
●文:[クリエイターチャンネル] 山崎陸
筆者が、カワサキNINJA250Rと一緒に、RSタイチのバイク用ジャケットと、パンツを購入したのは、10年以上前の大学生時代。その後、さまざまなバイクに乗り換えましたが、ジャケットとパンツは、ずっと同じものを使っていました。
さすがに年季が入ってきたこと、胸部プロテクターが付いていないこと、スポーティーなデザインが今メインで乗っている、ホンダ スーパーカブ110に合わないことを理由に、目をつけたのがインナープロテクター! 下に着ておけば、どんな上着やズボンを着ても良くなるので、ツーリングでは毎回使いまくっています。
どのインナープロテクターにするかは、かなり迷いました。通販サイトにはたくさんの商品があり、それぞれ何がどう違うのか、よく分からない。選ぶのが面倒だし、やっぱりジャケットにしちゃおうかなと、思ったりもしました。
本記事では、そんな筆者がどうインナープロテクターを選んだのか、そして実際に使ってみてどうだったのかを紹介します。上下あわせて数万円と安くはないので、みなさまが納得して購入できるよう、この記事が一助になれば、うれしいです。
私が重要視したインナープロテクター選びの基準
基準としたのは、下記の3つです。
CE規格をクリアした胸部プロテクターが付いているか
警視庁が発表した”二輪車の交通死亡事故統計(2023年中)”によると、2018〜2022年の間で致命傷部位の最多は頭部の49.7%、次点が胸部の25.7%です。前述したように、以前使っていたジャケットも、胸部プロテクターが付いておらず「心臓がある胸を守ってないけど、これいいのかな…」と不安があったので、次は絶対に胸部プロテクター付きにしようと、決めていました。
プロテクターには、”CE規格”という安全性能基準があります。簡単にいうと、商品がEU加盟国の安全基準を満たしているかの指標で、これをクリアなければEU圏では販売そのものができません。
さらにCE規格にはCEレベル1、CEレベル2があり、2のほうが衝撃を吸収する性能が高く、防御力が優れています。日本での販売なので、CE規格は関係ありませんが、プロテクターの性能を判断する材料にはできますね。
シンプルなデザインか
インナープロテクターなので派手なものはあまり存在しないですが、目立つところにロゴが入っていたり、ゴツいプロテクターが入っていたりするものは、やめました。筆者の好みによるところですが、派手なデザインや体つきがゴツく見えるのは、避けたかったためです。
通販サイトで具体的なサイズが記載されているか
サイズがきちんと分かるかも重要です。筆者が住んでいる地域だと、バイク用品専門店が近くになく、試着が難しい状態。そのため、Amazon等の通販サイトでの購入を検討しました。身長、胸囲、ウエストあたりの具体的な寸法が載っていると、サイズ違いが防ぎやすくて安心です。口コミで、だいたいのサイズ感を確認するのも、有効といえます。
ちなみに、Webikeというバイク用品/パーツの専門通販サイトでは、返品無料サービスを実施しています。インナープロテクターの試着もできて便利そうでしたが、送り返す面倒や、試着時に傷つけてしまうリスクを考えて、今回は利用しませんでした。
選んだのは、デイトナのインナープロテクター!
