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ソケットレンチ専門メーカーとして発展してきたのが、1946年に創業した山下工業研究所(コーケン)だ。ラチェットハンドルの多歯化が流行する中、コーケンは実質的な使い勝手を左右する空転トルクにこだわる。72歯ラチェットハンドルをリリースしたのも2020年と最近だが、以前の36歯モデルも空転トルクが軽く実用性に文句はなかった。だからその快適性を持つ72歯がユーザーに歓迎されるのは至極当然。長い実績のある汎用ソケットシリーズと、次世代のメカニックスタンダードとなるZ-EAL。それらの基本セットを見ることで、専門メーカーならではの真面目なモノ作りへの姿勢がひしひしと伝わってくる。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:山下工業研究所
コンパクトさにこだわるZ-EALと、基本性能の高さが魅力の汎用セット〈Z-EAL 3/8ソケットセット 3286Z/3210M〉
汎用ソケットにはメタルケース入りセットが何種類もあるが、Z-EALのメタルケース入りと同等の内容になる3210Mと比較してみよう。ソケットの入組は汎用セットが6~22mmの16個組、Z-EALは2個少ない7~22mmの14個組だが、Z-EALの方が断然コンパクトなのは一目瞭然だ。
【コーケン Z-EAL 3/8ソケットセット 3286Z】●税別希望小売価格:3万4200円
【コーケン 3/8ソケットセット 3210M】●税別希望小売価格:2万9400円
3210M用ハンドル3753N(右)は24歯でヘッド幅30.5mm/全長200mm。Z-EALハンドル3725Z(中)は72歯でヘッド幅28mm/全長178mm。差込角1/4インチのZ-EAL 2725Z(左)は36歯でヘッド幅20.5mm/全長114mm。
汎用ソケット(下)に対してZ-EAL(上)はギュッとシェイプアップされた印象。3/8同士なら差込部のサイズが同じなので、六角部を浅くして全長を短縮しており、汎用の10mmが26mmなのに対してZ-EALはわずか20mm。
汎用のユニバーサルジョイントは一般的な2軸で、Z-EALは新機構のピンレスボールジョイントの採用で全長を6mm短縮。ラチェットハンドルの鋼球を受けるボールディンプルも新形状として、ソケットと差込部が互いに引き合うことで接合部のガタを排除する。
Z-EAL 3286Zセットのエクステンションバー(75/125/250mm)は、ソケットと同じボールディンプルで差し込み時のぐらつきが少なく快適。クイックスピンナーを追加することで、ハンドルを振らず早回しができる。
汎用セット3210Mのソケットは6~12mmが6角、13~22mmが12角で、どちらも面接触のフラットドライブを採用。スピンナハンドルは、独自の楕円形中間軸で強度と軽量化を両立。
さらにコンパクトな1/4セット〈Z-EAL 1/4 ソケットセット 2286Z〉
3/8のZ-EALでも十分にコンパクトだが、さらに磨きをかけたのが1/4セットの2286Z。差込角やギアが小さくなると、強度確保のため空転トルクが重くなりがちだが、コーケンは独自の爪構造で軽さと強さを両立。ギア数は36歯だが、狭い場所でも快適に作業できる。
【コーケン Z-EAL 1/4 ソケットセット 2286Z】●税別希望小売価格:2万6000円
ソケットは4~14mmの11個組みで、バイクでは7mm以下の出番はほぼない。全長を短縮するために六角部を低くするのは3/8と同様で、10mmソケットの全長はわずか15mmだ。
大人の手の平に余裕で収まるラチェットハンドルの全長は114mm。ハンドルが短いと大きなトルクを掛けにくいが、1/4ソケットは14mmが最大なので実用上の問題はない。
ソケット外径が細い1/4 Z-EALにとって、ハンドルを振らずにソケットを回せるクイックスピンナーは作業性向上の必須アイテム。単品でこれだけ購入しても価値がある。
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