実はこんなに違う! 潤滑スプレー比較テスト【本当にコスパがいいのはどれ?】

突然ですが、潤滑スプレーの性能の差って何でしょうか。 浸透力? 油膜の強さ? それとも防錆性能?? 100円台で買える安いものから3000円以上する高級品までたくさんの種類がありますが、 実際使っていてもその性能差を比べる機会はそうありませんよね。 そんなわけで、今回は手元にある三種類の潤滑スプレーを例に取り、比較テストをやってみたいと思います。
●文/まとめ:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
【YouTubeクリエイター:DIY道楽テツ】バイク雑誌の編集に携わったのち、20年以上の溶接の経験を活かしてDIYに勤しむYouTubeクリエイター。「バイクを元気にしたい!」というコンセプトで定期的に動画を配信している。最近では徒歩旅に目覚めたという。’76年生まれの2児の父。[URL]DIY道楽(メインチャンネル) / のまてつ父ちゃんの日常(サブチャンネル) [写真タップで拡大]
クレ556だけじゃない! 潤滑スプレーの性能を比較してみた
皆様こんにちは! DIY道楽テツです。皆さんは潤滑スプレーと言うと何を思い浮かべますでしょうか?
バイクや自動車をメンテナンスしていない一般の方でも、「クレ556(CRC 5-56 呉工業)」と答える方が非常に多いのではないでしょうか。
ホームセンターでも目立つ場所にありますし、昔からドアのきしみやサビ取りとしてあまりにも有名ですものね。
しかしもちろん、潤滑スプレーといえばこの「クレ556」以外にも、いろんな種類があります。
値段も100円均一のショップで売っているものから、上は3000円以上の高級品まで。国内国外含めると数え切れないほどの潤滑スプレーが一般的に販売されているんです。
そこで疑問。ぶっちゃけた話、何が違うんでしょうか?
潤滑スプレーの性能といえば、ぱっと思いつくところでは浸透力/油膜の強さ/潤滑性/防錆性でしょうか。でも実際のところスプレーを吹いてみても、軋み音が消えたり部品が滑らかに動いたりなど体感的なものはあれど、その性能差を目で見ることはあまりないんですよね。なにせ穴や隙間や機械の中など、目につかないところに使うケミカルですからして。
そんなわけで、一番メジャーなクレ556の潤滑能力って、他の製品と比べるとどれくらいなのか! 家にあった手持ちの潤滑スプレーと比べることにしました!
写真左から、KURE CRC 5-56(呉工業)/スーパーオイルスプレー(スーパーチープツールズ)/超極圧潤滑剤 LSベルハンマー(スズキ機工)。この3つを比べます。特に意図があったわけでなく、たまたま自分のガレージにあった潤滑スプレーたちです。※価格は全て購入時の金額 [写真タップで拡大]
潤滑スプレー比較テスト:方法は「吹き付け後の変化」と「金属摩擦」
今回のテストはこんな感じ。まずは「定盤」を用意いたしまして、テストピースとして鉄のブロックを用意しました。
潤滑スプレーといえば摩擦の低減。てことで、この定盤に鉄のブロックを滑らせて、どれくらい抵抗が減るのか? これで潤滑スプレーの性能の違いを検証してみたいと思います。
まずは定盤の“素”のまま、何もしない状態で鉄のブロックを置いて、指で押して滑らせてみます。
ちょっと押したぐらいじゃ動きません。金属同士の摩擦で滑らない状態です。て言うか金属同士ってこんなに摩擦があるもんなんですね…。 オイルがなかったらエンジンなんて秒で焼き付くとは言いますが、なんか妙に納得です。
潤滑スプレー比較テスト:それではここからテスト開始!
