癖が強すぎる電動バイク TROMOX「UKKO S LITE」試乗レビュー

●文:[クリエイターチャンネル] 相京雅行
筆者のようなバイク好きおじさんは「電動化」に良い印象がないかもしれません。ですが、世はSDGsの時代。小型バイクから徐々に電動化の波は来ているように感じます。
バイクには移動手段としての便利さだけでなく、運転する楽しさも求めたいところ。
今回試乗するUKKO S LIGHTは見た目はばっちり楽しそう! 販売代理店のXEAMさんによれば1充電で90キロ前後は走れるとの事だったので、走り回ってみました。
装備はとにかく豪華!
灯火類は全てLED
ヘッドライトは縦2連のLEDが採用されていて、ロービームは一灯、ハイビーム時は二灯になります。
ウインカーは国内モデルでは見かけることのないシーケンシャルタイプ。いわゆる流れるウインカーで、作動時には独特な音がするのも特徴です。
UKKO S LIGHTのバッテリー
通常エンジンがマウントされる部分にはでっかいリチウムイオンバッテリーがレイアウトされていて、迫力抜群。
ボディ右側にカプラーが接続できるようになっていて、家庭用の100V電源で充電が可能です。満タンに充電するには7.4hほどかかります。
スーパースポーツ顔負けのアルミフレーム
スーパースポーツバイクのようなごっついアルミフレームが採用されていたのには驚きました。溶接跡もレーシーな感じです。
UKKO S LIGHTの足回り
倒立フロントフォーク、ブレーキはシングルディスクに3ポットキャリパーをマウント。コンビネーションブレーキが標準装備です。
スイングアームはアルミ製で、モノショックとシングルディスク、1ポットキャリパーの組み合わせ。モーターの出力的に原付二種に該当するので、二人乗りするためのタンデムステップも装備しています。
前後14インチ、フロントは100、リアは120mm幅のタイヤを装備していて、メーカーはチェンシン製でした。
チェンシンは台湾のタイヤメーカーで、国内でも特に小径サイズがコスパが良くて人気。ホンダやヤマハも純正指定しています。
NFCカードキーを採用
電源操作はカードキーで行いますが、アナログの鍵がついているのはハンドルロックやシート、バッテリーカバーの開閉などを行うため。
電源オフ時にはイモビライザーがついているので、車体を動かそうとすると警告音がなります。
フルデジタルメーター
フルデジタルメーターに表示されるのはバッテリー残量、速度、予想連続航行距離、オドメーターです。トリップメーターや時刻表示がなかったは残念でした。
ビックリするような機能も
左集中スイッチには「R」のボタンがあります。実はこれを押しながらアクセルをひねると後ろに進む「バックボタン」なんです。
UKKO S LIGHTの車両重量は110kgなので、押し引きは楽で正直いらないような気がするのですが、「ロマン枠」なのかもしれません。
更に大型車両に装備されることの多いクルーズコントロールボタンもあるじゃないですか!ボタンを押した時のスピードが維持される機能です。
高速道路でスロットルを開け続けるのが疲れる時に便利な機能ですが、ストップ&ゴーが多い下道では使わない機能です。なかなかロマンにあふれています。
右集中スイッチにはE・D・Sのボタンが。実はこれドライブモードです。エコ・ドライブ・スポーツを表しているのでしょうか?
UKKO S LIGHTの足つき
UKKO S LIGHTのシート高は760mm、車両重量は110kg。筆者の身長は164cm、59kg短足昭和体系。試乗時に履いていたライディングブーツのつま先ソール厚は1.5cmでした。
UKKO S LIGHTに跨ってみると、なんと両足踵までベッタリつきました。125㏄クラスとはいえ、こんなに足つきが良いバイクは珍しく驚きました。
シート幅が狭い事や、座った時にサスペンションが沈むことも足つきの良さに貢献していそうです。
UKKO S LIGHT試乗してみた
UKKO S LIGHTに跨りアクセルを開けてみると、ガソリンエンジンとは違い加速の立ち上がりが唐突な印象を受けました。
これはUKKO S LIGHTに限らずモーター駆動の電動バイク全般に言える事ですが、もう少しガソリンエンジンの立ち上がりに寄せてくれると扱いやすいように感じます。
初めに戸惑ったのは、リアブレーキが左レバーにある事。モーターなのでチェンジペダルがないのはわかるのですが、この形ならリアブレーキは足の方にあってもいいような。
何かと戸惑いながら走り出してみると、今度は上り坂でブレーキをかけながらアクセルを開けてみるとなぜか進みません。
ブレーキがかかっている状態だとモーターが駆動しない仕様の様子。坂道ではパッとブレーキを離してアクセルオンする操作が要求されます。慣れればなんてことないのですが、普段スクーターに乗っている筆者はしばらくドキドキしました。
Eモードである程度の距離を走りましたが、走り出しこそパワフルに加速するものの、30km/hでリミッターが効いて頭打ちします。
30km/h規制道路で30km/h走行していても、画像のようにバンバン抜かれてしまうので早々にDモードへ。
DとSモードの加速はヤバい!
