EICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)はここ数年、電動バイクやE-Bike(電動アシスト自転車)など電動にまつわるあらゆるブランド誘致に積極的。本記事では今回集まった電動系ブランドを中心に、それぞれのニューモデルを紹介しよう。まずは前半5ブランドから。
●文/写真:ヤングマシン編集部(河野正士)
【レポーター:河野正士】フリーランスのバイク系ライター。ニューモデルのインプレッションから海外のカスタムバイク系イベントの取材まで幅広く活動。EICMA取材は通算で10回を超える。
電動モビリティが生活に浸透するために
’21年のEICMAは準備期間が短く、また車両開発や生産ラインが予定通り稼働していないブランドも多かったことから、出展ブランドは少なめ。そんな中でも存在感を示したが電動系のブランドたち。電動専業ブランドに加え、既存2輪車メーカーからも新型電動バイクやそのコンセプトモデルが出展された。それらの多くは、小排気量スクーターやペダル付きバイクのモペッドに相当する小型電動モビリティだ。そもそも欧州は、スクーターや自転車、さらにはペダル付きバイクのモペッドまで、あらゆる2輪車が移動手段のひとつとして広く認知されている。
近年は電動キックボードシェアサービスが広がり、地元住民や観光客たちのラスト1マイルの移動手段となっているため、ここで見た電動ビークルは、現在のユーザーの要望に応える小型電動モビリティが主流。ただし都市部の住宅事情は日本と変わらず、駐輪場の確保や、さらにはそこでの充電設備を確保するのは難しい。したがって個人所有のモビリティについてはマーケットが広がらず、その要望に応えるシェアサービスが人気となるわけだ。そんな欧州のモビリティ事情を想像しながら、会場で発表された電動モビリティを見ると、また違った印象になるハズだ。
SUPERSOCO by VMOTO(スーパーソコ バイ ブイモト):ホルヘ・ロレンソのシグネチャーモデルを発表
前回までSuperSoco(スーパーソコ)として出展していた中国の電動バイクブランドは、新たに「VmotoSoco(ブイモトソコ)」とブランド名を変更。これまで同様、ドゥカティのオフィシャルサプライヤー契約を継続。ドゥカティカラーの電動スクーターもラインナップ。また今回は、電動バイクのコンセプトモデルを発表。ホルヘ・ロレンソのシグネチャーモデルもアンベールした。
CAKE(ケイク):働く電動バイクで電化のメリットを訴求
スウェーデンの電動バイクブランド・CAKE(ケイク)は、オフロードスタイルの車両「Kalk(カーク)」でブランド知名度を高めたが、その後は「Ösa(オーサ)」と「Makka(マッカ)」という働くバイクを想定したスクーターを展開。さらに今回は配送事業者をターゲットし、バッテリー容量とモーター出力をアップし、さらには積載能力を高めた「Work(ワーク)」シリーズを発表した。
ITALJET(イタルジェット):復活したドラッグスターに電動バージョンが登場
イタルジェットは、トレリスフレームに片持ちスイングアームのフロントサスペンションを持つスクーター界のスーパーバイクブランド。今回は、中国の電動バイクブランドFELO(フェオ)のモーターや駆動システムを使った電動スクーター「ドラッグスターエレットリコ」を発表した。美しいフレームやボディデザインはエンジン版のドラッグスターのままだ。
PIAGGIO(ピアッジオ):若者たちの足を目指す新型電動スクーター
ピアッジオは動画投稿サイトTikTokで発表した電動スクーター「ONE(ワン)」の実車を展示。ワンは交換式バッテリーを持つ。燃料大手BPと提携した、欧州やアジアでの電動2輪&3輪車に向けた交換バッテリーステーションの提供を含め、幅広いサービス開発の基準車両となるだろう。
FANTIC(ファンティック):オールイタリアンで電動での活路を見出す
Fantic(ファンティック)は電動スクーターのコンセプトを発表。このプロジェクトは、キャブレターのほか電子制御系パーツのDell’Orto(デロルト)と、イタリアの電動バイクブランド・Energica(エネルジカ)、そしてハイブリッドおよび電動パワートレインの開発を行うReinova(レイノバ)とのトリプルコラボ。それぞれが独自に開発したモーターやインバーターなどをチョイスし、それをファンティックが車体として設計し、Motori Minarelli(モトミナレッリ)が組み立てる。
EICMA2021現地レポート:電動バイク大増殖!×10選[後編に続く]
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