先に挙げた基準を考慮した結果、デイトナの上下インナープロテクターHBP-019とHBP-021を購入することに。170cm、60kgの筆者の場合、Mサイズがぴったりでした。
胸と背中、ひざにCEレベル1、肘と肩とおしりにCEレベル2のプロテクターが付いています。全部CEレベル2が理想ですが、ちょうどよいインナープロテクターを見つけられず、こちらがベストだと判断しました。
ロゴが、右わき腹の目立たないところにあるのもいいですね。粘弾性ビスコエラスティックという素材を使った、デイトナ独自のプロテクターSYS-TECが採用されているのもポイント。
通常は柔らかいけど衝撃を受けると硬化する性質があるため、ゴツくない、スマートなスタイリングを実現できるのです。画像のようにぐにゃりと曲がるということからも、柔軟性がわかるでしょう。
購入したAmazonではきちんとサイズ表記があったというのも、安心材料でした。
インナープロテクターを買ってみての感想
人生で初めてインナープロテクターを使った感想です。
インナープロテクターにしてよかった!と思った点
なによりバイク用ジャケットよりも、動きが楽。インナープロテクターは伸縮性があり、体にフィットするので、着たまま歩いても不快感はありません。タイツにプロテクターが付いたイメージですね。プロテクター自体も、柔らかいためでしょう。
私はツーリング先で観光や買い物をするとき、バイク用ジャケットを脱いで、バイクに置いていました。インナープロテクターにしてから、盗られないかなとか、雨が降って濡れないかなどという心配から解放されましたというのは、大きかったです。
もうひとつ、年中着られるのも大きなメリット。ライダースジャケットやライダースパンツでも、年中同じものを着られないこともないですが、重ね着による体温調節のしやすさは、インナープロテクターに軍配が上がります。
ライダースジャケットやライダースパンツと比べたときの意外なデメリット
私が購入したデイトナのインナープロテクターは、シャツだと重量が880gと、一般的なシャツと比べたらはるかに重め。生地が体にフィットする、伸縮性の高い素材なこともあり、ハンガーにかけるととても伸びます。たたんで平置きして、保存したほうが形状は保てるかもしれません。
また、洗濯が面倒です。ジャケットを頻繁に洗濯したりはしないかもしれませんが、インナープロテクターは汗で汚れるため、筆者は毎回洗濯機に入れています。
10個以上のプロテクターを外して、洗って乾かして、またプロテクターを入れてという作業がけっこう面倒くさい! プロテクターが同じような形ということもあり、慣れるまでは「ひじ用、膝用、肩用、どれがどれだか分らない!」となってしまっていました。
私は月に数回ツーリングに行くときに着るだけなので、まだマシですが、毎日着る人はライダースジャケット&ライダースパンツの方が楽かもしれませんね。
2万円ぐらいしたけどインナープロテクターはいい買い物だったな
買う前に思っていたメリットは、だいたい予想通り。ハンガーにかけられない、洗濯が面倒というデメリットは、言われてみればそりゃそうだと思いますが、購入前には気が付けませんでした。でも、こうしたデメリットを考慮しても、インナープロテクターはいい買い物だったなと思えます。なにより、好きな服装ができますし。
ファッションにこだわりたいライダーは、手軽に安全性が向上できる、インナープロテクターがオススメですよ!
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(山崎陸)
愛知県と岐阜県の境に位置する犬山市には、人気釣りスポットの入鹿池(いるかいけ)があります。バス、ヘラブナなどのさまざまな釣りが楽しめますが、冬季は産卵期で身が一番大きくなるワカサギがおすすめ。釣りごた[…]
どんなUber Eats配達員でも必ず持っている装備といえば、スマートフォン。これがなければ、仕事を始めることすらできません。 そんなスマートフォンですが、太陽が強く照っている日に使うと画面が真っ黒に[…]
冬のUber Eats配達は過酷です。寒さと路面の凍結の両方と戦わなくてはいけません。しかし、それゆえに配達員が少なくなるため、やり方次第で1年を通してもっとも高額な収入を得られるチャンスの季節だと思[…]
私はホンダPCXでUber Eats配達員をやっています。3000回ぐらい配達してきましたが、いつしか「ピザ屋やハンバーガー屋などのデリバリーいいなぁ」と思うようになっていました。なにせ彼らの相棒は、[…]
標高2172メートルに位置する渋峠は、長野県と群馬県の県境にあるバイクツーリングの聖地として名高い日本最高所の国道です。冬季は厳しい寒さになるため、4月末から11月中頃の限られた期間のみ開通しています[…]
最新の関連記事(バイク用品)
知識ゼロから飛び込んだ継承への挑戦 このデニム、ただの復刻ではない。SFG前オーナーの強い想いに突き動かされ、全てを見直して完成させた「ライダー向け」の工夫が詰まっているのだ。 G RIDEが起業して[…]
