
●文:モーサイ編集部(飯田康博)
12月20日は、フレデリック・バーデッド・スペンサー、すなわちフレディ・スペンサー氏の誕生日です。1983年、ホンダにWGP最高峰クラスのタイトルを16年ぶりにもたらした天才レーサーだったのは説明するまでもなく。お誕生日おめでとうございます。
1983年に遂げた21歳8ヶ月での最高峰クラスタイトル獲得は、2013年にマルク・マルケス選手に更新されるまで長いあいだ最年少記録でした。なお、1985年のWGP500ccクラス/250ccクラスのダブルタイトル獲得は、WGP史上最後の2クラス同時制覇。現在ではダブルエントリーはレギュレーションで禁止されているため、今後破られることはないでしょう。
さて、2023年1月に発売されたホンダCB1300スーパーフォア/スーパーボルドールのカラーリングは、銀色ボディにネイビーとブルーのラインが引かれたものですが、これが通称“スペンサーカラー”と言われています(正式色名はデジタルシルバーメタリック)。
2023年1月26日に発売されたCB1300SF。価格は156万2000円。
CB1300SB。価格は167万2000円。色名は両車ともにデジタルシルバーメタリックです。
この銀/青のカラーは、もともとは北米向けCB-Fの純正色でしたが、1982年のAMAスーパーバイク デイトナ100マイルレースで、スペンサー選手がこの色のCB750F改で勝利し、現在に至るまで多くの人々の記憶に鮮烈に残っていることから、いつしか「スペンサーカラー」と呼ばれるようになりました。
『モーターサイクリスト』誌1982年6月号に掲載された、ホンダの広告ページ。いちおうCBX400Fの広告なのですが、この年のAMAスーパーバイク デイトナ100マイルレースで、ホンダがポディウムを独占したことを全面的に打ち出しています。リザルトは1位フレディ・スペンサー、2位マイク・ボールドウィン、3位ロベルト・ピエトリでした。ちなみにこの広告では、CB750FベースのホンダRS1000が…と書いています。
このデイトナ100マイル時のCBは、サイドカバーに“CB750F”と記されていますが、エンジンはRS1000のパーツを使い、A.H.M(アメリカンホンダモーター)が独自に製作したもの。RS1000は世界耐久レギュレーションのため999ccの排気量ですが、こちらはAMA仕様で排気量は1016ccとなっています。いろいろな呼称はありますが、いちおう現在のホンダでは「CB750Fデイトナレーサー」と呼ばれることが多いようです。
ホンダコレクションホールに収蔵されているCB750F改デイトナレーサー。キャブレターはクイックシルバー、マフラーはマイクベラスコ製のメガホン管とアメリカ製パーツが装着され、フロントまわりはNS500のパーツを流用して16インチ化されています。エンジンはドライサンプで、オイルタンクをサイドカバー内に収めています。
上述したCB1300SF/SB以外にも、ホンダは過去に幾度か、このカラーに塗られた機種を発売しています。以下に順に紹介しましょう……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
レジャーバイク人気の主役となった初代ダックスホンダ(1969年~) 国産レジャーバイクの元祖と言えば、ホンダが多摩テックで子供向け遊技用に用意したモンキーバイクZ100、それに続く市販車のモンキーZ5[…]
2ストレプリカの原点にして、TZRへの橋渡し役だったRZシリーズ 最後の2ストロードスポーツを作るという情熱が込められ、1980年に登場したRZ250。同車が「最後」と言われたのは、環境問題も絡めて今[…]
そもそも「過給機」とは 世界最大規模の2輪車ショーといわれるEICMA(ミラノショー)。2024年11月に開催された同ショーにおいて最大級の注目を集めたのは、ホンダが初公開した電動過給機付きV型3気筒[…]
