国産バイクは圧倒的にモノショックが優勢! 2本ショックは激減中
モノショックが登場した70年代後半は空前のバイクブームと重なり、その後にレプリカブームも訪れた。そのためモノショックの装備が一気に広まり、2本ショックはベーシックなスタイルのネイキッドやアメリカンモデルが装着したものの徐々に姿を消して行き、現在はスーパースポーツやオフロード(アドベンチャー)はもちろん、スポーツネイキッドもツアラーもモノショックを装備している。
またモノショックといっても、スーパースポーツが装備するような凝ったリンク機構と高性能なショックユニットをセットしたものがあれば、リンクレスのシンプルなタイプなど種類は様々。そのため、グレードによってはショックユニット2本分の方が生産上コスト高になる場合もある。これも2本ショックが減少した理由のひとつかもしれない。
とはいえ「やっぱり2本ショックがバイクらしくて好きだ」という声もある。そこで現行国産バイクで2本ショック装備車を以下にピックアップしてみた(7月2日現在の国内販売モデル。スクーター、ビジネス車、競技モデルを除く)。気が付けば、こんなに少なくなっていた……。
ホンダ
ホンダといえばCB。その旗艦であるCB1300SF/SBは2本ショックを採用。そして大人気のレブルと単気筒のGBも2本ショック。またホンダならではの原付2種のファンバイクは、リバイバルのダックスやモンキー、ハンターカブなども2本ショックを踏襲する。CB1100とCB400が生産終了したのは寂しい限りだ……。
ヤマハ
長く愛された空冷単気筒のSR400が生産終了したので、ヤマハで残るはBOLTのみ。
スズキ
2017年のST250およびグラストラッカーの生産終了以降、2本ショック車は無し。
カワサキ
現在は空冷2気筒エンジンを搭載するW800シリーズと、W800ベースのMEGURO K3のみ。かつてのZ1やザッパーをオマージュしたレトロスポーツのZ900RSやZ650RSはモノショックを採用している。
海外メーカーもスタイル優先の2本ショックと性能重視のモノショック
海外メーカーも2本ショックとモノショックの採用状況は、基本的に日本と同じ。スポーツ性と合理性を追求するためか、ドゥカティ、BMW、KTM、MVアグスタ、アプリリアは現行モデルではモノショック車のみだ(スクーターを除く)。
しかし、トライアンフやモト・グッツィなどクラシカルなスタイルのバイクにはやはり2本ショックを装備。他にもモンディアルやベネリなどの復活ブランドや、英国のMUTT MOTORCYCLESやタイのGPXなど、小排気量のレトロな単気筒やカフェレーサー系、スクランブラー系は2本ショック車が多い。
スポーツ性を追求し、合理的なモノショックに特化
クラシック系は、やはり2本ショックがしっくりくる
トライアンフ
2気筒エンジンを搭載するモダンクラシックのシリーズは基本的に2本ショック(スピードマスターやボバーはリジット風のモノショック)。3気筒モデルはすべてモノショックで、スピードトリプル1200RRはオーリンズ製、タイガー1200はショーワ製のセミアクティブサスペンションを装備する。
モト・グッツィ
縦置きV型エンジン+シャフトドライブのレイアウトを守るモト・グッツィは、ほとんどのモデルが2本ショック。アドベンチャーのV85TTは太いモノショックだが、カンチレバーやリンク式ではなく、言うなれば「2本ショックの1本版」で、かつてBMWもこの形式を採用した時期があった。
ロイヤルエンフィールド
空冷ツインや単気筒モデルは、クラシカルなスタイルに良く似合う2本ショック。しかしアドベンチャーのヒマラヤはリンク式モノショックで長いホイールトラベルをしっかり確保している。
ハーレーダビッドソン
水冷Vツイン搭載の新型スポーツスター系は2本ショックで、グランド・アメリカン・ツーリングのファミリーも、サイドボックスに隠れて見えないが2本ショック。クルーザー系はソフテイルと呼ばれるサスペンション非装備のリジッドフレーム風だが、エンジン下にショックユニット(以前は2本だったが、現行モデルは1本)を装備。アドベンチャーのパンアメリカはモノショックで、上級モデルのSPECIALは電子制御式で、世界初の停車時に自動的に車高が下がる機構を装備する。
インディアン
ハーレーと人気を二分するアメリカの伝説ブランドであるインディアン。人気のスカウトやクルーザー系は大きく傾斜した2本ショックを装備。バガーやツーリングはモノショックで、上級モデルには電子制御式サスペンションもラインナップ。大活躍のフラットトラックレースのレプリカであるFTRはカンチレバータイプのモノショックだ。
最新リヤサスは電子制御で、ライダーをサポート
こうして見てみると、国産で2本ショックを採用するほとんどのバイクが日本専用車であることがわかる。少し前まではネイキッドといえばこのカタチだったし、それがバイク趣味の主流だった時代もあったが、そのカテゴリーは今や絶滅寸前。これはそういったスタイルのネイキッドは海外での販売が見込めないからゆえで、次々と生産終了の運命を辿っているのが現状なのである。
そして、海外で人気のネイキッドだったストリートファイター系が日本でも主流となり、2本ショック採用車はどんどん少なくなってきている。
さらに性能重視のモノショックモデルは電子制御化が加速。走行中に連続的に減衰力を変化させ、走行シーンや路面状況などに合わせて自動で特性を変化させるサスペンションだ。例えば「ブレーキングでは前のめりを軽減してくれる」というと分かりやすいかもしれない。さらに他の電子制御と組み合わせて信じられないほどライダーをサポートしてくれているのだ。
2本、1本……という観点だけでなく、今後サスペンションがどのように進化していくのか? 構造と電子制御の組み合わせなども含めてその進化を楽しみにしたい。
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