
仕事柄、普段から数多くのバイクに触れてきているバイクジャーナリスト横田和彦が、日常の足として、ツーリングの相棒として、そして走る楽しさを味わう一台として選んだのが、イタリアのFANTIC(ファンティック)がリリースしているキャバレロ・スクランブラー500だ。なぜこのバイクだったのか、その理由を語る。
文:横田和彦 ●BRAND POST提供:MOTORISTS
バイクが日常にある人生
普段から数多くのバイクに触れているからこそ、自分の一台を選ぶ時には迷いが生じる。
ボク(横田和彦)は現在、バイクジャーナリストとして、ニューモデルのインプレッションや取材記事を各種二輪媒体に寄稿している。そのため16歳で原付免許を取得してから実に40年以上、50ccから250cc、400cc、リッターオーバーまで、さまざまなバイクに乗ってきた。
各メーカーの最新モデルに乗る機会に恵まれているのは、仕事とはいえ役得だ。先進の電子制御システムを満載したスーパースポーツやアドベンチャー、ワインディングを軽快に駆け抜けるネイキッドスポーツ、威風堂々としたクルーザー、身近で親しみやすい125ccクラスまで、ジャンルも排気量も幅広い。
長年乗ってきた目線で言うと、今のバイクはどれも本当によくできている。乗ればそれぞれに魅力があり、「こいつはいいな!」と思うことは少なくない。
ただ、自分の1台を選ぶとなると話は別。移動の中心は今でもバイクであり、買い物や仕事の足にも使う。プライベートでツーリングにも行くし、スポーツライディングも楽しみたい。便利なだけでは足りないし、速いだけでも満たされない。
普段から自然に使えて、走るたびにテンションがあがる。そんな “都合がいいバイク” を求めていた。
じわじわと心に染みてきたバイク
キャバレロ・スクランブラー500に初めて乗ったのは、2019年のデビューイヤーだった。
そのとき「非常に素性が良いバイクだ」と感じたことをよく覚えている。軽量な車体に、低回転域から元気にレスポンスする450ccの単気筒エンジンを搭載。イタリアの感性を感じさせるスタイルと造り込み。乗った瞬間に強烈なインパクトを残すというより、乗り終えてからしばらくの間、身体に良いフィーリングが残るタイプだった。
2019年にデビューしたときは、同じ車体構成で、500cc、250cc、125ccがあった。現在、250cc(実質日本向けモデル)は生産終了となっている。
バイカーズパラダイス南箱根で開催された試乗会では、ワインディングを軽快に駆け抜けるフィーリングを堪能。このときから相性の良さを体感していた。
その経験から数年後、当時乗っていたバイクにトラブルが発生。年式の問題もあって必要な純正パーツが出ないことが判明したのだ。大好きなバイクだったが、仕事に行く途中にトラブルが起きても困るので、本格的に乗り換えを考えた。
先にも記したように、いろいろなバイクに乗っているだけに、具体的に考えだすと悩みがつのる。スタイルはもちろん、仕上げ、乗り味、走れるフィールド。そしてなにより手に入れてから自分がどれだけのめりこめるか。それらを探るときに、多くの経験が迷いにつながってしまう。
そんなときにふと思い出したのがキャバレロ スクランブラー500だ。軽さ、単気筒エンジンのレスポンスのよさ、スタイル、仕上げの良さなどなど。それらが自分の好みと一致する。
国産250ccトレールに近い軽快感でありながら、アクセルを開ければ大排気量単気筒らしい太いトルクが生み出されて、爽快な加速感が体感できた。そんなフィーリングがリアルに甦ってきたのだ。
あらためて購入者目線で調べてみると、車体価格は納得がいくもの。というか、アルミ削り出しパーツやドライカーボンパーツなどを多用した造り込みを見ると、安価にさえ感じたくらいだ。
注目はアルミ削り出しの上下ブラケット。まるで高価なカスタムパーツのような仕上がりだ。LEDヘッドライトはかなり明るく、夜間走行も不安なし。
エキゾーストパイプを覆うヒートカバーは、レーシングマシンなどにも使われる超軽量なドライカーボン製。
ピボットフレームも高剛性のアルミ削り出し。世界的な名車、bimotaなどでも採用されている造りだといえば、FANTICの本気度が伝わるだろうか。
スタイリッシュな右2本出しのサイレンサーは、ノーマルでARROW製。ボクはカスタムも大好きなのだが、このバイクはほぼノーマル。マフラー交換もしていない。というか、このデザインと排気音が大好き。
そして2024年8月某日、ボクはモータリストに行き、あらためてキャバレロ スクランブラー500に試乗させてもらうと、すぐに購入の相談をはじめた。
大田区にあるモータリスト・ファクトリー(https://motorists.jp)で、車両を詳しくチェック。
1万4000km走っても、気持ちの盛り上がりは色褪せない
購入してから2年を過ぎ、走行距離は1万4000kmを越えた。普段の交通手段からツーリング、ダート、そしてサーキットまで、幅広いフィールドを走り回ったが、飽きる気配はまったくない。
近所のコンビニへの買い物から
知り合いがいるキッチンカーへの訪問
気晴らしの近所ラン。
大好きなライダースカフェ、逗子の808カフェ10R(https://www.instagram.com/808cafe10r/?hl=ja)。