定盤をマスキングテープで三分割して、そこにスプレーをくるっと二回りほど吹き付けます。潤滑スプレーを吹きっぱなしにしたのは初めてなのでなんか新鮮な絵面ですね~。
それぞれ値段が全く違いますが、どれも「潤滑スプレー」であるのは間違いないはず。だけどこの時点で見た目から既に別物でした。いきなりこんなに違いが出てしまうとは…軽い気持ちで始めた実験ですが面白い結果になりそうな予感がします。
潤滑スプレー比較テスト:しばらく放置して吹き付け面の変化を検証
最初に動きを見せたのは「クレ556」。ほんのちょっと定盤が傾いているようで、画面下方向に向かって流れ始めました。
それに追従するかのように動きを見せたのが、「スーパーオイルスプレー」。最初は少し弾いてる印象だったのですが、みるみる広がっていきます。あっという間に定盤の端に到達して、下に流れ落ちてしまいました。
それを静観するかのように動きがなかった「LSベルハンマー」ですが、最初にあった泡がなくなってきて、トロみ(粘度)が増しているような変化を見せ始めました。流れもしなければ広がる様子もほとんどありません。
正に三者三様! これは結果がどうなるかワクワクしてきましたよ??
潤滑スプレー比較テスト:一時間後。三種とも全く違う状況に
1時間が経過しました。それではどうなったか見てみましょう~。
クレ556:残留性能
まず「クレ556」は、半分ほどが流れてしまいましたが、元のプールの場所にはしっとりとした油膜が残っていました。
スーパーオイルスプレー:残留性能
そして次に「スーパーオイルスプレー」は…アレッ? ほとんどが流れてしまって、かろうじて湿ったように色が濃くなっているだけです。
LSベルハンマー:残留性能
最後にLSベルハンマーはというと…初期のプールからほんのちょっと広がったかなという印象はありますが、流れることなく100%をそこに踏みとどまっていました。
潤滑スプレー比較テスト:潤滑性能はどれくらい維持されている?
一番最後にメインのテストをしましょう。先ほどの金属ブロックを当てて指で動かし、その潤滑性能を確かめてみます。
クレ556:潤滑性能
スーパーオイルスプレー:潤滑性能
そして「スーパーオイルスプレー」は…。動きません。指で押しても動きません。一番最初の何もしてない状態よりは違うような気がしますが、実際のところほとんど変化なし。これは…やっぱり、ほとんど、と言うか全部流れてしまったようですね…。 [写真タップで拡大]
LSベルハンマー:潤滑性能
そうなってくると俄然期待をしてしまうのが「LSベルハンマー」ですが、これは別物の結果になりました。鉄のブロックを置いた途端、触ってもないのに、“スーーーッと横移動”した(!)のです。いえいや別に超能力とかそんなんじゃなくて、ブロックが油膜の上に浮かんだ状態で動いちゃうのです。指で押す、というより、トンと押してやれば、そのままブロックが流れていきます。まるで泳ぐかのよう…!!! [写真タップで拡大]
まざまざと見せつけられたその性能差! だけどコストパフォーマンスを考えたら??
当初予想していたものと全く別物結果。まさにエグいほどの性能差をまざまざと見せつけられる結果になりました。
ですが、スーパーオイルスプレ-(スーパーチープツールズ)が150円/KURE CRC 5-56(呉工業)が328円/超極圧潤滑剤 LSベルハンマー(スズキ機工)が3040円で、その価格差は実に20倍にも及ぶのです※どれも購入時価格。
単純に性能だけで考えるのであれば「LSベルハンマー」の ダントツ一位なのですが、 どんな用途でどんな結果を求めるかによっては、 どれも選択の余地があるのかなと感じました。
ちょっとした油汚れなどを溶かすときなどに潤滑スプレーを使うことがあるのですが、そんな時には「スーパーオイルスプレー」が遠慮なくガシガシ使えますし、
個人的にエンジンの組み立ての時には「LSベルハンマー」はもう手放せません。
でももし一本だけ選べと言われた場合、性能とコストパフォーマンスのバランスを考えると、やっぱり国民的潤滑スプレー「クレ556」が 一番バランスが取れているのかなと思いました。
いやーそれにしても面白い実験でした。
こうして目の当たりにできると非常に納得できます!
皆様も、手持ちの潤滑スプレーをこういった形でテストしてみると、その性能を良く知ることができるかもしれません。もしご興味がありましたらトライしてみてください。
この記事が、何処かの誰か様の参考になれば幸いです。
今回もご視聴ありがとうございました~!
動画解説はこちら↓
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