58年前のバイクのガソリンタンクを開けたら…中が真っ黒!? なんとかして綺麗にしてみた【絶版車セルフレストア】
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
古すぎるヤマハ メイト70。直すにもバラし方すら分からない…!!
とあるバイク屋さんで「直してみる?」と気軽に譲っていただいたヤマハのメイト70。よくよく調べてみると、’80年代どころか’70年代でもないっ! ’65年式のメイト70(U70)だったのです!
何せ、解体屋のようなところに長年放置されていた車体なので、当然のごとくエンジンはかかりません。エアクリーナーも、キャブレターも、燃料コックも、その全てを直さなければいけないのですが、今回綺麗に(使えるように)したいのはガソリンタンク。ていうか、このガソリンタンク外し方がわからないのです(←そこからか!)
何せ、58年前と言うと、バイクメーカーそれぞれが試行錯誤の時代。今のようにオートバイの行動が確立していて、メーカーは違えど、なんとなく構造が似通ってるのとはわけが違う。今のバイクの感覚でいじろうとしても、何をどう外したらいいのやら? ガソリンタンク1つ外せない有様なのですわ。とほほ…。
よくよく構造を調べてみると、なんと「リアサスペンションと共締め」でした。後ろのサスペンションを外さないと、ガソリンタンクすら外れない。え、これって、センタースタンドがなかったらスイングアームもろともがっしゃん! と落として倒れちゃうパターンですか? まさか、ガソリンタンク1つを外すだけでこんな刺激的な作業になるとは!
58年モノのガソリンタンクの中身はどうなっているのか?
バラすところから苦労したガソリンタンク。なんとか外したところで、タンクキャップを外して中を確認してみます。
見たところあまりサビてない。だけど、黒い。…えっ、黒い?? てっきり中身はサビだらけでザラザラになっているのかと思っていました。サビ落としよりもむしろその後の穴が開いちゃう方を心配していただけに、拍子抜けというかちょいとパニック。
何か違うものでも入っていたのかと思ったものの、よくよく考えてみたらこりゃアレだ、ガソリンが揮発したあとの残留物なのでは? と思い至りました。
ガソリンは揮発性が高くて、放置されると揮発分が蒸発し残留物が蓄積されます。最初は赤い色のガソリンも、徐々に緑っぽくなりいわゆる腐った状態になって最終的にドロドロになるのですが、私が知ってるのはそこまででした。
まさか、その「ドロドロ」のさらに先があったとは…!
あくまでも正攻法で攻めてみる。サビ落としの前の洗浄だっ!!〈ガソリンタンク清掃〉
最初は真っ黒いフォルムにビビりましたが、ガソリンの残留物であるならば、要は油のはず? 緑色だろうが、ドロドロだろうが、そして今回の真っ黒なガム状物質だろうが、ガソリンが劣化して変化したなら基本は変わらないであろうってことで、変化球ではなくていつも通りの正攻法で攻めてみます。
最初はやっぱりコレ、食器用洗剤(中性洗剤)!
ほかにも新しいガソリンやシンナーなどの溶剤、またはアルコールなどで油分を溶かす方法もあるとは思うのですが、洗った後の汚れた洗油の処理が難しくなってくるので、比較的処理しやすい食器用洗剤+お湯がおススメです(なんたってお手軽&安い!)
タンクに直接中性洗剤を入れて、あとから水(またはお湯)を入れて、しばらく放置。そしてあとはひたすらシェイク! シェイク!!
腰が痛くなる前(笑)に洗剤を出して、お次は高圧洗浄機の圧力で中の汚れを吹っ飛ばします!
中性洗剤で洗った結果、見えなかったサビが露出〈ガソリンタンク清掃〉
洗剤と高圧洗浄機で洗ったところ、完全とは言えませんが、黒いドロドロがかなり取れました! さっきまでは見えなかったガソリンタンクの壁面があらわになり、隠れていたサビも剥き出しになっているのが見て取れます。
タンク用のサビ取りクリーナーでサビ落とし!!〈ガソリンタンク清掃〉
洗剤で黒いドロドロを溶かし、サビがむき出しになってくれればしめたもの! ここで真打ち登場。ガソリンタンク用のサビとりクリーナーを投入します。
原液をそのまま使うものや、一定の割合に希釈するものなど、商品によって用途が違うので、タンクのサビの程度に応じて適切な時間と濃度でお使いください。
今回はちょっと濃いめにガソリンタンククリーナーを投入して24時間放置しました。
結果→サビも汚れもキレイに落ちた~っ!!〈ガソリンタンク清掃〉
ちょっとだけ黒いのが残っていますが、そんなの全然気にならない。それはもちろん、現代のマシンから比べたら汚いかもしれないけども、これが58年前のガソリンタンクだってんだから文句なし。なにせ替えのガソリンタンクなんて手に入らないのだから、このガソリンタンクが使えるようになったというだけで万々歳なのですよ!
いや~、綺麗になってくれてよかったぁ(ホッ)。
まだまだ続くメイト70の難関レストア。とりあえずの一歩前進!!
