1万3千円のフルフェイスヘルメットがスタイルチェンジまでできて凄い!THH TX-28
●文:[クリエイターチャンネル] 相京雅行
またしてもコスパが凄い製品を見つけてしまいました。
THHという台湾のヘルメットメーカーの製品、TX-28です。
先に価格をお伝えしておくと、実勢価格で13000円前後。しかもこの価格でスタイルチェンジもできちゃうヘルメットです。
そもそもTHHを知らない方も多いと思うので、まずはメーカーの情報をお伝えします。
THHヘルメットって?
THHは1974年に台湾で設立された企業で、40年以上ヘルメットの設計、製造を行っている会社です。
台湾は北から空港や観光地が多い台北、台中、台南、高尾と4つのエリアに分かれていますが、その中でもTHHは台南に位置し、新幹線で1時間30分ほどの立地にあります。ちなみに新幹線は日本製。
取引先は日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアと多岐にわたるため、日本で販売されている商品はPCSとSGの認証を取得して販売されていますが、仕向け地によってAS、DOT、ECE、SNELLなどにも対応しています。
台湾や中国は自社ブランドとして販売するよりもOEM製造に力を入れていて、たとえばOGK KabutoやイタリアのヘルメットメーカーAGVは一部中国製だったりします。THHに関しても基本的にはOEMがメインのようです。
TX-28の付属品
TX-28の付属品はピークバイザー、ベースカバー、ヘルメット収納用袋、説明書の4点です
TX-28はシールド付きのアドベンチャーヘルメットになりますが、ピークバイザーを外したターミネーター仕様、シールドを外してベースカバーを装着したオフロード仕様の3通りの形態にすることができます。
ピークバイザーやベースカバーはスタイルチェンジ用の付属品です。
説明書に関しては前半が英語、後半が中国語で記載されていますが、メンテナンスの仕方や使用上の注意に関しては日本語の説明書があります。
またスタイルチェンジのやり方に関してはビス類の脱着だけのシンプルなものですが、わかりやすい絵付きのマニュアルがあるので安心です。
TX-28の見ため
ホームページなどに掲載されている写真はバイザー、シールド付きのアドベンチャーヘルメットという感じですが、納品時バイザーはついていない状態となります。
全体的にはエッジの効いた立体的なフォルムになっており、ゴツゴツとした印象を受けます。
僕が気に入ったのは横から見た時のフォルム。ヘルメット下淵がゴツゴツとした造形になっていて、シャープな印象。
シールドベースの下側には金属製ボタンのようなパーツがついていて、一言で表現するなら「イカツイ」フォルムです。
口元とトップ内装の一部にカーボン柄が採用されているのも個人的にお気に入りポイントの一つです。
TX-28の機能性
国内メーカーのシールド付きアドベンチャーヘルメットと比べて、機能面で異なるのはインナーバイザー付きという事。左側シールドベースの横のタブで出し入れできます。主観では少し縦に短いかなという印象です。
頭頂部両脇に2か所と口元に1か所開閉可能なベンチレーションを備えますが、口元両脇には常時開放しているベンチレーションが左右に1か所ずつ。更に後頭部に2か所開閉可能なアウトレットがあります。
その他にも後頭部に4か所、左右に2か所ずつ常時開放されているメッシュ張りのアウトレットが用意されており、ヘルメットの蒸れ対策は徹底的。
オフロード使用など大きな動きを想定しているようです。
ただベンチレーション開閉のつまみが小さく、グローブをつけていると少し苦労しそう。後ろ側のアウトレットもちょっと動きが悪かったのが気になりました。
シールドは視界が広く凝った形状でUVコーティングされているとの事ですが、色がついている感じもなく一般的なクリアシールドと変わらない色味で、開閉時5段階調整が可能です。
更にピンロックシートを装着可能。ヘルメットの値段を考えると3912円と割高に感じますが、経験上曇り止め効果が高いので一緒に使いたいところです。
顎下には標準でチンカーテンを備えます。下からの巻き込みの風は軽減してくれそうです。
顎紐にはラチェットバックルを採用していますが、ヘルメットホルダーなどで使うことができるDリングも備えています。
スタイルチェンジに関して
標準がターミネーター仕様ですが、ピークバイザーの取り付けは頭頂部は手回しボルト、左右はプラス形状のボルトが使われていますが、ドライバーだとサイズが合わないのでコインドライバーやコインを使った方がやりやすいでしょう。
アドベンチャースタイルの完成です。
シールド脱着は同じくコインドライバーかコインで左右のボルトを緩めることで簡単に可能です。ベースはマイナスのボルトで固定されていますが、プラスチック製なので最初だけマイナスドライバーで緩めて、残りはコインかコインドライバーでやった方が舐めにくいかもしれません。
付属のベースカバーをシールドボルトで装着すればオフロードスタイルの完成となります。
TX-28の内装