Dモードにすると60km/h以上で走行できるので、車の流れに乗って走ることができますが、驚きべきは加速力。
EからDモードに変更すると、加速の豹変ぶりにビックリ。更にSモードにしてみたら、150㏄クラスのスクーターよりも加速が凄いのです。
信号待ちで125㏄クラススクーターと並んでも、走り始めからガッツリ引き離せるぐらいの加速力で気持ち良い! の一言。
ただ反面フロントタイヤの設置感が弱く、若干ふらつく印象がありました。走っていて怖いと感じるほどではないのですが、気になるポイントです。
コンビネーションブレーキの強力なストッピングパワー
コンビネーションブレーキを採用しているので、左レバーを操作すると前後ブレーキがバランスよくかかるようになっており、右レバーはフロントのみです。
実際に操作してみるとリアブレーキは少し操作しただけで制動力が強く、フロントブレーキは細かいスピード調整がしやすい印象でした。
コーナリング時はフロント回りが若干ふわつくのと、加速の立ち上がりがトルクフルなので、ガッツリ車体を倒して旋回するというよりはハンドルを使って曲がる方が安心感がありました。
連続航行距離はどれぐらい?
バッテリー容量はパーセント表示されないので、正確に連続航行距離を測ることができませんでしたが、40キロほど走った段階で、半分以上残っていたことから80キロ~90キロぐらいは走れそうな印象です。
ただ使っている走行モードによってバッテリーの減り方が全然違うので、たとえばDモードを使い続けていればもう少し距離を伸ばせるかもしれません。
こんなEV化なら未来に期待したい
電動バイクなんてつまらなそう…そう思っていませんか?
UKKO S LIGHTの加速感は既存の125㏄のどの車両よりもはるかに優れています。
アクセル開けはじめの唐突な加速、フロントのフワフワ感など癖が強い部分はありましたが、運転するワクワクはしっかり感じました。
連続航行距離もようやく移動手段として徐々に使える距離になってきている印象です。こんな楽しいEV化の未来なら期待しても良いかもしれません。
動画で試乗インプレッションを見たい方はこちら
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(相京雅行)
1分でわかる記事ダイジェスト 夏に使ってもらいたいワークマンのインナー8着を紹介。半袖Tシャツが990円、ボクサーパンツも990円とお値段もお安くなっている。走行風によって乾いた時には、気化熱で肌表面[…]
1分でわかる記事ダイジェスト 快適なメッシュジャケット&パンツで夏を乗り切ろう! 年々、夏場の熱さが厳しくなってきているように思う。バイクで走り始めると路上には日影が少なく、常に直射日光に照らされる。[…]
1分でわかる記事ダイジェスト 夏にメッシュジャケットの下に着用したいおたふく手袋のインナー7選をご紹介。吸水速乾性に優れた化学繊維を使った高機能インナーだ。 パワーストレッチEVOシリーズ 手袋の春夏[…]
1分でわかる記事ダイジェスト ワークマンのマッスルブースターセーフティをご紹介。筋力アップを目的としたものではなく、今ある筋肉が効率的に使えるようになる。電車などでゆられても体全体の骨格バランスをサポ[…]
どうも、アイキョウです。今日はついにBMCさんと一緒に作ったメッシュジャケットが完成したので紹介します! BMC代表の青野さんは元々アパレル業界出身なので、バイク用品メーカーが作らないようなカジュアル[…]
最新の関連記事(新型EV/電動バイク)
ホンダ初の本格的電動モーターサイクルが間もなく……? 2024年秋のEICMAで世界初公開された電動二輪車のコンセプトモデル「EV Fun Concept(イーヴィー ファン コンセプト)」は、202[…]
50ccクラスは16歳から取得可能な“原付免許”で運転できるほか、普通自動車免許でもOK バイクを運転するための免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大[…]
「走る」を変える次世代の相棒 一般的なガソリンバイクが燃料を燃焼させてエンジンを駆動するのに対し、電動バイクはバッテリーに充電した電気でモーターを回して走行する。そのため、排気ガスを一切排出しない、環[…]
