
●文:モーサイ編集部
1965年までは“クルマの免許”に二輪免許が付いてきた
80歳前後のドライバーの中には、「ワシはナナハンだって運転できるんじゃよ、二輪に乗ったことはないけどな(笑)」という人がいる。
これは決してホラ話でも珍しい話でもなく、かつては四輪免許を取得すると、現在の原付免許の感覚で、自動二輪に乗れる免許が付帯された時代があったからだ。
その制度は1965年の改正によって消滅するが、それ以前に四輪免許を取得していた人には、既得権として制限なしの二輪免許が与えられた。結果としてそのまま免許を更新し続けると、大型二輪のところに丸印がついた免許証を持っていることになるのだ。
そして1965年9月以降は、四輪免許を取得すると50cc以下の二輪車に乗れる“原付免許”が付帯されるようになった。この時に単体の原付免許も誕生している。
二輪免許は1948年に誕生。小型/普通/大型の区分は1968年から
一方で、“二輪免許”自体は1948年に新たに創設されていた。
もっとも、前述したように四輪免許に付帯されるものだから、現実的には二輪免許を単体で取得する人は少なかったのではないだろうか。
では、四輪免許に二輪免許が付帯しなくなった1965年以降に二輪免許を取得すると、どうなったのだろうか?
1968年までは、二輪免許で50cc以上のすべてのバイクを運転することができた。現在のような小型/普通/大型といった区別はなかったのだ。
その3つの区分に分かれたのは、1975年のことだ。先行して1972年に125ccの小型自動二輪免許が新設され、1975年に排気量制限のない「自動二輪免許」、400cc以下に乗れる「中型限定自動二輪免許」、125cc以下に乗れる「小型限定自動二輪免許」の3つに分類された。
いずれにしても自動二輪というひとつの免許があって、そこに条件として小型限定/中型限定という形で、実質的に3種類の免許として運用していた。そのため、中型限定自動二輪免許で400ccを超える大型二輪を運転したとしても、無免許ではなく、あくまでも条件違反でしかないというのが、この時代だった。
1974年発売のホンダ ドリームCB400フォア。排気量が408ccだったため、“ヨンヒャク”でありながら、発売翌年1975年からは排気量制限のない自動二輪免許(今で言う大型二輪)でないと乗れない車両となってしまった。
普通自動二輪免許で大型バイクを運転するのが“無免許運転”となったのは1995年から
そうした限定条件によって運用するという時代が終わり、大型自動二輪免許が新設されたのが1995年だ。あわせて、中型限定自動二輪は普通自動二輪免許となり、小型限定自動二輪は小型限定普通自動二輪免許に変わった。
それまで中型限定自動二輪だったライダーが免許を更新すると、この後は普通自動二輪に書き換わった。つまり、大型二輪を運転すると無免許に問われることになり、一気に罪が重くなったのだ。
もっとも、「アメとムチ」という言葉があるように、この1995年の改正にあわせて……
※本記事は2022年4月22日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
インカムが使えない状況は突然やって来る!ハンドサインは現代でも有効 走行中は基本的に1人きりになるバイク。たとえ複数人でのマスツーリングだとしても、運転中は他のライダーと会話ができないため、何か伝えた[…]
仕事を通じてわかった、足を保護すること、足で確実に操作すること 今回は、乗車ブーツの話をします。バイクに乗る上で、重要な装備の一つとなるのが乗車ブーツです。バイクの装備といえばヘルメットやジャケット、[…]
【燃料タンク容量考察】大きければ良いってもんではないが、頻繁な給油は面倒だ 当たり前の話ではあるけれど、燃費性能とともに、バイクの航続距離(無給油で連続して走れる距離)に関係してくるのが、燃料タンクの[…]
バイクいじりで手が真っ黒、そんな時どうしてる? バイクいじりにつきものの、手の汚れ。 特に、チェーンのメンテナンスやオイル交換など、油を使った作業となるとタチが悪い。 ニトリル手袋やメカニックグローブ[…]
松戸市〜成田市を結ぶ国道464号の発展 かつて、千葉県の北総地区は高速道路のアクセスが今ひとつ芳しくなかった。 常磐自動車道・柏インターや京葉道路・原木インターからもちょっとばかり離れているため、例[…]
最新の関連記事(バイク歴史探訪)
ボクサーエンジンの誕生、最強バイクとして世界中でコピー BMWといえば、2輪メーカーとしてスーパーバイクS1000系からボクサーのRシリーズなど、スポーツバイクで世界トップに位置づけられるメーカーだ。[…]
軽二輪の排気量上限=250ccスクーター登場は、スペイシー250フリーウェイから ホンダPCXやヤマハNMAXなど、ボディサイズは原付二種クラスでありながら排気量150〜160ccの軽二輪スクーターを[…]
ホークシリーズ登場後、すぐにホークIIIを投入。“4気筒+DOHC”勢に対抗したが… 1977年の登場から1〜2年、扱いやすさと俊敏さを併せ持つホークシリーズは一定の人気を獲得したが、ホークII CB[…]
