
バイク趣味は年齢やキャリア、好みに合わせて広がっていく。まだまだ知らないスポーツライディングの世界を求めて久しぶりにレースに出たいと思った。レースといってもシリアスではない楽しめるレースに出たいと思った。連載 第1回は48歳を迎えるオヤジライダーの心境とロイヤルエンフィールド コンチネンタルGTをご紹介!
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:ロイヤルエンフィールド、クシタニ、小川勤 ●外部リンク:ロイヤルエンフィールド東京ショールーム
小川勤(おがわ・つとむ)/1974年生まれ。1996年にえい出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在はフリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導も務める。
サーキットもカフェレーサーで行こう! 新しい挑戦にドキドキ、ワクワク
三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る。論語の一節である。僕は2023年に48歳になるのだが、人生はまだまだ惑い中。ただ「バイクの魅力を伝え続ける」という使命のため、急速に変貌していくメディアのあり方に対応しながら、これからもカタチを決めずに色々と動いていきたいと思っている。
そんな僕にロイヤルエンフィールドのディストリビューターであるピーシーアイが「コンチネンタルGT650でレース走らない?」と声をかけてくれたのはとても幸せなことだ。「走ります!」僕は即答した。というわけで、2023年は九州のHSRというサーキットで開催されている『鉄馬』というレースのMT-ACT(モディファイドツイン・エア・クールドツイン)クラスにロイヤルエンフィールドのコンチネンタルGT650で参戦する。
思いがけない提案に目の前が明るくなったし、心が躍ったのがわかった。いつだって新しい挑戦はワクワクするものだ。聞くところによるとロイヤルエンフィールドはインドでコンチネンタルGTカップというレースを開催しているのだという。
ちなみに僕がこれまでに参戦してきたレースは様々。鈴鹿4耐に3回、菅生6耐やもて耐は数えきれないくらい参加した。僕は、プロでなく趣味のライダーだから、そのすべてがいわゆるサンデーレースである。
ロイヤルエンフィール コンチネンタルGT650
2018年に登場。今の時代に空冷648ccエンジンを新規で開発。最新の技術で高スペックではなく、バイクらしさを追求するのがロイヤルエンフィールドの魅力だ。
インドではコンチネンタルGT650のレースベース車をロイヤルエンフィールドが用意してワンメイクレースを年間数戦開催。これだけ台数が集まるとかなりの迫力!
保安部品を外してロケットカウルを装着した新しいカフェスタイルのレースベース車。ハンドルやステップはハリスパフォーマンス製で、マフラーやシートも変更。リヤサスはリプレイスされ、フロントはバネレートを変更しトップキャップにはプリロードアジャスターを装備。タイヤはインドのJKを装着する。
コンチネンタルGT650ってサーキットを走れるの? という疑問は杞憂に……
市販車の中でもっともブリティッシュカフェレーサーの雰囲気を持つコンチネンタルGT650。エンジンは、空冷648ccのパラレルツインで270度クランクを採用する独特の個性が魅力的な1台。見た目はクラシックだが、最新技術で作られた空冷エンジンは抜群の気持ちよさだけでなく、648ccとは思えない速さも発揮する。
コンチネンタルGT650の詳細はこちら!
ただ不安だったのは、コンチネンタルGT650がサーキットでどのくらい走れるのか? という点。ちょっと想像がつかない。そこで鉄馬が開催される九州のHSRにコンチネンタルGT650を持ち込み、走らせてみた。マシンの整備とレーサー制作を手掛けてくれるのは熊本のバイクショップ「モトジャンキー」の中尾真樹さん。この日のために保安部品を外し、タイヤをピレリ製のファントムスポーツコンプRSに変えてもらった。
コンチネンタルGT650は、クラシカルでカッコいいけれど、昔の英国車と比較すると車格は大柄。ただそんな心配は杞憂だった。ロイヤルエンフィールドの傘下であるハリスパフォーマンス製のフレームはとてもコストのかかったつくりで、ライダーの操作にどこまでもレスポンスよく応えてくれるのだ。エンジンは低中速のパルス感と高回転での躍動感がサーキットでも魅力的だった。
確かに速さはない。でもライダーがコントロールする面白さは格別。電子制御頼みでない操作もとても良い。バイクとライダーがしっかりと噛み合っているこの感じに心が躍る。もちろんバンク角が足りずにスタンドを擦ってしまったり、リヤサスペンションが沈み込んだところから戻ってこなかったり、車重やポジションも気になるが、その辺りはいくらでも改善できるはず。あまり気にする必要はないだろう。
「ロイヤルエンフィールドは車両を販売したら、あとはカスタマーの色に染めていけるバイク。そんな風に楽しめるようにシンプルな作りになっているんだ」という本社スタッフの言葉を思い出す。確かにフレームやエンジンなどバイクの性能を決める根本的なところがしっかりとしているから、ここからどんどん良くなっていきそうな手応えもある。
走行後、今後の仕様や方向性をモトジャンキーの中尾さんと相談。次の走行が楽しみだ。サーキットに佇むコンチネンタルGT650の雰囲気もとても良い。
カフェレーサースタイルは守りたいため、シルエットはほとんど変えずにいきたいと思っている。なので前後タイヤは18インチ。
ピレリ製ファントムスポーツコンプRSは、見た目はクラシックだが、中身は最新の18インチのラジアルタイヤ。このスタイルでラジアルタイヤのフィーリングはとても新鮮! そして、このスタイルでラジアルタイヤの乗り方ができるのは驚異でしかない。深いバンクやスロットルを開けた時に潰れる感じ、さらにコーナーの奥までブレーキを残していった時のフィーリングは感動的だ。
セパレートハンドルやステップなどのポジション系パーツは、京都のカスノモーターサイクルの「AELLA(アエラ)」に制作を依頼。すでに開発に着手しており、シェイクダウンが楽しみ!
