こだわりバイクライフSNSショッキングVol.6
「バイクとともに転がり続けて、辿り着いた天職」sammasworks益田隼矢さんのバイクライフ
初めまして、島根県西部・石見地方で金属加工/溶接業を営んでいるsammasworks(サンマスワークス)代表の益田と申します。Hoity’s(ホイティーズ)荒木くんに続き、私のバイクライフを紹介させて頂きます。
機械好きながらバイクに無関心だった幼少期
幼少期から何かと物の仕組みや原理が気になる性で、図書館の本や図鑑を端から端まで読み漁り、石を拾って家で分類したり昆虫を代わる代わる飼ったり、プログラミングに傾倒したり…と好奇心の赴くままの子供時代を送っていました。またクルマや電車が好きで、幼稚園で描いた絵は9割R34GT-Rか京王井の頭線…。
そんな生い立ちだったこともあり、クルマや自動車工学は好きだった物のバイクには一切興味がありませんでした。「カブは大柄でミッション車っぽいから原付ではないのかな…?」と思っていたレベル。バイクが全部同じに見えるという興味が無い人の気持ちがよく分かります。
人生を変えたNS-1との出会い
そんな自分とバイクの出会いは2014年のこと、高校二年生の秋でした。きっかけは片思いの女子に振られた事…。我ながらダサすぎる契機ですが、ひとしきり落ち込んだ後に頭に浮かんだのが私にとっては未知の乗り物であった原付でした。
札幌駅の広告の富良野の丘が、Macの壁紙の青い池が僕を呼んでいる気がしました。現実逃避も良い所です。
原付免許が1万円以内・1日で取れると知った時の、そしてとても原付には見えない大柄なホンダ・NS-1を知った時の衝撃は計り知れない物でした。見栄っ張りな私にピッタリです。
クルマでは遥か昔に淘汰された、2ストロークエンジンがバイクではつい最近まで残っていたという事もまた衝撃でした。クルマは就職するまで乗らないと決めていたこともあり、予定より5年以上早く乗り物に触れられるという事が嬉しく、夢中になりました。
冬季は積雪の為、原付免許の試験が実施されない北海道。
倉庫や土木解体、除雪…学校以外の時間は全てバイトに費やしました。余った時間は車種やメンテナンス、交通法規…バイクの勉強に費やしました。
翌年の4月6日、春一番の試験で無事原付免許を取得。NS-1が納車された時の胸の昂りは忘れられません。
人生で始めてのバイク、それもMT。運転に難儀したのをよく覚えています。自分の愛車を自分で運転し、憧れの富良野・美瑛を走り…生まれて初めて「自由」を感じました。北海道のどこへでもスロットルを捻れば行けるのです。岬を回り、日高で名馬に会い、友人と地平線を眺め…最高の高校生活でした。北海道が故にバイクに厳しく停学処分を受けたりもしましたが…(泣)。
NS-1に乗って移住しながらの日本一周
まだ残雪が目立つ3月の北海道、高校三年生の春。高校の卒業証書を受け取り、その足で市役所へ。転出届を受け取り、予め話を通しておいた派遣会社へ。本州行きのフェリーチケットを受け取りました。NS-1に乗って自由の味を覚えた私は、原付とリュック一つで実家を北海道ごと飛び出すことにしたのです。
八戸港に降り立ち、辿り着いたのは岩手県。用意されていた社宅は国道4号線沿い。目の前には「東京まで480km」と書かれたキロポスト。衝動的に東京在住の祖母に「明日行く」と電話しました。岩手宮城福島栃木茨城埼玉、辿り着いた東京都。一晩で県境を超える快感の虜に。そう、北海道に県境は無いのです。
ロングツーリングを重ね、年間4万km程NS-1で走り回っていました。当然この距離を原付で走ると様々なメンテナンスが必要になるので工具を揃えて自分で直し、壊れた場所は社外パーツを組みブラッシュアップしていました。
