
●文:[クリエイターチャンネル] 相京雅行
2023年7月末にAraiから発売された新型アドベンチャーヘルメット「ツアークロスV」を紹介します。
Kabutoからも新型アドベンチャーヘルメットが発売されたので、アドベンチャーやオフロードバイクに乗っているライダーにとっては悩ましいところ。
早速ツアークロスVの魅力を解説していきます。
ツアークロスVの付属品

ツアークロスVの付属品はヘルメット収納袋、シリコンオイル、取扱説明書、シールド着脱ハンドブック、ヘルメットガイドブックの5点となります。

ヘルメット収納袋に関しては、裏起毛で縫い目を外側にするなど、塗装やシールドが傷つかないように配慮されており、肩掛けやリュックスタイルで持ち歩けます。

シリコンオイルは、取扱説明書によるとシールドの動きが悪い時などに使うようです。

取り扱い説明書は全て日本語で書かれており、イラストや写真入りでわかりやすいのですが、シールド着脱に関しては、やや複雑な印象を受けました。

そのため別途写真とイラスト入りのシールド着脱ハンドブックが付属されているのでしょう。

ヘルメットガイドブックは、他のAraiヘルメットをお借りした際には付属されていませんでしたが、規格試験のことなど細かく書かれており、大変興味深い内容でした。

規格に関してはSG/PSCの他にSNELLが取得されており、後頭部Araiロゴの下にステッカーが貼られています。

カラーに関しては、シルバー/ブラック/艶消しブラック/グレー/ホワイトの5色で、価格は6万9300円。

グラフィックモデルは3色ラインナップされていて、7万9200円です。
ツアークロスVの見ため

Araiらしい衝撃を交わす丸いフォルムを採用していますが、口元のベンチレーションパーツや後頭部にレイアウトされたエアアウトレットが、スポーティーな印象を強めています。
アウトレットに関しては、アストロGXのGTスポイラーを基に、アドベンチャーモデル用にブラッシュアップされているとのこと。衝撃が加わった際には、かわす性能を妨げることのないように、速やかに外れる設計を採用しているあたりはさすがです。

また口元からサイドにかけてスリットを設けることで、ワイルド/イカツイ印象を強めています。

バイザーは大型ですが、帽体との隙間を大きめにとり、エアロスリットを2か所設けることで風による抵抗を軽減させる構造で、全体的にはエッジの効いたデザインを採用しています。
ツアークロスVの機能性

ベンチレーションは、フロントのロゴ部分/頭頂部/口元に1か所ずつ。ロゴダクトは上にレイアウトされたノブを下げると外気が流入する仕組み。

それに対して頭頂部は、ノブを上げると外気が流入する仕組みなので、慣れるまでは少し迷いそうです。

口元のベンチレーションは、開口部が大きく外気の流入量が多そうですが、内側のノブを操作することで口元への流入を止め、曇りをとるためのデフロスト機能だけ使うことも可能。

バイザーに関しては、左右のプラスチックパーツをコインやコインドライバーを使って緩めれば、角度の調整や着脱が可能。
簡単にアドベンチャーヘルメットのバイザーレス仕様=ターミネータースタイルにすることが可能です。

前モデルのツアークロス3も、ターミネータースタイルにすることは可能でしたが、別途パーツの購入が必要でした。ツアークロスVに関しては、簡単にスタイルチェンジできるのも魅力のひとつでしょう。
シールドの脱着は別途ハンドブックが用意されるぐらいですが、実は手順が多いだけで、簡単に行うことができます。

まずシールドを上まで上げて、左右プラスチックパーツをグッと押し込むことでロックが外れます。

ロックが外れてシールドがさらに上がるようになるので、限界まで操作してピンの下側に指を入れて引っ張るだけで、取り外しすることが可能です。

この状態で左右のプラスチックパーツを装着し、バイザーをマウントすれば、オフロード仕様に。ゴーグルを装着した際には、スポイラーが落下防止になります

シールドはアドベンチャーヘルメットらしく開口部が広めですが、前モデルに比べてさらにワイドな視界を確保しています。

ピンロックシートにも対応しており、価格は3080円。強力な防曇効果があるので、追加しておきたいところです。

従来のヘルメットだとチンカーテンが装着されている位置には、エアロフラップがレイアウトされています。役割としては同じですが、なんと位置調整が可能です。
エアロフラップの効果をさらに高める大きめのチンカーテンも用意されており、2200円で販売されています。静粛性を重視したい場合には追加しても良いでしょう。

インカムに関しては、対応するためにサイドのリブにも平らな個所を用意しています。
顎紐に関しては、軽量なDリング。さらに万が一の際にチークパッドを引き抜いてヘルメットを脱がせやすくするための、エマージェンシーシステムにも対応しています。
ツアークロスVの内装