そんなわけで、無事にガソリンタンクの中を洗浄することができました。いやー、よかったよかった! 最初はどうなることかと思ったので、本当に一安心です。
それにしても、真っ赤にサビていたガソリンタンクは経験がありますが、真っ黒になっていたのは初めてです。長期保管するときはガソリンを入れておけば大丈夫とは言いますが、何年間放置されたか分からないものの、今回のように揮発するだけ揮発しちゃって、残留物がドロドロになって残るって事もあるんですね~。
いやはや、今回もまた勉強になりました!。ということで、今回もご視聴ありがとうございました~!!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
※記事中の画像のキーパターンは加工してあります ホコリや汚れを呼ぶ潤滑スプレー 鍵を差すときに動きが渋いなーとか、引っ掛かるなーと感じたことはありませんか? 家の鍵や自転車の鍵、倉庫の南京錠など、身の[…]
1959年から支持され続けている! 1)作業がとても手軽2)使用できる範囲が広い3)しっかりツヤが出る4)油汚れが場合によってはパーツクリーナーよりもよく落ちる 順に説明していこう。 1)作業が簡単 […]
ガソリン漏れトラブルは突然に これは先日実際に起こった出来事です。 ガソリンを携行缶からバイクのガソリンタンクに注入しようとしたら・・・ボタボタボタッ・・・。 「!!!!」 携行缶のノズルの根元からガ[…]
スパナプライヤー:刻みのないジョーが平行にスライド。スパナのように使えるプライヤー ストレートのスパナプライヤーは、細部の形状や仕上げは異なるものの、ヒンジの仕組みや特徴はクニペックスのプライヤーレン[…]
何よりも高耐摩耗性の実現 圧倒的な耐摩耗性を誇るのが、アルミめっきシリンダーの大きな特徴である。iB井上ボーリングが、アルミめっきスリーブを作ろうと考えた最大の理由は、同社の社是でもある「減らないシリ[…]
最新の関連記事(DIY道楽テツ)
ガソリン漏れトラブルは突然に これは先日実際に起こった出来事です。 ガソリンを携行缶からバイクのガソリンタンクに注入しようとしたら・・・ボタボタボタッ・・・。 「!!!!」 携行缶のノズルの根元からガ[…]
チューブレスタイヤのビード落としは難しいよね!? タイヤレバーを使ったタイヤ交換、いわゆる手組でタイヤの脱着ができるという方でも、チューブレスタイヤとなると腰が引いてしまう、そんな方も多いのではないで[…]
バイクのステップゴムがボロボロになっていたので、新品に交換しました。 ・・・と言ってもこれは買ったものではなくて、たったいま印刷したもの。出来立てほやほやなのです~! 3Dプリンターを買ってみたのです[…]
トライクは転ぶ? 素朴な疑問 二輪(バイク)に乗っている方や、四輪(クルマ)に乗っている方から聞かれる質問のひとつが、「トライクって転倒しないの?」というものです。 トライクには3つのタイヤがあり、二[…]
この記事に訪問してくれたあなた、キックペダルの分解に興味があるということでしょうか? それとも今まさにその危機に直面しているのでしょうか? もしくはただの冷やかし?? それでもオッケー。少しでも参考に[…]
人気記事ランキング(全体)
『通称』と『道路交通法における区分』、『道路運送車両法による区分』がある バイク雑誌やWEBヤングマシンの記事を読んでいて「これってどうなってるの?」と混乱したことがある方もいらっしゃると思う。のっけ[…]
これが後のGL500につながったかは不明 これはいろいろなエンジン型式の可能性を探るために開発された1台で、クランク軸縦置きの200㏄空冷Vツインを搭載したもの。製造コストが高く、商品化できなかったと[…]
クロスオーバー系レトロがアップグレード! インディアヤマハは、ブロックパターンタイヤを履いたネオレトロスタイルの「FZ-X」をマイナーチェンジして発表した。ロングストローク設定の空冷149ccエンジン[…]
さとみ(すとぷり)がアンバサダーに就任! 日本二輪車普及安全協会は、2025年3月かいさいの「第41回 大阪モーターサイクルショー2025」および「第52回 東京モーターサイクルショー」の開催概要を発[…]
通勤からツーリング、サーキット走行まで使えるカウル付き軽二輪スポーツ 日本の道に最適といえるサイズ感や、通勤/通学からツーリングまで使える万能さが軽二輪(126~250cc)の長所。スクーターやレジャ[…]
最新の投稿記事(全体)
日本仕様も近く登場! ホンダは国内向けサイト内で「Gold Wing 50周年記念サイト」をオープン。1975年のゴールドウイング(GL1000)から始まる歴史を紹介するとともに、50th Anniv[…]
【読み飛ばしOK】自動車損害賠償責任保険審議会の結果、基準料率の改定は必要ないと判断【料金表は下の方に】 金融庁が令和7年1月10日および1月17日に行った第150回・第151回自動車損害賠償責任保険[…]
125ccスクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限[…]
[A] 前後左右のピッチングの動きを最小限に抑えられるからです たしかに最新のスーパースポーツは、エンジン下から斜め横へサイレンサーが顔を出すスタイルが主流になっていますよネ。 20年ほど前はシートカ[…]
免許返納後もアクティブに楽しむための小型低速EV パワーユニットに自社の電動モーターを、バッテリーにホンダの「モバイルパワーパックe:」を採用した汎用EVプラットフォームをヤマハが初公開したのは、20[…]
- 1
- 2