あちこちで開催されているキャバレロ・ミーティングへの参加。
気にしている人もいるかも知れないので記しておくと、今までトラブルはなし。定期的なオイル交換と消耗品の交換だけなので、ランニングコストも一般的なレベルだ。正直に言うとちょっと警戒していたのだが、拍子抜けするほど普通に扱えている。
仕事でいろいろなバイクに乗るけれど、「1台でできるだけいろいろなことをしたい」という、ボクみたいな欲張りなライダーに向いているバイクにはそうそう出会わない。
今でもキャバレロ スクランブラー500にまたがってエンジンをかけるとテンションがあがり、走りはじめた瞬間にスイッチが入る。市街地では軽さが武器。取り回しやクイックな挙動は市街地で有効だ。またエンジンは単気筒の割に実用域でギクシャクしにくい(もちろん多気筒車にはかなわないけど)など、日常のバイクとしての完成度は高い。
新車で購入してからずっと燃費を記録しているが、平均で26.9km/L走っている。高速道路メインであれば30km/Lを越えるときも。
高速道路では、リッターマルチのような余裕があるわけではない。それでも必要十分な巡航性能は備えていて、ツーリングでの移動に大きな不満はない。ワインディングでは、軽い車体と単気筒エンジンのレスポンスが生きてくる。ねらったポイントでリズムよく向きを変え、アクセルを開けて軽快に立ち上がっていく楽しさがあるのだ。
そしてオフロード走行はもちろん、個人的に大好きなサーキット走行で楽しめたのも嬉しいこと。キャバレロ スクランブラー500に乗っている元国際A級ライダーから聞いてはいたけれど、タイヤ(PIRELLI SCORPION RALLY STR)もサスペンションもノーマルのままでヒザスリができたのは驚きだった。
どこかひとつに特化しているわけではないのに、どこを走っても走りのレベルが高い。走るフィールドを問わない懐の深さこそ、キャバレロ スクランブラー500の大きな魅力だと感じている。
UNITEDcafe宮ケ瀬店(https://miyagase-village.com)で憩いのひととき。
大切なバイクには信頼できるエンジンオイルを使う。FANTICの指定オイルでもあるMOTULの300Vは、レスポンスの良さと抜群のパワーフィールを約束してくれる。
新型キャバレロ スクランブラー500は正しく進化
2025年にキャバレロ・スクランブラー500はフルモデルチェンジした。その内容をひと言でいえば正常進化だ。
新型エンジンはFANTIC傘下となったミナレリ社が生産。その結果、車体からエンジン、足まわりまで、すべてがイタリア製となった。
一番好感を持ったのは、キャバレロらしいシルエットを大きく変えなかったこと。フルモデルチェンジでありながら、従来型の持っていた美しいプロポーションをしっかりキープ。そのうえで、中身はきちんと現代的にアップデートされている。
最新の環境規制・ユーロ5+をクリアするパワーユニットは、DOHC化し排気量もわずかにアップ(449cc→463cc)。
装備面の進化も大きい。LEDヘッドライトの意匠が変わり、ウインカーもLED化。さらにメーターはTFT液晶になり表示される情報量が増えた。ギアポジション表示やハザードなど、実際に乗っていて欲しいと感じていた機能が数多く加わったのも嬉しいポイントだ。シートがキーロックで外せるようになった点も、地味ではあるが確実な進化といえる。
先代のキャバレロ スクランブラーオーナーだからこそ、新型を見ると感心するポイントが多い。キャバレロが持つ“美しいスタイル”や“自由さ”はそのまま、走りと装備の質を引き上げている。
今買うなら、ボクは間違いなく新型を選ぶだろう。キャバレロ スクランブラー500は、ボクにとってそれくらい魅力的なオールラウンダーモデルなのだ。
UNITEDcafe世田谷店(http://united-cafe.net)もよく立ち寄る。バイクにまつわる展示会などもやっていて、バイク乗りにとって楽しい空間だ。
SPECIFICATION
- モデル名称:CABALLERO SCRAMBLER 500(2022年モデル)
- エンジン型式:水冷4ストローク単気筒 SOHC4バルブ
- 排気量:449cc
- 最高出力:45HP/8500rpm
- 最大トルク:43Nm/6000rpm
- トランスミッション:6速マニュアル
- フレーム:クロームモリブデン鋼 セントラルチューブフレーム
- フロントブレーキ:φ320mmディスクブレーキ
- リアブレーキ:φ230mmディスクブレーキ
- ABS:2チャンネルABS (ABSカット機能付き)
- フロントサスペンション:FANTIC FRS φ41mm 倒立フォーク
- リアサスペンション:FANTIC FRS プリロード調整可能
- サスペンション ストローク(F/R):150/150mm
- 全長:2166mm
- シート高:820mm
- ホイールベース:1425mm
- タイヤ(F/R):110/80-19 / 130/80-17
- 車両重量:150kg
- タンク容量:12リットル
- 希望小売価格:1,190,000円(税込)
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