5月末に開催された「朽木8時間耐久オフロードバイクラン Moto-Off KUTSUKI 8h」。モトクロッサーやエンデュランサーがエントリーの大半を占めるなか、ドゥカティを愛する男たちはスクランブラー デザートスレッドで挑戦。意気揚々と現地に赴いたわけだが、実際のコースを前に誰もが車重209kgのバイクでのオフロード8時間耐久レースに不安を覚えた……。なぜ、スクランブラーで挑むのか? 心の片隅にそんな疑問は抱きつつ、愚問を口にしては負けだと言わんばかりに果敢に砂埃が舞うコースへと消えていった。果たして、その進んだ先に何を見たのか……。
- 1 本レース前日の練習走行、男たちは朽木の急勾配に慄いた
- 2 レース本番までスクランブラーは封印。リエフのバイクで練習開始
- 3 5クラス合計128のエントリー! BMW G310GSも参戦
- 4 ル・マン式スタートで8時間耐久の口火は切られた
- 5 残り1時間ほどのタイミングでまさかのパンク! 完走危うし!
- 6 総合89位、チームカテゴリー10位、Lap57、タイム8:08:39.22で「DUCATI Family with MIGLIORE」の挑戦は幕を閉じた
- 7 【動画】ドリームチームがDUCATIデザートスレッドで参戦!朽木8時間耐久オフロードバイクラン #1|ドキュメント
- 8 あなたにおすすめの関連記事
- 9 最新の記事
本レース前日の練習走行、男たちは朽木の急勾配に慄いた
「朽木8時間耐久オフロードバイクラン Moto-Off KUTSUKI 8h」の会場となったのは、滋賀県朽木スキー場の特設コース。レース前日は自由参加の練習走行日になっており今回参戦するライダーは各々が会場に集合したのだが、到着早々にまず全員が同じことをつぶやいた。
「あの急勾配をスクランブラーで登る? マジで?」
今回、このレースに参加しようと旗振りをしたのはドゥカティ京都の青木伸正さん。青木さんからは「丸太やロック越えなどの人工的なセクションはないし、スクランブラーでも(きっと)大丈夫ですよ〜」と聞いて現地に集まったのだが、目の前にそびえるのは視覚的にもインパクトのある急勾配コース。
ちなみにコース①について運営スタッフに尋ねたところ、「正式な斜度は計測していないけれど、歩いて登るには相当しんどいです」とお答えいただいた。スキー場の公式webサイトをチェックすると、コース①はダウンヒルコース(中級・上級)で「斜度15~35度のもっともハードなコース」と紹介されている。
おいおい話が違うよ、青木さん! と誰もが思ったはずだが、諸事情でその旗振り役は現地入りできておらず、小言を言う相手がいない。とりあえず天気もよいし、風も気持ちよいし、みんな久しぶりに集まったし〜と(ノンアルで)乾杯! 目の前の不安要素を揉み消すように、陽気な雰囲気でスタートした。
レース本番までスクランブラーは封印。リエフのバイクで練習開始
束の間のピクニック気分を味わった後に、今日の目的である練習走行を開始。まずは難易度含めてしっかりと把握すべく、ヤマハ セローとリエフ マラソン 125 プロでコースイン!
練習走行を終えて戻ってきたライダーは、誰もがこう口にした。「スクランブラーでは、やっぱり無理じゃないか?」
とはいえ、青木さんがせっかく私財を投入して準備してくれたバイクである。「ドゥカティでも本格オフロードを楽しめることを見せたい!」という彼の心意気が込められているゆえに、チャレンジしないわけにはいかない。急勾配は無理でも、迂回路を走ればいいのである……と思考では納得しつつも、ライダーたちは本能的にケガの恐れをひしひしと感じつつ、翌日に向けて準備は進められた。
5クラス合計128のエントリー! BMW G310GSも参戦
「朽木8時間耐久オフロードバイクラン Moto-Off KUTSUKI 8h」は、ソロ、ペア、トリオ、チーム、マイモト(最大6名が各々のバイクでリレー交代する方式)の5クラスが設けられている。「DUCATI Family with MIGLIORE」は、メンバー6名が1台のバイクを交代して走行するチームのカテゴリーで参戦。このカテゴリーでエントリーしたのは15チーム。
ル・マン式スタートで8時間耐久の口火は切られた
レースは128台が一斉にル・マン式でスタートするわけだが、その準備だけでも大変。スターティンググリッドはエントリー順で、朝7時から準備開始。スクランブラーは車重があるので、傾斜地を押し引きするだけでも一苦労であった。
エントリーしているのはモトクロッサーやエンデュランサーが大部分のため、ドゥカティ スクランブラーは異色の存在。さまざまな人に「カッコいいね」と声をかけてもらい、この景色を作れただけでも参戦した価値があったのではないだろうかと満足……してはいけない。スクランブラーで本当にこの過酷な道を走り続け、8時間無事完走できるのか⁉︎ 真剣勝負が始まった。
残り1時間ほどのタイミングでまさかのパンク! 完走危うし!