チークパッド左右、トップ、チンカーテンが脱着可能です。チンカーテンは無理やり押し込むタイプが多いですが、差し込み用の凹凸があり節度のある取り付けが可能です。
内装の表には吸湿速乾性に優れた素材が採用されています。ベンチレーション機能も充実しているので常にサラサラの状態を保つことができそうです。
帽体はM~XLが共通で、XXLのみ別帽体。MからXLは内装の厚みでサイズ調整しているのでMサイズは各所のクッションがモリモリといった感じです。特にトップ内装の後頭部、チークパッドはかなり厚みがありました。
フィット感
THHジャパン担当者によれば普段使っているヘルメットの1サイズアップがお勧めとの事。
僕は普段Mサイズを使っていますが、フィッティングサービスで前後左右クッションを追加して使っているので、TX-28もMサイズを被ってみました。
頭の周りはピッタリですが、チークパッドはかなりきつめ。かぶる時には顎紐を引っ張りながら被った方が良いでしょう。
インカムなどを使用する際には頬が潰れて喋りにくいので、きついと感じた人はチークパッドだけサイズアップしでも良いかもしれません。オプションで左右セット1000円前後で売られています。
重さ
スタイルチェンジで重さが変わるのでそれぞれ計測してみました。計測したのは単色Mサイズです。
アドベンチャー
ピークバイザー、シールドのどちらも装着した状態の重さは1740g
ターミネーター
アドベンチャーヘルメットからピークバイザーを外し、バイザーの取り付け穴を付属品で埋めた状態で1658g
オフロード
ピークバイザーを装着、シールドを外し、シールドベースキャップを装着して1622gとなります。
走行して感じた感想
今回はアドベンチャースタイルで走ってみました。
走り出して初めに感じたのは口元の常時開放ベンチレーションから入ってくる走行風。気温が12度前後と低かったこともあり口元がひんやり感じました。
更に口元のベンチレーションを開放すると走行風が大量に入ってくるようになるため、高速道路では閉めないと寒いほどでした。
頭頂部のベンチレーションはノブが小さいこともありバイザーを装着してしまうとヘルメットを被ったままで開閉できません。
ただ開けた状態で走行すると走行風の流入量が多め。夏場でも開けておけば頭が蒸れることはなさそうです。
高速道路も走ってみましたが、バイザーがついている状態にも関わらず走行風による影響は軽微で、車線変更などで横を向いた時も風で煽られる事がありませんでした。
多機能なシステムヘルメットと同等程度の重さですが、風に煽られにくくフィット感に優れているため重さを感じにくかったのは嬉しい誤算でした。
ただ走行中の風切り音は大きめ。エッジのきいたデザインやバイザーがついていることもあり、風切り音が気になる人は高速道路での長距離走行は厳しそうです
ジェットからフルフェイスに変えるならお勧めの一つ
チンカーテンが標準装備でサイズも大きいので、巻き上げ風の流入量は少ないのですが常時開放ベンチレーションから入ってくる風が多いのでスポーツジェット同等程度涼しく感じます。
更にシールドの上下が長く、視界が広いのでジェットから変えたとしても圧迫感を感じにくいでしょう。
※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
コスパの高さで人気のコミネから新作フルフェイスヘルメットが登場 コミネがヘルメットを販売しているのを知っていますか? 筆者は恥ずかしながら知らず、新作のヘルメットが発売されるというニュースを見て「え?[…]
先日初めてチンガードを脱着することで、ジェット、フルフェイス二通りの使い方ができるヘルメットを経験しました。 夏場は涼しいジェット、冬になったら視界が広く暖かいフルフェイスヘルメットとして使えるので最[…]
構造が複雑でパーツ点数が多いシステムヘルメットは重い。慢性的に首や肩凝りに悩まされるライダーにとっては無縁なものという印象でした。 インプレッションなどで一時的に借りて便利だなと感じることはあっても、[…]
初めてヘルメットを買ったのは、大学通学用の50㏄スクーター購入時。 お金がない大学生が、スクーター用のヘルメットを買おうとすれば安価なハーフタイプになります。 当時近くのバイク用品店で購入したのがリー[…]
マルシン工業株式会社をご存じでしょうか?「マルシン出前機」を製造・販売する株式会社マルシンではありません。 マルシン工業株式会社は1962年以来、半世紀以上ヘルメットの製造販売を行っている会社です。 […]
最新の記事
- CB400スーパーフォアに代わり、首都高パトロールに黄色のBMW! 「F900XR」を12月上旬より黄バイとして運用
- スズキ「Vストローム250SX」と「Vストローム250」は何が違う? 身近な兄弟車を比較!
- 【2024年11月版】150~250cc軽二輪スクーター 国内メーカーおすすめ7選! 125ccの双子モデルからフルサイズまで
- SHOEIがシステムヘルメットのド定番モデル「ネオテック3」に新グラフィック「ANTHEM」を発表!
- SHOEIが「Z-8 YAGYO」を発表! 百鬼夜行をイメージしたバイクパーツ妖怪が目印だ!!
- 1
- 2