原付二種で二段階右折しちゃった! これって違反にあたる?
●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
道路交通法により軽車両や原付一種にのみ義務付けられている二段階右折。もし間違えて原付二種で行なった場合、違反に問われてしまうのでしょうか。
ついうっかり原付二種で二段階右折。違反は適用される?
原付二種の右折について道路交通法第34条第2項には、以下のように記載されています。
「自動車、一般原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない」
そもそも二段階右折は、基本的に左側走行を基本/法定速度が時速30kmまでと定められている原付一種が、右折レーンへ侵入して後続車両の走行の妨げや追突事故の発生を防止するための措置です。
したがって、法定速度がクルマと同じである原付二種に関しては、二段階右折の必要性はありません。むしろ原付一種よりも車体が大きく、交差点で停止してしまうことが事故を誘発しかねないことから、通常の小回り右折を行うことが義務付けられているというわけです。
原付二種による二段階右折に対しては、“交差点右左折方法違反”が適用され、反則点数1点、反則金4000円が科せられる可能性があります。
とはいえ、二段階右折の標識を見てみると、”原付”としか書かれていないため、これだけでは二種も適用されるのではないかと思うライダーもいるかもしれません。
これは、道路交通法において”原付”は原付一種のみを指し、二種については”普通自動二輪”に区分されるため。
道路交通法は警察庁が管轄する法律であり、道路を利用するすべての人が安全かつ円滑に利用できるようルールを定めたもの。よって、道路標識についても道路交通法の分類に従っているというわけです。
一方で一種/二種という区別は道路運送車両法によるものです。この法律は車両の保安基準/車検/整備など、道路を安全に走行するための車両に対する規定を定めたもので、国土交通省の管轄です。
こうした事情を知らないまま一種から二種へ乗り換えたライダーは、標識を見て戸惑ってしまうことのないよう注意が必要です。
なお二段階右折は、信号や警察官の誘導による交通整理が行われている交差点/車両通行帯が片側三車線以上ある多通行体道路の交差点での実施が義務付けられています。
原付が上記の場所で二段階右折を行わなかった場合、“交差点右左折方法違反”が適用され、反則点数1点と反則金3000円が科せられてしまいます。
また二段階右折を無視すると、実際には“信号無視”として扱われるケースも少なくありません。これは通常二段階右折を行う場合、交差点を渡り切った後は信号待ちとなるはずですが、それを無視して直進したと判断されてしまうためです。
ちなみに、原付一種以外に、自転車をはじめとする軽車両にも二段階右折が義務付けられています。
たとえば、より手軽な交通手段として注目を集める電動キックボードも二段階右折が必須です。
今後こうした小型モビリティの発達に伴い、規則も複雑化される可能性もあるため、自身の所有する車両についての交通ルールをしっかりと把握しておくことが大切です。
このように、原付二種で二段階右折をすると、交差点左右折法違反に問われるだけでなく、自身の安全も脅かしかねないため、絶対に行わないようにしましょう。
万が一右折レーンに乗れなかったとしても、次の交差点で曲がるなど、落ち着いて安全走行を心がけることが大切です。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(Peacock Blue K.K.)
複数人でバイクのツーリングに出かける「マスツーリング」は、初心者から上級者まで、多くのライダーに人気が高いツーリングのひとつです。経験豊富なライダーが同行してくれれば安心感を得られますし、彼らからバイ[…]
冬場であっても、たまにはツーリングに出かけたい! というよくばりさんなライダーもいるはず。 ただし冬だからと言って、「とりあえず着込め!」だけじゃ不十分です。寒い冬のツーリングを快適にするためには、ど[…]
秋は1日を通して過ごしやすい日が多く、紅葉などの自然美を楽しめるため絶好のツーリングシーズンです。 季節を楽しみながら旬の食べ物を求めてツーリングするライダーは多く、たとえば関東近郊では下記のスポット[…]
高速道路の中央分離帯に植物が植えられているワケ SAやPAなど、高速道路の至るところに存在する大小さまざまな緑地。特に走行しているとしばしば目に入ってくる中央分離帯の緑地は、いつ見てもきれいに整備され[…]
一人でふらりと出かけて自由気ままにワインディングや食を楽しむソロツーリングもいいですが、家族やパートナーと出かけるタンデムツーリングもまた乙なもの。慣れ親しんだ道端の風景や行きつけのお店でも、誰かと一[…]
人気記事ランキング(全体)
2025年こそ直4のヘリテイジネイキッドに期待! カワサキの躍進が著しい。2023年にはEVやハイブリッド、そして2024年には待望のW230&メグロS1が市販化。ひと通り大きな峠を超えた。となれば、[…]
一定以上のスピードの車両を自動的に撮影する「オービス」 結論から言うと、基本的にバイクはオービスに撮影されても捕まらない。そもそもオービスはバイクを取り締まるつもりがない。ただし警察にもメンツがあるか[…]
第1位:JW-145 タッチパネル対応 蓄熱インナーグローブ [おたふく手袋] 2024年11月現在、インナーウェアの売れ筋1位に輝いたのは、おたふく手袋が販売する「JW-145 蓄熱インナーグローブ[…]
新色×2に加え、継続色も一部変更 ホンダは、水冷4バルブの「eSP+」エンジンを搭載するアドベンチャースタイルの軽二輪スクーター「ADV160」に、スポーティ感のある「ミレニアムレッド」と上質感のある[…]
寒い時期のツーリング 冬はライダーにとって、本当に過酷な季節です。急激に気温が下がったりしてきましたが、オートバイに乗られているみなさんは、どういった寒さ対策をしていますか。 とにかく着込む、重ね着す[…]
最新の投稿記事(全体)
どんなUber Eats配達員でも必ず持っている装備といえば、スマートフォン。これがなければ、仕事を始めることすらできません。 そんなスマートフォンですが、太陽が強く照っている日に使うと画面が真っ黒に[…]
今シーズンに続き富樫虎太郎選手を起用、新加入は木村隆之介 元MotoGPライダーの中野真矢さんが率いるレーシングチーム「56RACING(56レーシング)」が、2025年のレース活動概要を発表した。 […]
全日本ST1000とASB1000の両カテゴリーを制す! 開幕2連勝を飾り、常にポイントリードし最終戦を待たずにチャンピオンを決めた全日本ST1000クラスに比べ、ARRC ASB1000クラスは、ポ[…]
一度掴んだ税金は離さない! というお役所論理は、もういいでしょう 12月20日に与党(自民党と公明党)が取りまとめた「令和7年度税制改正大綱」の「令和7年度税制改正大綱の基本的な考え」の3ページ目に「[…]
ヤマハの最先端技術の結晶、それがYZF-R1だ 今からちょうど10年前の2014年11月。イタリアはミラノで開催されたEICMAにおいて、7代目となるヤマハのフラッグシップ“YZF-R1”が華々しくデ[…]