コスパも高い! 新型「CUV e:」が“シティコミューターの新常識”になる可能性 最初にぶっちゃけて言わせてもらうと、筆者(北岡)は“EV”全般に対して懐疑的なところがある者です。カーボンニュートラル[…]
125ccスクーターよりも力強い発進加速、街中で光る静けさ ホンダがパーソナルユース向けに国内リリースした電動スクーターの第2弾「CUV e:」は、第1段の「EM1 e:」が50cc相当の原付一種だっ[…]
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト)
ツーリングの楽しさを気軽に、疲れ知らずで ウェット路面に翻弄され、全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラス今季初戦は、決勝9位という不本意な結果に…。その悔しさを癒してもらおうと、新型のRebel […]
世界の二輪市場にBSA復活を知らせる2台の新型車 BSAブランドが再び動き出したのは2016年。自動車や二輪車、物流や不動産など多角的に事業を展開するインド/マヒンドラ・グループが、新たに起ち上げたク[…]
“クラシック”シリーズ初の2気筒モデル ミドルクラスでグローバルな存在感を増しているロイヤルエンフィールドは、空冷350cc単気筒シリーズと空冷650cc 2気筒シリーズを多数展開。これに水冷450c[…]
今回のツーリングで3337.2kmを走ったトレーサー9 GT+Y-AMT ①ACC&Y-AMTの組み合わせは高速移動が圧倒的にラクチン! 今回のインプレッションでは首都圏から北海道まで高速道路を使って[…]
“快適”と“スポーツ”を電サスで無理なく両立!! 超絶的な防風性にAT機構のDCT、グリップヒーターやコンフォートシートなどの快適装備。長距離を走るツアラーとして“疲れにくさ”にトコトンこだわったNT[…]
人気記事ランキング(全体)
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
皮脂や汗に含まれる尿素が生地を痛めてしまう ──一般の方が汗でびちょびちょのヘルメットをリフレッシュさせたい場合、どのように行えばよいでしょうか? 「どこが外せるのか、どういうふうに洗えばいいのかは、[…]
RH1250S スポーツスターS:ダウンドラフト吸気の水冷Vツインを黒で統一 121HPを発揮するレボリューションマックス1250Tエンジンをオールブラックにし、精悍さを強調するデザインとなった202[…]
シグナスシリーズ、20年の歴史を背負うニューフェイス 以前は空冷エンジン搭載のコンパクトな原付二種スポーツスクーターとして人気を博した「シグナスX」だが、水冷の新世代「シグナス グリファス」に交代した[…]
作って、触って、攻略する。新感覚のサーキット模型 スマホケースなどの地図柄グッズを手がけるクロスフィールドデザインが、モビリティライフスタイルブランド「レシプロ」の新商品として「レイヤード ランドスケ[…]
最新の投稿記事(全体)
イタリア魂が込められたフルサイズ125ccネイキッド イタリアンブランドとしての誇りを胸に、資本も製造もすべてイタリアで行うファンティックは、コストダウンのために安易なアジア生産に走らず、職人の手で丁[…]
厳格な基準をクリアした車両のみが“認定中古車”を名乗れる 国内外のほとんどの2輪/4輪メーカーが設けているのが“認定中古車制度”だ。これは自社のブランド価値を保ち、中古車市場においても顧客に安心して車[…]
なぜハイエンドの性能が「半額水準」なのか ASMAX F1 Proは、次世代バイク用インカムブランド「ASMAX」のフラッグシップモデルで、2025年9月上旬から販売開始される。F1 Proがライダー[…]
バイクとの親和性はスマホを圧倒的に上回る AKEEYOが販売する「AIO-6LTE」は、太陽光の下でもはっきり見える視認性の高い大型6インチのIpsモニター、Wi-FiとBluetoothによるスマホ[…]
“グローバルカラー”をうたうマットパールホワイト インディアヤマハモーター(IYM)は、水冷単気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツ「R15 V4(V4=第4世代の意 ※日本名YZF-R15)」の新[…]
- 1
- 2