
●文:モーサイ編集部(鷹橋公宣/元警察官
切符処理されないケースもある?!
いきなりパトカーからスピーカーで呼び止められたり、旗を持った警察官に停止を求められたりして「違反ですよ」と言われると、誰でも「やってしまった…」と焦るはず。
ところが、切符処理されるのを覚悟して免許証を差し出すと、警察官から「次は切符処理することになるから、以後気をつけて」と注意だけ受けて見逃してもらえた、なんて経験はありませんか?
同じような違反をしていても、以前は切符処理されたけど今回は注意だけだった。その反対に、前回は注意だけで見逃してくれたのに今回は切符処理されたといったケースもあるかと思います。
当記事では、「その場で切符処理する」「厳重注意だけで見逃す」のどちらかを警察官が選ぶにあたり、区別の基準があるのか? について解説します。
警察官は取り締まりの際に“検挙基準”を満たしているかを判断する
警察官が交通違反を取り締まる上で重視しているのが、“検挙基準”です。たとえば、制限速度50km/hの道路を51km/hで走行すれば違反になりますが、たった1km/hのオーバーで違反として取り締まるのはなかなかに酷ですよね。気持ちの問題だけでなく、車両のメーター誤差などの可能性もあります。
そこで、道路交通法をベースとして「ここからは違反として取り締まる」というボーダーラインを示しているのが検挙基準です。
もし、走っている最中にパトカーや白バイに停止を求められたけど「ちょっと出しすぎだよ」と注意されただけで見逃されたのなら、検挙基準に達していない可能性があります。
なお、検挙基準は機密で、どこでどう調べても正確な内容はわかりません。過去には正規の手続きで検挙基準を公開するよう求めた事例もありますが、けっきょくは開示が認められませんでした。
なぜ秘密にしているのかというと、検挙基準を公開してしまえば「これぐらいの違反なら大丈夫」という誤った意識が広まってしまうからというのが警察側の主張です。
たしかに、多くのドライバーがそんな意識でハンドルを握っている状態だと、道路交通法の意味も失われてしまうでしょう。都道府県によって基準が異なるので「どうもあの道路は15km/hオーバーから検挙するらしい」といった周辺のウワサ話などに頼るしかありません。
警察官が違反を“現認”できているのか?
交通取り締まりでは「警察官が違反を現認しているか?」が大きなポイントになります。ごく当然のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、じつはこれがとても重要です。
たとえば、目の前の信号が黄色に変わったけど、スピードも出てるし、急停止はできないと判断してそのまま交差点を通り抜けようとしたら、ギリギリで赤信号に変わってしまい、うっかり信号を無視してしまったとします。
その状況を、偶然にも対向車線で走って赤信号で止まっていたパトカーに見つかってしまいました。当然、こちらの信号が赤だった場合は対向車線から見ても赤信号ですし、信号無視になるから切符処理される…と考えるはずですが、じつはこれ、警察は切符処理できません。なぜなら……
※本記事は2022年10月5日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
日本語表記では「前部霧灯」。本来、濃霧の際に視界を確保するための装備 四輪車ではクロスオーバーSUVのブーム、二輪車においてもアドベンチャー系モデルが増えていることで、「フォグランプ」の装着率が高まっ[…]
Z1とともに、CB750Fourを挟み撃ちするねらいで生まれた、Z1ジュニア=Z650 公害やマスキー法、オイルショックなどが社会問題として声高に叫ばれ始めた1970年代、カワサキは2サイクルのマッハ[…]
意外なる長寿エンジン「ザッパー系」が積み重ねた31年の歴史 2006年12月、ゼファー750ファイナルエディションの発売がアナウンスされ、1990年初頭から続いたゼファー750の16年におよぶ歴史が幕[…]