生産台数の約7割を占めた、ハーレーの“サイドカー黄金時代” 1914年型のハーレー初のサイドカー。ミルウォーキーのシーマン社がカー側を製作してハーレーに納入。マシン本体にはカー用のラグが設けられており[…]
ハーレーダビッドソンは3輪モデルも作っている 「いつかはハーレー」などと言われるように、憧れのバイクメーカーとして知られるハーレーダビッドソン。 多くの人にとって、ハーレー=大型バイクのイメージしかな[…]
最新の関連記事(交通/社会問題)
原動機研究部が原付通学環境整備のため講習会を開催 2025年7月13日(日)、静岡県伊豆市修善寺虹の郷において、地域クラブ「原動機研究部」(略称:原研)主催による「高校生対象 原付バイク安全運転講習会[…]
片山財務大臣が走行距離課税は検討していないと明言! この発言の持つ意味はとても大きい 11月12日の参議院・予算委員会で、国民民主党の榛葉幹事長の「走行距離課税はやりませんよね」という質問に対し、片山[…]
白バイ隊員の主な装備 オートバイが好きな方であれば一度は、白バイの装備や白バイ隊員の制服ってどうなっているんだろうって思ったことがあるのではないかと思います。私も警察官になる前は興味津々で、走っている[…]
1.生徒にアンケート調査!<免許取得と車両の購入> 坂本先生は、本年7月に北杜高校の生徒を対象に安全意識に関するアンケート調査を行った。対象は原付免許を持つ2.3年生の生徒100名と、小学校時に自転車[…]
補助金を段階的に上げて暫定税率廃止へと繋ぐというが、年末までに無理なく実施できる? このコラムでも何度も取り上げてきたガソリンの暫定税率が、ついに廃止される見通しとなりました。 自民、日本維新の会、立[…]
人気記事ランキング(全体)
色褪せないヘリテイジ、進化する「Z」の系譜 017年秋の東京モーターショーで世界初公開されて以来、Z900RSは常に我々ライダーの注目の的であり続けている。その最大の魅力は、往年の名車Z1/Z2への敬[…]
排気量拡大路線から4バルブヘッド開発へ 1980年代の後半はAMGにとって重要な分岐点だった気がします。もともと、彼らはメルセデスベンツが作ったエンジンをボアアップ、強固な足回りへと改造することに終始[…]
Q:雪道や凍結路は通れるの? チェーンやスタッドレスってある?? 一部の冒険好きバイク乗りと雪国の職業ライダー以外にはあまり知られていないが、バイク用のスノーチェーンやスタッドレスタイヤもある。 スタ[…]
オンロードメインで楽しむ扱いやすいツアラーモデル いい意味で、事前の想像とは大きく異なる乗り味だったのが、油冷単気筒エンジンを搭載した軽二輪アドベンチャーのVストローム250SX。このルックスから、個[…]
「着る換気扇」サーキュレーターメッシュ 今回紹介するのは、2025年9月の発売からわずか2ヶ月半で累計3万枚を突破したという「サーキュレーターシリーズ」だ。最大の特長は、裏地に採用された「サーキュレー[…]
最新の投稿記事(全体)
ザ・キングスマン (Kingston Custom)──全長4メートルのストリームライナーに変身したショットガン650 キングスマンは2014年に作られたスパイ映画で、ドイツのビルダーのキングストン・[…]
1度しか獲れなかったチャンピオン、でも得たものは大きかった 前回の続きです。これは僕の失敗談ですが、’95年、オランダGPの予選でのこと。すでにいいタイムを出していた僕に対して、監督のウェイン・レイニ[…]
カスタムバイクのような仕上がりを誇るBRIXTON オーストリアのバイクメーカー・BRIXTON(ブリクストン)は、個性的なスタイルのモーターサイクルを数多く販売していることで知られている。ブランドの[…]
あの興奮をもう一度! 聖地・Hakuba 47に集結せよ BMWファン、いや、全バイクファン待望のニュースが飛び込んできた! BMW Motorradは、年に一度のビッグイベント「BMW MOTORR[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]


![ホンダ ドリームCB400フォア|[バイク歴史探訪] クルマの免許さえ取れば排気量無制限でバイクに乗れる時代があった!?〈二輪免許区分改正の歴史〉](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/04/th_mc197412_cb4001_01002H-1024x700-1-768x525.jpg)
![ホンダ ドリームCB400フォアI|[バイク歴史探訪] クルマの免許さえ取れば排気量無制限でバイクに乗れる時代があった!?〈二輪免許区分改正の歴史〉](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/04/th_mc197603_cb4001_01002H-1024x698-1-768x524.jpg)












































