58年前のバイクのガソリンタンクを開けたら…中が真っ黒!? なんとかして綺麗にしてみた【絶版車セルフレストア】

●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
【YouTubeクリエイター:DIY道楽テツ】バイク雑誌の編集に携わったのち、20年以上の溶接の経験を活かしてDIYに勤しむYouTubeクリエイター。「バイクを元気にしたい!」というコンセプトで定期的に動画を配信している。最近では徒歩旅に目覚めたという。’76年生まれの2児の父。[URL]DIY道楽(メインチャンネル) / のまてつ父ちゃんの日常(サブチャンネル)
古すぎるヤマハ メイト70。直すにもバラし方すら分からない…!!
とあるバイク屋さんで「直してみる?」と気軽に譲っていただいたヤマハのメイト70。よくよく調べてみると、’80年代どころか’70年代でもないっ! ’65年式のメイト70(U70)だったのです!
何せ、解体屋のようなところに長年放置されていた車体なので、当然のごとくエンジンはかかりません。エアクリーナーも、キャブレターも、燃料コックも、その全てを直さなければいけないのですが、今回綺麗に(使えるように)したいのはガソリンタンク。ていうか、このガソリンタンク外し方がわからないのです(←そこからか!)
何せ、58年前と言うと、バイクメーカーそれぞれが試行錯誤の時代。今のようにオートバイの行動が確立していて、メーカーは違えど、なんとなく構造が似通ってるのとはわけが違う。今のバイクの感覚でいじろうとしても、何をどう外したらいいのやら? ガソリンタンク1つ外せない有様なのですわ。とほほ…。
よくよく構造を調べてみると、なんと「リアサスペンションと共締め」でした。後ろのサスペンションを外さないと、ガソリンタンクすら外れない。え、これって、センタースタンドがなかったらスイングアームもろともがっしゃん! と落として倒れちゃうパターンですか? まさか、ガソリンタンク1つを外すだけでこんな刺激的な作業になるとは!
【’65 YAMAHA MATE70(U70)】
タンクを外すともれなくサスペンションも外れるという不思議な構造でした…。
58年モノのガソリンタンクの中身はどうなっているのか?
バラすところから苦労したガソリンタンク。なんとか外したところで、タンクキャップを外して中を確認してみます。
見たところあまりサビてない。だけど、黒い。…えっ、黒い?? てっきり中身はサビだらけでザラザラになっているのかと思っていました。サビ落としよりもむしろその後の穴が開いちゃう方を心配していただけに、拍子抜けというかちょいとパニック。
何か違うものでも入っていたのかと思ったものの、よくよく考えてみたらこりゃアレだ、ガソリンが揮発したあとの残留物なのでは? と思い至りました。
ガソリンは揮発性が高くて、放置されると揮発分が蒸発し残留物が蓄積されます。最初は赤い色のガソリンも、徐々に緑っぽくなりいわゆる腐った状態になって最終的にドロドロになるのですが、私が知ってるのはそこまででした。
まさか、その「ドロドロ」のさらに先があったとは…!
あくまでも正攻法で攻めてみる。サビ落としの前の洗浄だっ!!〈ガソリンタンク清掃〉
最初は真っ黒いフォルムにビビりましたが、ガソリンの残留物であるならば、要は油のはず? 緑色だろうが、ドロドロだろうが、そして今回の真っ黒なガム状物質だろうが、ガソリンが劣化して変化したなら基本は変わらないであろうってことで、変化球ではなくていつも通りの正攻法で攻めてみます。
最初はやっぱりコレ、食器用洗剤(中性洗剤)!
ほかにも新しいガソリンやシンナーなどの溶剤、またはアルコールなどで油分を溶かす方法もあるとは思うのですが、洗った後の汚れた洗油の処理が難しくなってくるので、比較的処理しやすい食器用洗剤+お湯がおススメです(なんたってお手軽&安い!)
タンクに直接中性洗剤を入れて、あとから水(またはお湯)を入れて、しばらく放置。そしてあとはひたすらシェイク! シェイク!!
腰が痛くなる前(笑)に洗剤を出して、お次は高圧洗浄機の圧力で中の汚れを吹っ飛ばします!
ガソリンも基本は油汚れ。食器洗いと同様に、使うのは水よりお湯が効果的です。
シェイクして内部を洗浄。この際は(四十代以上は特に)腰に注意!!
止めに高圧洗浄機の出番。タンク掃除など、手の届かないところをキレイにするときには強力な武器となってくれます。
中性洗剤で洗った結果、見えなかったサビが露出〈ガソリンタンク清掃〉
洗剤と高圧洗浄機で洗ったところ、完全とは言えませんが、黒いドロドロがかなり取れました! さっきまでは見えなかったガソリンタンクの壁面があらわになり、隠れていたサビも剥き出しになっているのが見て取れます。
タンク用のサビ取りクリーナーでサビ落とし!!〈ガソリンタンク清掃〉
洗剤で黒いドロドロを溶かし、サビがむき出しになってくれればしめたもの! ここで真打ち登場。ガソリンタンク用のサビとりクリーナーを投入します。
原液をそのまま使うものや、一定の割合に希釈するものなど、商品によって用途が違うので、タンクのサビの程度に応じて適切な時間と濃度でお使いください。
今回はちょっと濃いめにガソリンタンククリーナーを投入して24時間放置しました。
さて、タンクの中身はどうなったでしょうか…?
結果→サビも汚れもキレイに落ちた~っ!!〈ガソリンタンク清掃〉
ちょっとだけ黒いのが残っていますが、そんなの全然気にならない。それはもちろん、現代のマシンから比べたら汚いかもしれないけども、これが58年前のガソリンタンクだってんだから文句なし。なにせ替えのガソリンタンクなんて手に入らないのだから、このガソリンタンクが使えるようになったというだけで万々歳なのですよ!