トップ内装/チークパッド左右/顎紐カバー左右、さらに首回りからの風の侵入を防ぐ、システムネックの合計6点が着脱可能です。

素材にはエコピュアーを採用しており、抗菌/消臭/防汚機能を備えています。

トップ内装は頭頂部がフローティングされていますが、クッションのレイアウトが独創的。左右の一番外側の内装は剥がすことができるので、それぞれ5mm程度緩くすることが可能です。

チークパッドはかなり厚めですが、カバーを外すと、一番外側に衝撃吸収ライナーがレイアウトされ、その内側にばね材となる板が入っており、顎全体を包み込むようにフィットします。

こちらは一番内側に剥がすことができる5mmの内装が貼られており、チークの締め付けが気になる場合には調整が可能です。

また従来のAraiのチークパッドは、インカムのスピーカーをカバーの内側に仕込む形でしたが、ツアークロスVはチークパッドを外すことなく装着できるようになりました。

システムネックは、首に当たる内側に柔らかく肌触りの良い素材を採用。外側にはレザー調の素材を一部レイアウトすることで、見た目にも配慮しています。

顎紐カバーも同様に、内側に柔らかい素材、外側にはレザー調素材を採用しており、着脱はボタンなので簡単です。
ツアークロスVの重さ

ツアークロスV(ホワイトMサイズ)の重さを測定してみました。
結果は1672g。ラチェットバックルやインナーバイザー付きフルフェイスヘルメットの平均的な重さといったところ。
大型のバイザー付きのわりには軽量な印象です。
※ヘルメットは製造時に重さに個体差が発生します。単色モデルとグラフィックモデルは使用する塗料やステッカーの量で後者の方が重くなる傾向があります。
ツアークロスVのサイズ感

筆者はArai/SHOEI/KabutoいずれもMサイズでピッタリという頭なので、ツアークロスVもMサイズで問題なし。
チークパッドは包み込むようにフィットしますが、頬が潰れるほどではないのでインカム通話などもストレスがありません。
着用して走行してみた

試乗用にレブル250を借りていたので、ツアークロスVを被って走行してみました。
重心については、バイザーがついているからといって前に偏ることはなく、バランスが良いので、体感的には軽量に感じます。
シールドは歪みなくクリアですが、バイザーが視界の上に入ります。試乗時は一番下の状態で走行したので、気になる方はポジションを調整しても良いかもしれません。
またシールドは全閉時にロックされる機構で、下側のリブを少し外側に広げながら開ける手順ですが、特に意識しなくても問題なしでした。

しばらく走ってから全てのベンチレーションを開放してみると、下道の低速走行でも頭全体に風が当たっているのを感じました。
口元に関しては大きく開きますが、想像していたよりは流入量が少なめの印象。ただ必要にして十分で、フルフェイスヘルメットの息苦しさを緩和させ、高速道路では勢いよく風が入ってきました。
意外に感じたのは、風切り音が大きかったこと。下道では巻き上げの風がヘルメット内に入ることはなかったので、バイザーから発生しているのかもしれません。当日は風が強かったため、天気の影響もあるでしょう。
下道では特に風の抵抗を感じませんでしたが、高速道路で80km/h以上で走行した際やレーンチェンジで首を振った際などには、多少感じることもありました。
バイザーを外して走ってみた

