「ブレーキオイル」は「オイルじゃない」って知ってた?【バイクビギナーQ&A】
「ブレーキオイル」は「オイル」ではない
タイトルですでに結論言っちゃってますが・・・ブレーキオイルはオイルじゃありません。液体(フルード)なので、「ブレーキフルード」が正解。
だけど「油圧ディスクブレーキ」って言うよね?? 油圧ディスクブレーキ、その圧力を伝えているのがブレーキフルード液ですが「ブレーキオイル」と呼ぶ人が多いのも、事実。実際、「ブレーキオイル」で検索できるし、そのままネット通販で買うことだって、できますものね。なかなか腑に落ちませんが…。
ブレーキフルードの主成分は?
では、ブレーキフルードの主成分は何なのでしょうか?
ブレーキフルード(ブレーキ液)は、グリコールモノエーテルと呼ばれる化学物質をベースに作られるものが主流で、この物質は油(オイル)ではありません。原料を見ると、違いがよくわかりますね。
ちなみに「グリコールモノエーテル」のおもな性質は下記の通り。
- 高い沸点:グリコールモノエーテルは、ブレーキフルードの沸点を高く保ち、ブレーキシステムの過熱による沸騰を防ぎます。
- 優れた吸水性:ブレーキフルードは吸水性があり、ブレーキシステム内の水分を吸収することで腐食を防ぐ役割も果たしますが、一定の吸水性を持つことで、システム内の水分が均等に分布し、ブレーキ性能を安定させることができます。
- ゴムへの適合性:グリコールモノエーテルは、ブレーキ内で使用されるゴムシールやパッキンを侵さないのでブレーキ機構に影響を及ぼしません。
このように、まさにブレーキ液としてうってつけの成分なのです。ただし、古い一部の四輪車の油圧式ディスクブレーキには、鉱物油系のブレーキ液も使われていたりします。そちらは、ブレーキオイルと呼んで間違いありません。なんにしても、ややこしい話ですね~。
ブレーキフルードに要求される性能とは?
ブレーキフルードには、粘性が低く、圧力による体積の変化が小さく、低温時は-50℃でも凍らず、高温時には200℃でも沸騰しない、とさまざまな環境変化に耐えることが要求されます。これらの性能を維持できる液体でなければ、ブレーキフルードとして使用できません。
なんたって、命に直結する重要保安部品を支える液体なので、他のもので代用するなんてもってのほかと、いうことなのです。都市伝説で、食器洗い洗剤で代用したなんて話もありましたが、そんなのは言語道断。決して、真似してはいけないのです。
逆に、オイルを入れるとどうなるのか?
逆に、エンジンオイルなどの鉱物油をブレーキオイルとして、使用したらどうなるか? 試すこともできないので、あくまで推測ですが、考えられるトラブルとしては「ベーパーロック現象」があります。
ブレーキは密閉されているとはいえ、リザーバータンク内に微量ながら空気が入っているので、気温差で結露が生じ、結果としてオイルの中に水分が混入します。当然、オイルと水は混ざりませんから、坂道を下るときなど、ブレーキを使いすぎると温度が上昇して、混ざっている水分が沸騰して、油圧が伝わらずにブレーキが効かなくなる、「ベーパーロック現象」を起こす可能性が高まるわけです。
廃棄の際はエンジンオイルと混ぜないで!
ここで重要になってくるのが、ブレーキフルードの廃棄方法です。オイルではないため、エンジンオイルと混ぜて廃棄することは厳禁です。なぜなら、エンジンオイルのリサイクルができなくなってしまうからです。必ず、オイルとは分別して処理するようにしましょう。
ちなみにブレーキフルードの廃棄方法としては、少量であればボロ布などに吸わせて燃えるゴミとして廃棄する方法や、最初からブレーキフルード交換をプロに任せてしまうのが、安全で確実といえます。
まとめ:知れば納得の呼び方
いかがでしたでしょうか? 筆者は長年勘違いしていたわけですが、ちゃんと学んでみると、なるほど納得でした。ブレーキの動作に要求される性質を持ちながら、それを長期間維持できるのが、ブレーキフルードというわけですね。とはいえ、ずっと使えるものではなくて、定期的な交換が必要です。マニュアルにある交換サイクルを、しっかり守って劣化する前に交換するようにしましょう!
