レース直系の車体設計思想なのに、とてもフレンドリーな乗り心地
不思議なのはパニガーレシリーズと同じような車体設計思想なのに、そのフィーリングはまるで異なることだ。パニガーレはスーパースポーツだからカチッとしているが、モンスターはとてもしなやか。
コーナリングの際に向きを変えるタイミングでのレスポンスの良さは共通だが、モンスターはその動きに怖さや不安や難しさを感じさせない印象で、タイヤの接地感もとてもわかりやすい。
深くバンクしていないのに、あっという間にコーナーをクリアしてしまい、苦手なコーナも皆無。走るほどにワイディングの虜になっていく。リズムに乗りながら右へ左へと切り返すのがとても気持ち良い。
この後サーキットも走る機会があったが、さすがにその領域になると本国仕様のサスペンションとシートが欲しくなるが、サーキットでも937ccとは思えないコーナリングスピードを披露してくれた。
コーナーの立ち上がりでスポーツモードで大きくスロットルを開けながらデスモドローミックならではの伸びを堪能する。この高回転域の圧倒的な吹け上がり感は、ドゥカティにしかない快感を教えてくれる。
また別の機会では、市街地で本国仕様のサスペンションとシートを経験することもできた。前後サスペンションのスプリングを組み替え、厚みを得たシートはそのハンドリングをよりシャープにしてくれたし、ドゥカティらしさとモンスターらしさをより色濃く反映。
また、サスペンションは本国仕様でシートは日本仕様など、好みで組み合わせを変えてみるのも理想のモンスターに出会う近道になるはずだ。このあたりはディーラーで相談してみていただきたい。
モンスターはどこまでもモンスターらしく進化していく
いつの時代も、最新のアイデアと技術を惜しみなく注ぎ込まれて、進化を繰り返してきたモンスター。共通した理念は、シンプルであること。その究極系が最新モンスターなのだ。
「バイクに必要なものは、ひとつのエンジン、2つの車輪、燃料タンク、ハンドルバー、それらを取り付けるためのいくつかの金属だけだ」これは初期型モンスターの生みの親であるデザイナーのミゲール・ガルーツィの言葉だ。
その言葉の意味は、新しいモンスターにもピッタリと当てはまる。コンセプトはより鮮明になり、車体の作り込みを見るほどに、モンスターはモンスターらしく正常進化してきたことが伝わってくる。
ドゥカティにしかつくれない、超ライトウエイトネイキッドの実力を、今こそ知っていただきたい。
歴代モンスターをおさらいしてみよう
ここでは個人的に僕が時代の節目だと思うところで切り分けた、4世代のモンスターを紹介しよう。そのすべてにドゥカティの伝統とも言えるスチールパイプのトレリスフレームがあるが、最新モンスターはそれさえも排除。変えること、変わることを恐れずに突き進むその強さこそが、新しいドゥカティらしさを生んでいくのである。
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