
●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
バイクのすり抜け行為って違反にならないの?
都市部などの交通量の多い地域や、高速道路の渋滞シーンでよく目にするバイクのすり抜け行為。一般に大幅な時間短縮が期待できる一方、推奨される行為ではありません。
というのも、すり抜けは周囲の死角となることが多く、ドアミラーとの接触/左折車の巻き込み/歩行者の飛び出しといった事故のリスクが非常に高いためです。
また、直接被害に遭わなくてもドライバーからは危険行為とみなされ、余計なストレスを与えてしまいトラブルを招きかねません。
ただし、危険性は認められているものの、現状すり抜け行為は道路交通法において定義されておらず、それ自体を禁止する法律も制定されていないというわけです。
では、すり抜けに違法性はないのかというと、そういうわけでもありません。すり抜けは状況に応じて、追い越し/追い抜きのどちらかに該当します。
追い越しとは、道路交通法によると、車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをさします。
一方で追い抜きとは、追い付いた車両に対し、車線の進路を変えずに当該車両の前方へ出ることを指します。なお、追い抜きもすり抜けと同様、道路交通法による規定はありません。
従って、追い越しや追い抜きが禁止されている状況下ですり抜けすることで、道路交通法違反に問われるケースがあるというわけです。
知っておくと安心!どういった状況だと違反と見なされやすい?
それでは、どのような状況で違反とみなされる可能性があるのでしょうか。
まずひとつ目のケースは、道路交通法第三十条で定められた特定の場所での追い越しです。
道路交通法第三十条では、道路のまがりかど附近/上り坂の頂上附近/勾配の急な下り坂/トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る)などでの追い越しが禁止されています。
また、交差点(当該車両が第三十六条第二項に規定する優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く)/踏切/横断歩道/自転車横断帯および、これらの手前の側端から前に30メートル以内の部分においても、軽車両を除いて追い越しが禁止されています。
もし上述の場所で追い越しをすると、追越し違反が適用され、罰則3ヶ月以下の懲役もしくは5万円以下の罰金、二輪車7000円/原付6000円の反則金と違反点数2点が科せられるので注意が必要です。
黄色いセンターラインは、追い越しのためのはみ出し禁止を意味している。
2つ目のケースは、白色の実線/黄色の実線の中央線をはみ出して右側から追い越した場合です。
前方車両に右折の意思がなく、なおかつ右側に寄って走行していない場合、右側から追い越すことが定められています。このとき、中央線の種類によって適切な追い越し方法が異なります。
白色の破線の場合、はみ出しての追い越しが認められていますが、白色の実線にははみ出しての走行を禁止、黄色の実線には追い越しのためのはみ出し禁止というルールが設けられており、これを遵守しないと違反になります。
そして3つ目のケースは、左車線の左側から追い抜こうとして、路側帯を走行した場合です。
原則右側からの追い越し/追い抜きではありますが、右折の意思が見られる/右寄りに走行している車両に対しては、左側から追い抜くことが可能です。
ただしこのとき、白線の外側が路側帯である場合は注意が必要です。
道路交通法第二条三の四によると、路側帯とは、歩行者の通行のため/車道の効用を保つため/歩道の設けられていない道路/路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によって区画されたものをさします。
つまり路側帯とは歩行者/軽車両のために設けられたものであり、バイクやクルマが走行することは認められていません。従って、路側帯の走行は道路交通法第十七条=通行区分違反に該当します。
なお、路側帯とよく混同される路肩については走行可能です。これらの見分け方としては、歩道が設けられていない道路の白線より外側は路側帯、歩道が設けられている道路の白線より外側は路肩となります。
路側帯を利用して追い抜いた場合、通行区分違反が適用される。
また、その他のケースとして、渋滞や赤信号で徐行/停止中のクルマ間への割り込みも違反に該当します。
ただし割り込みに関して道路交通法上の定義はなく、きわめて狭い車間に無理に入り込むなど客観的にみて危険な行為と判断された場合、割り込みとみなされます。
以上が、違反とみなされるすり抜けの例となります。
これらを踏まえると、まずは走行中の区域が追い越し/追い抜き可能であるかを判断して、十分に安全を確認することが大切といえるでしょう。
このように、すり抜け行為は法的に定義されておらず、状況に応じて追い越し/追い抜きのいずれかに分類されるため、違法性の有無も状況によるところとなります。
ただ、無理なすり抜けは事故やトラブルを誘発し兼ねない、推奨される行為ではないことを念頭におき、安全運転を心がけましょう。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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