空冷648ccエンジン+18インチタイヤが雰囲気。シリアスにならず愉しみたい!
気がつけば、48歳が目前に迫っている。ここ数年はスポーツバイクばかりだった世界からオフロードやアドベンチャーバイクへと守備範囲を広げてみた。新しい仲間も増え、バイクの奥深さを実感している。
でもスポーツ走行をしたくないわけではないのだ。ただ近年のハイパワースーパースポーツ&ハイグリップタイヤでのレースは気持ち的にしんどい。そこでコンチネンタルGT650なら、まだ自分のコントロール下にバイクを置いてレースを楽しめるような気がしたのだが、まさしくその通りの手応えだった。電子制御の介入しない加速はやはり気持ちが良い。
僕が参加する鉄馬のMT-ACTの参加車両は、ドゥカティ、ハーレーダビッドソン、モト・グッツィなど様々。パワー的にはいちばん不利かもしれないけれど(言い訳?)、自分との駆け引きを存分に楽しみたいと思う。
『サーキットもカフェレーサー!』こんな楽しみを普及させ、サーキット走行会も速さよりも楽しさやスタイルを追求する趣味が普及すれば良いなぁと思っている。そして、いつか日本でもコンチネンタルGTカップを開催できることを夢見て楽しもうと思う。
鉄馬の今年の開催は、
4月29日(土)~30日(日) 鉄馬フェスティバル with ベータチタニウム
9月17日(日) 鉄馬 with ベータチタニウム
となっている。
もちろん一緒に走ってくれるコンチネンタルGT650の仲間も募集中です!
Special Thanks
ロイヤルエンフィールド
モトジャンキー
ピレリジャパン
カスノモーターサイクル
クシタニ
アライヘルメット
鉄馬
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
市街地を散策しながら、そのポジションと鼓動を楽しむ まだ眠っている早朝の都内は、とても静かだった。日の出が早くなるこの季節、朝に乗るバイクがとても気持ち良い。コンチネンタルGT650のセパレートハンド[…]
9種類ものバリエーションから好みで選べる ついにクラシック350が発売になった。ついに、と書いたのはその期待値がとても高かったから。ロイヤルエンフィールドは2021年に同系列のエンジンを搭載するメテオ[…]
ロイヤルエンフィールドは空冷パラレルツインを熟成させ続ける 深緑の隙間からINT650に光が降り注ぐ。メッキパーツはキラキラと輝き、アルミ地肌のクランクケースカバーやエンジンのフィンは優しい輝きを放つ[…]
最新技術で昔ながらのバイクらしさを追求するロイヤルエンフィールド 僕は最新バイクでサーキットを攻めるもの大好きだし、ツーリングも好き。最近はオフロードも経験している。色々なバイクに乗るたびに「やっぱり[…]
ロイヤルエンフィールド「ヒマラヤ」、お前はなぜ411ccなのか? ところで、皆さんはロイヤルエンフィールドの「ヒマラヤ」というバイクをご存知だろうか? 詳細は、ぜひこちらの記事↓をチェックしてみて! […]
人気記事ランキング(全体)
カワサキ500SSマッハⅢに並ぶほどの動力性能 「ナナハンキラー」なる言葉を耳にしたことがありますか? 若い世代では「なんだそれ?」となるかもしれません。 1980年登場のヤマハRZ250/RZ350[…]
マーヴェリック号の燃料タンク右側ステッカー エンタープライズに配属された部隊 赤いツチブタは、「アードバークス」の異名を誇る米海軍「第114戦闘飛行隊(VF-114)」のパッチ。1980年代には第1作[…]
※この記事は別冊モーターサイクリスト2010年11月号の特集「YAMAHA RZ250伝説」の一部を再構成したものです。 ヤマハ RZ250のエンジン「2ストロークスポーツの純粋なピーキー特性」 ヤマ[…]
カラーバリエーションがすべて変更 2021年モデルの発売は、2020年10月1日。同年9月にはニンジャZX-25Rが登場しており、250クラスは2気筒のニンジャ250から4気筒へと移り変わりつつあった[…]
公道モデルにも持ち込まれた「ホンダとヤマハの争い」 1980年代中頃、ホンダNS250Rはヒットしたが、ヤマハTZRの人気は爆発的で、SPレースがTZRのワンメイク状態になるほどだった。 しかしホンダ[…]
最新の投稿記事(全体)
カワサキW800(2017) 試乗レビュー この鼓動感は唯一無二。バイクの原点がここに 1999年2月に発売されたW650は2009年モデルを最後に生産を終了。その2年後の2011年、ほぼ姿を変えずに[…]
旧車の開発に使われた”鉱物油”にこだわる 1992年に創業した絶版車ディーラーのパイオニア・ウエマツ。販売だけでなく、整備にも徹底して力を注いできた同社がそのノウハウをフィードバックし、旧車に特化した[…]
インパクト大なシリーズ初カラー 現代的ストリートファイターのMT-09をベースに、アルミタンクカバーなど金属の質感を活かした専用外装などでネオレトロに仕上げられた1台であるXSR900。3種のパワーモ[…]
イベントレース『鉄馬』に併せて開催 ゴールデンウィークの5月4日、火の国熊本のHSR九州サーキットコースに於いて、5度目の開催となる鉄フレームのイベントレース『2025 鉄馬with βTITANIU[…]
ロングツーリングでも聴き疲れしないサウンド 数あるアドベンチャーモデルの中で、草分け的存在といえるのがBMWモトラッドのGSシリーズ。中でもフラッグシップモデルのR1300GSは2024年に国内導入さ[…]
- 1
- 2