※この記事は別冊モーターサイクリスト2010年11月号の特集「YAMAHA RZ250伝説」の一部を再構成したものです。 ヤマハ RZ250のエンジン「2ストロークスポーツの純粋なピーキー特性」 ヤマ[…]
キーロック付きタンクキャップ:スズキGT380(1972) バイクの燃料キャップは、そもそもは転倒時の漏れ防止の安全対策からキーロック式が採用されるようになったが、その最初は1972年のスズキGT38[…]
最新の関連記事(レース)
実は”ホンダエンジン”時代からの愛車だった マンセルがF1のパドックで乗っていたのは、ホンダのダックス70(CT70)でした。1988年モデルとも、1987モデルとも言われていますが、いずれにしろ当時[…]
イベントレース『鉄馬』に併せて開催 ゴールデンウィークの5月4日、火の国熊本のHSR九州サーキットコースに於いて、5度目の開催となる鉄フレームのイベントレース『2025 鉄馬with βTITANIU[…]
全日本、そしてMotoGPライダーとの違いとは 前回は鈴鹿8耐のお話をしましたが、先日、鈴鹿サーキットで行われた鈴鹿サンデーロードレース第1戦に顔を出してきました。このレースは、鈴鹿8耐の参戦権を懸け[…]
昨年の最終戦から連勝を続けた水野涼 2025年の全日本ロードレース選手権がようやく4月19日・20日に栃木県・モビリティリゾートもてぎで開幕しました。4月9日・10日には、PRE-TEST “Roun[…]
7年のブランクを感じさせない”74歳”! “チームイワキ”や”K’s Garage”の名前で知られた岩城滉一さんが率いるチームは、昨シーズンから”51ガレージ”と名乗って、7年ぶりに活動を再開しました[…]
人気記事ランキング(全体)
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
その姿、まるでGB400TT MkIIの正統後継者! 欧州ホンダは、2025年も例年通りカスタムコンテスを開催。これは正規ディーラーがホンダ車をベースにカスタムを手がけ、オンライン投票で最優秀マシンを[…]
実は”ホンダエンジン”時代からの愛車だった マンセルがF1のパドックで乗っていたのは、ホンダのダックス70(CT70)でした。1988年モデルとも、1987モデルとも言われていますが、いずれにしろ当時[…]
フェイスリフトと前後サスペンションの再設定 ホンダが「XL750トランザルプ」の国内2025年モデルを発売する。CB750ホーネットに似た2眼ヘッドライトを新たに採用し、センターダクトを設けたウインド[…]
2ストレプリカの原点にして、TZRへの橋渡し役だったRZシリーズ 最後の2ストロードスポーツを作るという情熱が込められ、1980年に登場したRZ250。同車が「最後」と言われたのは、環境問題も絡めて今[…]
最新の投稿記事(全体)
レジャーバイク人気の主役となった初代ダックスホンダ(1969年~) 国産レジャーバイクの元祖と言えば、ホンダが多摩テックで子供向け遊技用に用意したモンキーバイクZ100、それに続く市販車のモンキーZ5[…]
CBR650R&CB650Rをもっと楽しく、ジェントルに! マフラーカスタムは出力特性を向上させるもの。そんなイメージを抱いている方はとても多いと思います。しかし、近年のバイクはノーマルでも十分パワフ[…]
A:どちらも不具合。後ろはアフター、バックは戻ると覚えるべし 未燃焼ガスがシリンダー外で燃えるという意味では、どちらも同じ”不調”を表している。アフターファイアーはマフラー側に流れた未燃焼ガスが引火す[…]
インフレの今、価格破壊王のワークマンがまたやってくれた! 春から初夏にかけ、ツーリングのシーズンがやってきた。爽やかな空気を全身に浴びてのライディングは最高だ。しかし…この期間はジメジメ・シトシトの梅[…]
随所に漂うエフっぽさ。軽さにも驚く! 思い起こせばCB-Fコンセプトから5年。本当に待ってました(笑)。実車を見て、まず思ったのは、さまざまなところにエフっぽさがあるということ。カラーを見て思わず「お[…]
- 1
- 2