感動的な進化! もうGSにクラッチレバーは必要ない?〈BMW R1300GS ADVENTURE/ASA〉
BMWのGSアドベンチャーシリーズをこれほど身近に感じる日が来るなんて。新機構「ASA」がもたらす嬉しい驚きと新しい走りの発見は、試乗後もしばらく興奮に浸らせてくれた。僕は今も仲間に会う度に試乗を勧めている。
●文:小川勤 ●写真:真弓悟史 ●BRAND POST提供:BMW Motorrad
BMWが打ち出すベテラン用オートマチック
違和感はなく、慣れという意識も必要なかった。走り出して10分もすると、僕はASA(オートメイテッドシフトアシスト)のコツを掴み、その機能をより効率良く活用するための乗り方を探っていた。
ASAは、クラッチレバー操作をしなくてもギヤチェンジできるBMWの機構で、AT免許でも乗ることが可能。変速モードはM(ライダーが任意で変速)とD(自動変速)があり、今回ライディングモードはロードとダイナミックをテストした。とにかくスゴいし、革新的だし、バイクが次世代に行ったとも思った。
これまでもクラッチレバーレスのバイクに乗ってきたが、ASAほどベテラン用だと感じさせてくれる機構はなかった。世界最強＆最新、抜群の完成度を誇るR1300GSアドベンチャーとのマッチングがそう感じさせる部分は大きい。これまでの自分のクラッチ操作の未熟さを痛感することもある。スタートもそこからのシフトアップも上手い。またこの巨体だとエンストしないことも美点で、ASAは立ちゴケリスクも軽減。
他にも停車時には30mmシートが下がり、坂道では自動でブレーキをかけた状態をキープ。まさに至れり尽くせりなのだ。
出力モードは市街地だと僕はロード一択。発進後すぐに4速／5速まで自動でシフトアップ。軽くブレーキをかけると、1速シフトダウンし、少しブレーキを強めるとブリッピングしながらもう1速シフトダウン。止まる寸前に1速に入る。Dモード中もシフトペダルでギヤを落とせるが、ブレーキレバーを使った方が簡単。こう書いても多くの方の理解が追いつかないかもしれないが、ASAはブレーキレバーの強弱で理想のシフトダウンができるのだ。
加速方向は1速からスロットル全開にするとシフトショックが大きいが、そういったスロットル操作をしなければよく、ASAを生かす乗り方を模索するのも楽しかった。
高速道路でも驚きは続く。DモードでACCを使うと自動変速で前走車を追従。巡行はもちろん、20km/hほど出ていれば自動追従するため、中途半端な速度の渋滞が苦にならない。疲労やストレスを感じにくいから余裕が生まれ、いつもの高速道路が別の景色に見えてくる。
峠でDモードでダイナミックモードに入れると、回転が高めに。アベレージを上げると気持ちの良い瞬間でギヤチェンジするが、ロードモードでのんびり流すもの快適。Mモードも良いが、新鮮さに魅了されDモードを多用してしまう。また、すべてのシーンでサスペンションのピッチングが少ないテレレバー＆パラレバーの恩恵が大きく、これもASAを引き立てる要素になっている。
BMWがASAを最初に搭載したのがGSシリーズだということにも大きな意味がある。GSは、BMWの中でもっともコアなカスタマーが選ぶバイク。
GS乗りたちが認めないとASAの成功はないという考えだと思うが、今回の試乗で納得。アドベンチャー界の王者は、ASAを手に入れ絶対的な高みへと到達した。
ASA(オートメイテッドシフトアシスト)とACC(アクティブクルーズコントロール)を融合させて、さらなる境地へ! メーターにはさまざまな情報が入っているが、ほとんどの情報を直感的に呼び出すことができる。グリップヒーターやシートヒーターもメーター内で制御。
ACCは前車との距離間も設定でき、左右に車両が接近した際はミラー内が点滅する。
ASAはクラッチレバーがないのが特徴。ニュートラルの出し方や出すタイミングにコツはいるが、難しさはない。唯一クラッチレバー付きのようにできなかったのはUターンだが、慣れればリヤブレーキを使って攻略できそうな気もする。
【フラットツインが生み出す圧倒的安定感と気持ちよさ】145psを発揮する水冷フラットツインエンジンは、常に熟成を繰り返している。今回の試乗においても感動的なスムーズさを披露。トラクションの質やシフトダウン時の気持ちよさは、他のエンジンでは感じられないものだ。
【存在感抜群の30Lタンク!】大容量燃料タンクが独特の存在感を発揮し、ガソリン満タン時はそれなりに重い。左右に張り出すフラットツインエンジンが独自の車体構成を生み出し、超低重心を実現している。
【サスペンションはフロントはEVOテレレバーリヤはEVOパラレバーの組み合わせ】フロントのテレレバーは車体の姿勢変化が少なくとても快適。操舵とサスペンションが独立し、走行中にキャスター＆トレールの変化量が少ないのが魅力。タイヤはミシュラン製アナキーアドベンチャー。オプションでキャストホイールも選べる。またアドベンチャーだけでなく、スタンダードのASA仕様もラインナップ。もちろんどちらも通常のクラッチ付きも選べる。
【燃料タンクは巨大。しかし、ホールド性は高い】R1300GSアドベンチャーの攻めたデザインのポイントは、角ばった30Lの燃料タンク。ASA＆ACC、さらにこの大容量タンクが、どこまでも走れそうな気持ちにさせてくれる。
【センタースタンドはサスを伸ばしてから上げると楽】センタースタンドは、何もしなくてもなんとか立てることができる。しかし電源をオンにしてからスタンドを下ろし、サスが伸びる動きに追従させて上げると、重さが軽減され簡単だった。
【RIDING POSITION】僕の体格にアドベンチャーは大きい。ただ、跨った際のフィット感は高く、キャリアがあれば、乗れないほどの大きさではない。つま先はツンツンだが、通常時は腰をずらして片足で支えるイメージ。
BMW R1300GS ADVENTURE/ASA 主要諸元
- ホイールベース:1534mm シート高:820/840-850/870mm(アダプティブ車高制御comfort装備車両)／840/860-870/890mm(アダプティブ車高制御装備車両) 車重:284kg(燃料100％)
- 水冷4スト水平対向2気筒DOHC4バルブ 1300cc ボア×ストローク:106.5×73mm 圧縮比:13.3対1 145ps/7750rpm 15.19kg-m/6500rpm 燃料タンク:容量30L 変速機:6速リターン
- ブレーキ形式(前／ 後):310mmダブルディスク×4 ピストンキャリパー／285mmシングルディスク×2ピストンキャリパー
- タイヤサイズ:F=120/70R19 R=170/60R17
- 価格:333万5000円〜(ASA 343万2000円〜)
※本記事はBMWモトラッドが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