高速道路を下りた後に、バイザーを簡単に外せることを思い出し、100円玉を使って外して走行してみました。
被ってすぐにヘルメットが軽くなっているのを感じました。バイザー本体もある程度の重さがあるようです。
もともと下道では走行風による抵抗は感じませんでしたので、これは着脱前と変わらなかったのですが、風切り音が少なくなっているように感じました。
簡単に外せるので、高速道路に乗る前などはシートバッグなどに入れておいても良いかもしれません。
動画でレビューを見たい方はこちら
ツアークロスVまとめ:スタイルチェンジと涼しさが魅力
ベンチレーションが優秀なので、夏場でも涼しいのが嬉しいですが、個人的な推しポイントはスタイルチェンジが簡単にできるところ。
実はターミネーター仕様に関しては、海外のある映画でツアークロス3が使われていたのがきっかけで知りましたが、常々簡単に変更できればいいのにと思っていました。
ツアークロスVは追加のパーツを買うことなく、慣れれば2〜3分でスタイルチェンジできちゃうのが魅力的です。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(アライヘルメット)
加藤ノブキ氏によるデザイン第3弾 RAPIDE-NEO(ラパイドネオ)のシリーズに加わっている「HAVE A BIKE DAY(ハブアバイクデイ)」。 グラフィックデザイナー・加藤ノブキ氏が手掛けるグ[…]
MotoGPマシンは…普通ですね 去る、1月12日(月・祝)に、Moto GPライダーの小椋藍選手のトークショー&サイン会が、神奈川県のNAPSベイサイド幸浦店、および埼玉県の和光2りんかんで開催され[…]
快適性と視界の広さでもっと遠くへ! マルチパーパスヘルメット「ツアークロスV」のバイザーを取り去って、オンロードに最適な形状・機能としたニューモデルが「TX-ストラーダ」だ。 張り出したフェイスガード[…]
スタイリッシュなグラフィック採用 バイザーを外すことでオンロードにも対応するマルチパーパスヘルメットである「ツアークロスV」。そのツアークロスVのラインナップの中で、大自然をのびのびバイクで走るような[…]
自然に優しく、心にも優しいスポーツ、それがバイクです。 「バイクで北極へ行く。」そんな途方もない夢まで実現した男、風間深志君は、数多くの挑戦で知られるライダーです。自然の優しさ、厳しさ、そして偉大さを[…]
最新の関連記事(ヘルメット)
『EXCEED-2』は、2モデルがラインアップされるKabutoのオープンフェイスシリーズの上位モデルで、空力特性を高めた帽体とシールド形状などを特徴とし、快適性を向上させている。 このたび追加される[…]
月内発売:SHOEI J・O+ & EX-ZERO CROSS LOGO 2 SHOEIが展開する「NEXT LINE(ネクストライン)」は2023年にスタートしたブランド。「遊び」をキーワー[…]
Kabutoの最新フルフェイスに早くもグラフィックモデルが2種登場 KAMUI-5は、2025年12月に発売されたばかりの新製品だ。その特徴はCFD(数値流体解析)を用いて設計された高効率ベンチレーシ[…]
王者ローソンのレプリカモデルがSHOEIフラッグシップに登場! エディ・ローソン選手はアメリカ出身のレーシングライダーで、1980~90年代に世界を席巻したトップライダーだ。ロードレース世界選手権(W[…]
スーパークロスとモトクロスで活躍するスチュワート選手のレプリカ登場 マルコム・スチュワート選手は、アメリカのスーパークロスとモトクロスで活躍するライダーだ。2011年にプロデビューした後、2016年に[…]
人気記事ランキング(全体)
伝説の始まり:わずか数か月で大破した959 1987年11月6日、シャーシナンバー900142、ツェルマットシルバーの959はコンフォート仕様、すなわちエアコン、パワーウィンドウ、そしてブラックとグレ[…]
高機能な開発の傍らでマイノリティ好きな感性のファンにも応えるカワサキ! 1985年、カワサキはライバルたちのレーサーレプリカに迎合しない、フルカバードボディのGPZ400Rをリリースした。 ただ驚いた[…]
これまで以上に万人向き、さらに気軽な乗り味に! 10月上旬の全日本ロードレース選手権第6戦では、フル参戦しているJ-GP3クラスで3位を獲得。今季2度目の表彰台に立てたのですが、そのちょっと前に、かつ[…]
ワークマンプラス上板橋店で実地調査! 全国で800を超える店舗を展開。低価格でありながら高機能のワークウエアを多数自社ブランドにてリリースし、現場の作業着のみならずカジュアルやアウトドアユースでも注目[…]
リカバリーウェア市場においてNo.1を宣言! 2月8~9日の日程で開催されたワークマンの2026春夏新製品発表会。現在、同社はリカバリーウェア「MEDiHEAL(メディヒール)」の売れ行きが絶好調であ[…]
最新の投稿記事(全体)
手のひらサイズなのに強力な風圧で水を飛ばす 本商品は、重量わずか291gという小型軽量設計ながら、最大13万rpmという回転数で強力な風を生み出す充電式ブロワーだ。風速は最大52m/s(モード3)に達[…]
簡単取り付けで手間いらず。GPS搭載でさらに便利に バイク用品、カー用品を多数リリースするMAXWINが開発したヘルメット取り付け用ドライブレーコーダー「MF-BDVR001G」は、ユーザーのニーズに[…]
鬼門!ボールベアリングの交換 今回の作業はボールベアリング交換。最近は樹脂のリングボールを保持するボールリテーナー(ケージ)タイプが主流ですが、旧車や自転車のハブではいまだにバラ玉が現役だったりします[…]
ロー&ロングスタイルに一目惚れ 現在34歳となる勝彦さんはバイク歴18年のベテランライダー。ですがこれまで乗ってきたのは全てスクーターで、約10台ほど乗り継いできました。ツーリングなどはあまりせず、基[…]
兄弟車の「EM1 e:」よりも約10万円安い! ホンダは、原付一種の電動二輪パーソナルコミューター「ICON e:」を発表した。発売は2026年3月23日を予定しており、バッテリーと充電器を含めて22[…]
- 1
- 2






