いや~、綺麗になってくれてよかったぁ(ホッ)。
まだまだ続くメイト70の難関レストア。とりあえずの一歩前進!!
そんなわけで、無事にガソリンタンクの中を洗浄することができました。いやー、よかったよかった! 最初はどうなることかと思ったので、本当に一安心です。
それにしても、真っ赤にサビていたガソリンタンクは経験がありますが、真っ黒になっていたのは初めてです。長期保管するときはガソリンを入れておけば大丈夫とは言いますが、何年間放置されたか分からないものの、今回のように揮発するだけ揮発しちゃって、残留物がドロドロになって残るって事もあるんですね~。
いやはや、今回もまた勉強になりました!。ということで、今回もご視聴ありがとうございました~!!
必要であれば、残しておいたガソリンタンク錆取りクリーナーでリンス処理を行ったり、専用のコーティング剤を使ってガソリンタンク内部を保護するようにしてください。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
ある日チョークが折れてた エンジン始動でチョークを引っ張ったらいきなり「スポッ」と抜けた。何事かと思ったら・・・折れてたんですよ、チョークケーブルのアウターが。 アクセルやクラッチ、スロットルやチョー[…]
構成要素のすべてに技術的な裏付けがあるSP2シリーズ そもそも山口県のバイクショップからスタートしたASウオタニ。SP2フルパワーキット/SP2パワーコイルキット/SP2ハイパワーコイルセットといった[…]
レストアでのつまづきはそこかしこに 古いバイクをレストアしていると意外なところでつまずいたりするものですが、今回引っかかったのが8インチのチューブタイヤの「リムバンド」。 こちらのホイール、別にリムバ[…]
ガソリン添加剤の役割 ガソリン添加剤といってもその用途はさまざまですが、大まかなカテゴリーとしては 洗浄効果 性能向上 の2つに分けられます。 洗浄効果について 現在主流になっているPEA(ポリエーテ[…]
ヤフオクで入手したバイクのフレーム。ネジ穴に折れたボルトが詰まってた!? ヤフーオークションでとあるバイクのフレームを買ったところから話が始まります。 フレーム曲がりや大きな傷もなく、塗装面も小傷があ[…]
最新の関連記事(DIY道楽テツ)
ある日チョークが折れてた エンジン始動でチョークを引っ張ったらいきなり「スポッ」と抜けた。何事かと思ったら・・・折れてたんですよ、チョークケーブルのアウターが。 アクセルやクラッチ、スロットルやチョー[…]
レストアでのつまづきはそこかしこに 古いバイクをレストアしていると意外なところでつまずいたりするものですが、今回引っかかったのが8インチのチューブタイヤの「リムバンド」。 こちらのホイール、別にリムバ[…]
ヤフオクで入手したバイクのフレーム。ネジ穴に折れたボルトが詰まってた!? ヤフーオークションでとあるバイクのフレームを買ったところから話が始まります。 フレーム曲がりや大きな傷もなく、塗装面も小傷があ[…]
エンジンオイルにとって過酷な時期 オイル交換のタイミングって、地味に悩みますよね。「走行距離3000km~5000kmで交換が目安」とか「半年ごとに交換を!」なんて、よく聞くけれど、あくまでそれは“目[…]
なぜ「モンキーレンチ」って呼ぶのでしょうか? そういえば、筆者が幼いころに一番最初の覚えた工具の名前でもあります。最初は「なんでモンキーっていうの?」って親に聞いたけども「昔から決まっていることなんだ[…]
人気記事ランキング(全体)
脇を冷やすことで全身を効率的にクールダウン 「THERMO-GEAR BELT」の最大の魅力は、なんといっても「冷暖対応デュアルペルチェ搭載」という点だ。一台で夏場の猛暑対策はもちろんのこと、冬場の厳[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
新作GSX-8T/8TTに足並みを揃えて2026年モデルに スズキ独自のクロスバランサーを採用した最新776cc並列2気筒エンジンを搭載するモデルのうち、フルカウルスポーツとスポーツネイキッドとしてシ[…]
脇を冷やすことで全身を効率的にクールダウン 年々暑さが増している夏。冷感シャツやメッシュジャケットなど様々な冷却アイテムが普及して久しいが、半端な対策ではツーリングが快適とはいかなくなってきた。 そこ[…]
原付スクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があ[…]
最新の投稿記事(全体)
冷却効果だけでなく疲労の緩和も実現したお役立ちインナー スポーツウェアブランド「ZEROFIT」と、ボディケアのパイオニア「ファイテン」が強力タッグを組んで生み出した「ICE WEAVE ナノメタック[…]
あの頃の中型 青春名車録「2気筒の時代」(昭和51~53年) 昭和50年(1975)10月1日、免許制度が改正され401cc以上のバイクに乗るためには大型免許(=限定なしの自動二輪免許)が必要になった[…]
白線が滑りやすいのは事実。その原因は? まず、道路の白線が滑りやすいのは紛れもない事実だ。路面標示用塗料メーカー10社で構成される路面標示材協会によると、白線の滑り抵抗性は湿潤時で40〜5[…]
零戦と同じサムライ魂が成し遂げた「究極」の直4 時代を決定的に「それ以前」と「以降」に画してしまうエポックメイキングなモデルはいくつか存在する。中でもZ1は紛れもない革命児である。 量産車として世界初[…]
ある日チョークが折れてた エンジン始動でチョークを引っ張ったらいきなり「スポッ」と抜けた。何事かと思ったら・・・折れてたんですよ、チョークケーブルのアウターが。 アクセルやクラッチ、スロットルやチョー[…]
- 1
- 2