筒数が少な[…]
車重217kgに600ccクラスの動力性能 2週間前の9月2日に、欧州で「EV FUN Concept」の走行テスト映像を公開したばかりのホンダが、その量産バージョンのブランニューモデルを発表した。ホ[…]
250cc2気筒の水冷Newエンジンだけではないテクノロジーによる軽量化! 1980年、世界中を震撼させたRZ250がリリースされた。 排気ガス規制で1970年代中盤を過ぎると軽くてシンプルな高性能と[…]
PROGRIP専用の信頼接着剤 デイトナ(Daytona)の「グリップボンド PROGRIP 耐振ゲルタイプ専用 12g 93129」は、PROGRIP用に設計された専用接着剤です。容量は12gで、初[…]
日本仕様が出れば車名はスーパーフォアになるか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「Ninja ZX-4R」が登場し[…]
- 1
- 2