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
最新の関連記事(DIY道楽テツ)
アクセルワイヤーが長すぎた!というトラブル ハンドルを交換して長さが合わなくなってしまったり、はたまたケーブルそのものが痛んでしまったり。こうしたアクセルワイヤー(スロットルケーブル)を交換する際、「[…]
セルが弱くなったらバッテリー交換のサイン スクーターのバッテリーが弱ってきたのか、始動性がイマイチになってきました。 そういえば、このバッテリーもずいぶんずいぶん古くなってきたので、バッテリーを買い替[…]
新品タイヤが滑るその理由 新しいタイヤは滑ります。 滑りたくないから新しいタイヤに交換したというのに、なぜか新しいタイヤはマジで滑るんです(経験者は語る)。 なぜ滑るかというと、それはタイヤの製造過程[…]
場所によっては恒例行事なバイクの冬眠(長期保管) 「バイクの冬眠」…雪が多い地域の皆様にとっては、冬から春にかけて毎年恒例の行事かもしれませんね。また、雪国じゃなかったとしても、諸事情により長期間バイ[…]
燃料コックにも涙? それはある日の出来事。バイクで走り出そうとガソリンタンクの燃料コックをオンにした時、指先に冷たいものを感じました。 何があるのかと覗き込んでみると・・・燃料コックが泣いているぅ~![…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
収納しやすく持ち運びやすいカード型くもり止めスプレー これからの時期、急に雨に降られて走行する際にシールドが曇りやすくなる。雨の中でシールドが曇ると余計に視界がなくなり、安全運転を阻害する要因となりか[…]
論より証拠! 試して実感、その効果!! 1947年カリフォルニア州ロングビーチで創業し、これまでにカーシャンプーやワックスをはじめ、さまざまなカー用品を手がけてきた「シュアラスター」。幅広いラインアッ[…]
なぜ「モンキーレンチ」って呼ぶのでしょうか? そういえば、筆者が幼いころに一番最初の覚えた工具の名前でもあります。最初は「なんでモンキーっていうの?」って親に聞いたけども「昔から決まっていることなんだ[…]
エンジンがかかりにくい→完全停止へ 今回直したのはスズキのZZです。2000年代初頭に登場した50ccスクーターで、「通勤快速」として人気を博し、油圧ディスクブレーキやアルミホイールなど、当時としては[…]
大和ハウスグループが手がけたD-Wash 愛車を長持ちさせるためにも、大切にしたい「洗車」という作業。 汚れの放置はサビや各部品の劣化が進むことにもつながるし、洗車をしながら、緩んでいるボルトやパーツ[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
規制の根拠は「道路法・第46条第3項」 高速道路などを走っていると、時折インターチェンジの手前などで「危険物積載車両ここで出よ」という表示を目にすることがある。この表示を見かけた場合、その先に危険物積[…]
シリーズ第11回はクイーンスターズ・スペシャルQ&A! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運[…]
シリーズ第10回は『クイーンスターズ』に学ぶ「取り回し」だ! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転[…]
日本語表記では「前部霧灯」。本来、濃霧の際に視界を確保するための装備 四輪車ではクロスオーバーSUVのブーム、二輪車においてもアドベンチャー系モデルが増えていることで、「フォグランプ」の装着率が高まっ[…]
シリーズ第9回は『クイーンスターズ』と一緒に「引き起こし」だ! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運[…]
人気記事ランキング(全体)
新進気鋭のクルーザー専業ブランドから日本市場に刺客! 成長著しい中国ブランドから、またしても新顔が日本市場にお目見えしそうだ。輸入を手掛けることになるウイングフット(東京都足立区)が「導入ほぼ確定」と[…]
静かに全身冷却&最長10時間のひんやり感を実現 ライディングジャケットのインナーとしても使えそうな『PowerArQ Cooling Vest』。その特長は、ファンやブロワー、ペルチェ式ヒートシンクを[…]
なぜ「モンキーレンチ」って呼ぶのでしょうか? そういえば、筆者が幼いころに一番最初の覚えた工具の名前でもあります。最初は「なんでモンキーっていうの?」って親に聞いたけども「昔から決まっていることなんだ[…]
レブル250ではユーザーの8割が選択するというHonda E-Clutch ベストセラーモデルのレブル250と基本骨格を共有しながら、シートレールの変更や専用タンク、マフラー、ライディングポジション構[…]
最新モデルはペルチェデバイスが3個から5個へ 電極の入れ替えによって冷却と温熱の両機能を有するペルチェ素子。これを利用した冷暖房アイテムが人気を博している。ワークマンは2023年に初代となる「ウィンド[…]
最新の投稿記事(全体)
Hondaスピリットを足もとに。cciluコラボシューズ第2弾が登場 ツーリング先での散策、キャンプサイトでのリラックスタイム、そしてレース観戦。そんなバイクライフのあらゆるシーンに寄り添う一足が、シ[…]
余裕の動力性能を持つシリーズ最大モデル ヤマハが誇るフロント2輪のLMW(Leaning Multi Wheel)機構を採用するスクーター「トリシティ300」の2025年モデルが登場した。ともに新色の[…]
1位:ワークマン「ペルチェベストPRO2」徹底レビュー ワークマンから最新の「アイス×ヒーターペルチェベストPRO2」。本製品は、冷却・温熱両機能を持つペルチェデバイスの個数が昨年モデルの3個から5個[…]
2025年モデル概要:インパクト大なシリーズ初カラー カムシャフトの駆動にベベルギヤを用いた、美しい外観の空冷バーチカルツインエンジンを搭載。360度クランクによる鼓動感や等間隔爆発ならではの整ったエ[…]
エイトボール! 王道ネイキッド路線への参入予告か スズキがグローバルサイトでティーザーらしき予告画像を公開した。ビリヤードの8番玉の横には『SAVE THE DATE 4TH JULY』とあり、7月4[…]