今回5名のライダーによるチーム参戦した「DUCATI Family with MIGLIORE」。じつはオフロード本格デビューの者も多く、メインの急勾配コースを走破したのは宮城さんとドゥカティ札幌の砂田剣一さんだけ。ほかの3名はエスケープコースを選択。
とはいえ、その先々でも難解な箇所はあり、至るところで多くのバイクが転倒。なかにはコース脇で休憩したりと、無理のない走りで楽しむライダーもいたほどだ。「DUCATI Family with MIGLIORE」のライダーたちも転倒を乗り越えつつも、なんとかスクランブラーというバトンをつないでいった。
しかし、残り1時間ほどとなった時、ドラマが起きた。スクランブラー、パンクである。
総合89位、チームカテゴリー10位、Lap57、タイム8:08:39.22で「DUCATI Family with MIGLIORE」の挑戦は幕を閉じた
パンクというトラブルを経て、無事コースに戻っていったスクランブラー。気力体力ともに相当の疲れがあり、チーム全員が転倒を経験。多少の負傷もしながらLap57という記録をもって無事ゴール!! 総合89位、チームカテゴリー内では10位で、スクランブラーの挑戦は幕を閉じた。
ちなみに総合優勝したペアチームはLap106、ベストラップ3:36.36を記録。2位はソロチームでLap102、ベストラップ4:02.98。とにかく皆さん速いし、体力がある!
せっかくなので「DUCATI Family with MIGLIORE」各ライダーのコメントとともに、ベストラップもご紹介しよう。
最後にレース中に一瞬様子見に訪れてくれたドゥカティ京都の青木伸正さんのコメント。「8耐参加を決めてから何度も林道トレーニングをして、壊れる個所、弱い個所、対応しておくべき点などを把握しました。最終的にデザートスレッドはトラブルを起こさずに走り切りましたね〜。『DUCATIでもオフロードはしれるやん』って嬉しく思っています。通常のオンロードモデルではボロボロにしたくないけど、オフロードを走るとキズが勲章に代わるのが不思議。冬になったら丁寧に色々とチェックしながらオーバーホールするのが楽しみです。バイクは色々な楽しみ方があって、それぞれ整備の価値観さえも変わります。おかげで、さらにドゥカティの理解も深まり、仲間との思い出もできましたよ」
来年はきっと青木さんの走りをみることもできるはず! 「DUCATI Family with MIGLIORE」の挑戦はまだまだ続く!
【動画】ドリームチームがDUCATIデザートスレッドで参戦!朽木8時間耐久オフロードバイクラン #1|ドキュメント
「DUCATI Family with MIGLIORE」のチームメンバーであり、YouTube「モトマニアックスチャンネル」ちんさんによるドキュメンタリー動画で、「朽木8時間耐久オフロードバイクラン Moto-Off KUTSUKI 8h」をお届け!
メンバー一同が砂埃にまみれながらも、スクランブラーが疾走? する様子をぜひご覧あれ。楽しそうなイベントと思ったら、ぜひ来年ご一緒にご参加を〜!
※本記事は“ミリオーレ”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
スクランブラーはドゥカティ流のネオクラシックで、'60~'70年代の同名モデルがモチーフ。'15で初登場した803cc空冷Lツイン系が主軸だ。サスや外装の違いで多数の派生モデルが存在する。 '22で追[…]
あなたにおすすめの関連記事
スキルやスペックに縛られずに楽しめる、自由な存在! 2014年のWDW(ワールド・ドゥカティ・ウィーク)でカスタマーに先行発表したスクランブラーICON(アイコン)は、空冷の803ccエンジンを搭載し[…]
実は長らく姿を消していたスクランブラー ドゥカティやトライアンフなど欧州メーカーからリリースされ、人気の高い「スクランブラー」のカテゴリー。近年はブランドを復活したメーカーやアジア圏の中小排気量メーカ[…]
アジア太平洋市場の責任者によるオンライン発表会 イギリスで産声をあげ、現在はインドが拠点となっているロイヤルエンフィールドは、現存する世界最古のモーターサイクルブランドとしても知られている。インドの主[…]
全体的なレポートはこちら(ドゥカティはオフロードレースを走り切れるのか?【朽木8時間耐久オフロードバイクランにスクランブラー デザートスレッドで参戦!】) 「諦めてください」熱烈すぎるバイク仲間の誘い[…]
インディアン vs ハーレーダビッドソンが繰り広げる熱戦 バガーロードレース「キング・オブ・ザ・バガーズ」が初めて開催されたのは、2020年秋のこと。車両重量が300kg近いバガー(大容量パニアバッグ[…]
最新の記事
- ホンダが電動トライアルバイク「RTLエレクトリック」で全日本トライアル参戦! ライダーは元世界チャンピオンの藤波貴久
- 独尊の水冷V型2気筒クルーザーに待望の250が登場! ヒョースン「GV250」シリーズ3機種を一挙発売
- ヤマハの新型モデル「YZF-R9」日本発売は2025年春以降! ウイングレット装備の3気筒スーパースポーツ
- 【正式発表間近】カワサキが「W230/メグロS1」「KLX230/S/SM」の発売時期を明らかに!
- 【SCOOP特別編】ホンダ新型CB400は…こうなる!! プロがその姿を大胆予想〈③装備&デザイン編〉
- 1
- 2