白バイがガス欠することはあるの!? 今回は、「白バイが警ら中にもしもガス欠になったら!?」について、お話したいと思います。結論を先に言うと、ガス欠にならないように計画を立てて給油しています。 私も10[…]
1998年登場のロングセラーモデル、ホンダCB1300シリーズの魅力とは? 今回は、私が白バイ隊員として約10年間、ホンダ CB1300に乗ってきた経験や感想を交えて、CB1300シリーズをお勧めする[…]
最新の関連記事(交通/社会問題)
地域活性化ツーリングを開催、移動課題改善への提言も 2024年9月29日に開催された地域活性化・ライダー誘致イベント“伊豆ライダー誘致ツーリング”。 主催は若年層を中心に構成。バイクやクルマ、特定原付[…]
バイク駐車場の拡充に取り組む千葉市 千葉市内には6区で50の鉄道駅がある。中でも千葉駅は千葉県の中心駅として、JR東日本の在来線6線と京成電鉄、さらに千葉都市モノレールが乗り入れている。 都心や成田空[…]
「危険なら道路を改善しないの?」との疑問を感じるが…… 市中の道路を走っていると「事故多発交差点」と書いた立て看板を見かけることがあります。 その交差点で交通事故が多発しているので気を付けて運転してほ[…]
情熱は昔も今も変わらず 「土日ともなると、ヘルメットとその周辺パーツだけで1日の売り上げが200万円、それに加えて革ツナギやグローブ、ブーツなどの用品関係だけで1日に500万円とか600万円とかの売り[…]
EVは脱炭素社会実現と移動課題の改善に寄与するか 「バイクラブフォーラムin南国みやざき」で実施されたパネルディスカッション、「電動二輪車利活用による社会課題(脆弱な二次交通)解決」において、次のトー[…]
人気記事ランキング(全体)
現代の耐久レーサーはヘッドライト付きのスーパーバイクだが…… 近年の耐久レーサーは、パッと見ではスプリント用のスーパーバイクレーサーと同様である。もちろん細部に目を凝らせば、耐久ならではの機構が随処に[…]
GB350に初のツートーン、GB350Sの燃料タンクにはストライプ採用カラーも ホンダ「GB350」「GB350S」マイナーチェンジ。2023年に最新排出ガス規制に適合して以来のイヤーモデル更新だ。2[…]
バイクツーリングにおすすめの都道府県ティア表 バイクツーリングの魅力は、ただ目的地に行くだけでなく、そこへ至る道中のすべてを楽しめる点にある。雄大な自然が織りなす絶景、心地よいカーブが続くワインディン[…]
最新モデルはペルチェデバイスが3個から5個へ 電極の入れ替えによって冷却と温熱の両機能を有するペルチェ素子。これを利用した冷暖房アイテムが人気を博している。ワークマンは2023年に初代となる「ウィンド[…]
高回転&高出力主義の権化 250クラスでも高性能な直4を望む声が高まっていた’80年代前半、スズキが世界初の250cc水冷直4エンジンを搭載した量産車、GS250FWを投入。以降、ヤマハ、ホンダが追随[…]
最新の投稿記事(全体)
シリーズ第10回は『クイーンスターズ』に学ぶ「取り回し」だ! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転[…]
要望に応え、アンコール販売が決定 「AIO-6」シリーズの初回クラウドファンディングは2025年6月3日に終了し、2015名からの支援と総額7,300万円を突破する大きな成果を収めた。今回のアンコール[…]
なぜ「モンキーレンチ」って呼ぶのでしょうか? そういえば、筆者が幼いころに一番最初の覚えた工具の名前でもあります。最初は「なんでモンキーっていうの?」って親に聞いたけども「昔から決まっていることなんだ[…]
【ヨシムラジャパン代表取締役・加藤陽平氏】1975年、POPの右腕だった加藤昇平氏と、POPの次女・加藤由美子氏の間に生まれる。4輪業界でエンジンチューンやECUセッティングなどを学び、2002年にヨ[…]
ブレーキディスクの大径化が効いたのはメンタルかもしれない 第8戦アラゴンGPでも、第9戦イタリアGPでも、マルク・マルケスが勝ち続けています。とにかく速い。そして強い。誰が今のマルケスを止められるのか[…]