瞬時に色が変化! 防曇シートに調光機能を加えた「e:DRYLENS」 SHOEIが、ライディング中のクリアな視界を実現するための新たなアイテムをリリースする。その名も「e:DRYLENS」は、ベースと[…]
寒暖差が大きくても着替えずに対応できる! ワークマンのヒーターウエア『WindCore(ウインドコア)』シリーズは、電熱ヒーターを内蔵する防寒アイテム。別売りのバッテリー(4900円)は必要だが、もの[…]
「着る換気扇」サーキュレーターメッシュ 今回紹介するのは、2025年9月の発売からわずか2ヶ月半で累計3万枚を突破したという「サーキュレーターシリーズ」だ。最大の特長は、裏地に採用された「サーキュレー[…]
「天然のエアコン」が汗冷えを防ぐ 厚着をしてバイクで走り出し、休憩がてら道の駅やコンビニに入った瞬間、暖房の熱気で生じる汗の不快感。そして再び走り出した直後、その汗が冷えて体温を奪っていく不安。ライダ[…]
最新の関連記事(プロテクター)
軽さと剛性を両立する“TECCELL”構造を採用 TRV067の最大の特徴は、採用されている素材と構造にある。使用されているのは、ポリプロピレン樹脂を特殊な連続成形技術で成型したハニカム構造のコア材・[…]
竹繊維を配合した柔らかく軽量なプロテクターシリーズ 「お気に入りのジャケットを、もっと涼しく、もっと快適にしたい」、そんなライダーの願いを叶えるアップグレードパーツ「バンブーエアスループロテクター」シ[…]
風が抜けるのにCEレベル2! タイチ「ネックスエアー」が夏の安全を変える ライダーの命を守る重要な装備、胸部プロテクター。しかし夏場は熱がこもりやすく、つい安全性よりも涼しさや薄さを優先した装備に切り[…]
どんなジャケットにも合わせられるベルトタイププロテクター ライダーの命を守る胸部プロテクターは、万が一の事故の際に内蔵への衝撃を和らげ、重篤なダメージから身を守る重要な役割を果たす。これまでも多くのプ[…]
「そろそろ? 」「いよいよ? 」いやいや、もはや定番アイテムです! バイク用エアバッグの安全性、そして重要性が認められるようになって数年が経っています。その間、各メーカーの進化は著しく、ま[…]
人気記事ランキング(全体)
悪質な交通違反の一つ、「無免許運転」 今回は無免許運転をして捕まってしまったときに、軽微な違反とはどのような違いがあるのか紹介していきます。 ■違反内容により異なる処理無免許運転の人が違反で捕まった場[…]
6999ドルで入手したバイク「VOGER」、ハーレーよりでっかい箱で到着! タンクの中が明るいぞ! 彼女を乗せたらどこに足を置けばいいんだ? ヘッドカバーがプラスチック?! アメリカの人気YouTub[…]
充実してきた普通二輪クラスの輸入モデル この記事で取り上げるのは、日本に本格上陸を果たす注目の輸入ネオクラシックモデルばかりだ。それが、中国のVツインクルーザー「ベンダ ナポレオンボブ250」、英国老[…]
進化した単気筒TRエンジンは5%パワーアップの42psを発揮! トライアンフは、2026年モデルとして400シリーズの最新作×2を発表した。すでにインドで先行発表されていたカフェレーサースタイルの「ス[…]
バッテリーで発熱する「着るコタツ」で冬を快適に ワークマンの「ヒーターウエア」シリーズは、ウエア内に電熱ヒーターを内蔵した防寒アイテム。スイッチひとつで温まることから「着るコタツ」として人気が拡大し、[…]
最新の投稿記事(全体)
250でもビッグバイクと同じレベルのクオリティを! ヤマハは1988年に250ccのアメリカンクルーザー、空冷60°VツインのXV250 Viragoをリリースした。 それは250ccの片側125cc[…]
航続距離はなんと362km! ヤマハは、2025春に開催された大阪モーターサイクルショーにて「オフロードカスタマイズコンセプト」なる謎のコンセプトモデルをサプライズ展示。従来型のWR155R(海外モデ[…]
〈1978年3月〉SR400[2H6]/500[2J3]:ロードスポーツの原点 1976年に発売したオフロードモデルのXT500のエンジンとフレームをベースに、トラディショナルなロードスポーツとして登[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転可 バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原[…]
500km/hの速度の鉛玉も防ぐ! SHOEIがキャリーケース事業をスタートする。これまでに培ってきたヘルメット製造技術を活かした新規事業で、GFRPを用いた質感と堅牢性、強固なフレーム構造による防犯[…]
- 1
- 2












































