昨日まで普通に走っていたのに、さっきパーキングに停めるまで問題なかったのに、エンジンがかからない……。猛烈に焦るが慌てずに原因を探せば多くの場合は始動できるので、このチェックポイントだけは覚えておこう!
●文:ミリオーレ編集部(伊藤康司)●写真:富樫秀明、真弓悟史、カワサキ
エンジンがかからなくなった「状況」は?
たとえば冬場などに何カ月も動かしていなくて、いざ乗ろうとしたらエンジンがかからないような場合は、バッテリー上がりや、故障や劣化など様々な原因が考えられ、何かしら修理が必要になる場合がある。また転倒した後などは、やはりどこかが破損したために始動できないこともあるだろう。
近年のバイクは丈夫で壊れにくくなっている反面、トラブルがあると簡単に対処できないケースも多いので、こんな場合はバイクショップに相談するのが賢明だ。
しかし、さっきまで普通に走っていたのにパーキングで休息して走り出そうと思ったらエンジンがかからない、というようなパターンも多い。こんな時は故障ではなく、ちょっとした操作ミスや安全装置が作動している場合が少なくない。あっけなくエンジンがかかることも多いので、落ち着いてチェックしていこう。
まずは「安全装置」をチェック!
もっとも多いのが、次に記した4つのパターン。
1つめはキルスイッチだが、最近はスターターボタンとキルスイッチを兼用する車種も増え、その場合このミスは起こらないが……とにかく確認。キルスイッチがOFF(STOP)でもセルが回るのにエンジンはかからない車種もあり、これに気づかずセルを回し続けてバッテリーが上がってしまうパターンもあるので、必ず確認しよう。
2つめはニュートラル、3つめクラッチレバー、4つめはサイドスタンドだ。ギヤが入っている(ニュートラルではない)のにセルを回して車両が飛び出してしまう事故を防ぐため、この3カ所が連動してエンジンをかからないようにしているバイクが多いので、それぞれの状態を確認しよう。
いずれの箇所も機械的なスイッチを装備しているため、操作に問題が無くてもちょっとした接触不良を起こしているためにセルモーターが回らなかったりエンジンが始動しない場合もあるので、キルスイッチを入り切りしたり、ギヤをいったん1速に入れてニュートラルに戻したりしてみよう。
警告灯やイモビライザーは大丈夫?
エンジンやFI(燃料噴射装置)に異常があると、保護のためにセルが回らない車種もある。これが原因でエンジンがかからない場合は基本的に対処法がないので、バイクショップに連絡しよう。ちなみに警告灯の表示はメーカーや車種で異なる(キーONで点灯後にスグに消灯や、エンジンが始動すると消灯など)ので、ハンドブックで表示方法を確認しておこう。
またイモビライザー(盗難抑止装置)が作動したままになっていてエンジンがかからない場合もあるので、警告灯を確認。これはメインキーを抜き差しし直すと復旧する可能性が高いが、それでもだめならバイクショップに連絡だ。
セルモーターの状態は?
安全装置を確認し、警告灯やイモビライザー等も問題なさそうなのに、やっぱりエンジンがかからない……。そんな時、セルモーターはどんな状態だろうか? 回っているかいないか目視ではわからないけれど、音を聞いてみよう。
ちなみにギュ……ギュ……と回り方が弱い場合は、バッテリーが-上がりかけている状態。たとえばパーキングで休息中に、メインキーをOFFではなくPの位置で抜いてしまい、テールランプなどが点きっぱなしになってバッテリーが上がりそうになることはままある。
こんな時は「押しガケすれば良い」という意見もあるが、それは昔のキャブレター車の場合だ。近年のFI(電子制御燃料噴射装置)のバイクの多くは、構造的に押しガケではエンジンがかけられない場合が多いので、チャレンジせずにバッテリーを充電した方が良いだろう。
ヒューズ切れは原因追求が必要……
近年のバイクはヒューズ切れを起こすことは少ないが、後付けした電装パーツやカスタムで配線がショートしたり、電熱ウエアの使用などで過負荷になると切れることはある。
ヒューズボックスのフタを開けて見るだけでは、ヒューズが切れているか否かわからないので、1個ずつ抜いて確認する必要がある。切れている場合はスペアヒューズ(ボックス内にスペアが装備されている場合が多い)に交換してみよう。
ただしヒューズが切れた原因を改善しないと、交換しても再び切れる可能性が高い。この原因究明がけっこう難しいので、ヒューズ切れ→ヒューズ交換→再度ヒューズ切れした場合は、バイクショップに相談する方が良いだろう。
それでもかからなかったらショップに相談
ここまで確認してもエンジンがかからなかったら、バイクショップに連絡しよう。どの箇所をどのように確認したかを正確に伝えれば、対処できる可能性もある(もちろんレッカーするしかない場合もある)。ベテランでも気が焦ると簡単な見落としでエンジンがかからないこともあるので、とにかく慌てないことが肝心だ。
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