1年で東北を大体走り尽くしたので、次は西日本・関西へ。合宿で中免を取りナンバーが黄色くなったNS-1とともに京都府北部のバイクの聖地・美山町へ引っ越し。絶好のツーリングルートに囲まれた社宅は希望通りのバイクが弄れる一軒家。
最高の移住ライフ一ヶ月目、早くも大事件が。NS-1で鹿を轢いてしまい、カウルを含め、フロント周りがボロボロに大破してしまったのです…。
「壊れた場所は社外パーツを組みブラッシュアップ」、やってやろうと思いました。
曲がったステーやシートレールは切り落とし、それらを勢いで購入した100Vアーク溶接機で新たに作成してからRS125カウルを移植。デカールを手切りして加藤大治郎カラーで仕上げたNS-1は、人生初の形を作り変えるカスタムとなりました。バイクが思い通りの形になっていく…その面白さを教えてくれたのもまたNS-1でした。
カスタムに傾倒し、開業の契機となったコレダ
西日本をほぼNS-1で走り尽くしたこともあり、京都を出て東京へ引っ越すことに。それから間もなくして、非常にいい出会いが。友人のNS50FのフォークO/Hの工賃としてなんとK50コレダを譲ってもらえることになったのです。
実は高校生の頃、NS-1と並び乗りたかった憧れの原付がありました。往年のレーサーを彷彿とさせるスタイリングが魅力のホンダ・ドリーム50です。本当に見栄っ張りですよね。
結局ドリームに乗る事はありませんでしたが、ドリーム乗りの友人の影響もあり、60’sストリートカスタムに興味があったのです。そんな私にコレダ…運命を感じました。軽くて部屋に入れやすく、細くて街中でも乗りやすいのが都会向きに感じられたのもポイントでした。
コレダ、YB-1などレトロ50車種に代表されるようなビジネスバイクはボルトの取り付け穴・シート取付部等何かと共通であることが多く、鉄工設備等が無くてもカスタムが容易だったりします。流用が効くことが多く、中古パーツのタマ数が多い上に相場も安くコストパフォーマンスも良好です。
またエンジンのパワー向上を図る際など、基本的にカスタムパーツは皆無なのでリューター等を使ったポート加工や流用等が前提となることが多い上に、情報も4miniやNS系に比べると皆無といってもいいレベル。試行錯誤の余地が大きく残っており、非常に面白いジャンルだと思います。
コレダを手に入れてからは18インチホイールHリム化、スクランブラータンク・AC90シートなど流用をメインに外装を弄り、各所加工まみれのエンジンに自分で設計したワンオフチャンバーを装着。開業を夢見ながらも、コレダと人生のセッティングに試行錯誤する日々を送っていました。
そんなある日、SNSで自分のコレダに関する投稿を見たバイクカスタムショップのオーナーから「うちでメカニックとして働いてみない?」とDMが!これが現在の開業に繋がる第一歩となりました。
バイクが人生を導いてくれた
視野が狭かった僕に日本中の色々な景色や街を見せてくれて、自分の人生について落ち着いて考える時間をくれたのはNS-1。そして溶接など金属加工やチューニングの面白さ、バイクカスタムの楽しさや自分の天職を教えてくれたコレダ・K50。私の人生をここまで導いてくれたのは、いつだってバイクでした。
そんな私が手掛けるsammasworksはまだ2023年12月開業と開店から間もない上、島根県ということもあり交通の便が悪い当店ですが、宅急便でパーツを送って頂ければパーツの溶接加工・補修を始め皆様のカスタムやレストアの様々なお手伝いができると思います。ちょっとしたオーダーから無理難題までお気軽にご相談下さい。
次回の「こだわりライダーSNSショッキング」は…
バイクショップに勤めるS500Hondaさんが登場予定。どんなバイクライフやバイク愛を語ってくれるか、乞うご期待!!
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