[マフラーインプレMT-09] 肝心なのはスロットル開け始めのトルクライン。街中で急かされず高速の伸びを引き出す! 最新型もPOWERBOX FULL RSで気持ちイー!

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2014年に初代がデビューして以来、SP忠男は10年間にわたってヤマハMT-09の「気持ちイー!」を追求しています。900cc3気筒エンジンの個性を生かしながら、クラッチをつないだ瞬間から“心地良さ”と“爽快感”を体感できるよう心血を注いだマフラー「POWERBOX FULL」は、多くのライダーから支持を集めてきました。4代目となるモデル(2024-)でも、低速から大らかで安心できる豊かなトルクラインと、中速から豪快に吹け上がるパワー感を両立した自信作が完成しました。

●文(インプレッション):大屋雄一 ●BRAND POST提供:スペシャルパーツ忠男

エキサイティングなキャラクターを生かしながら、街中での安心感や大らかさを追求してきた歴代MT-09用POWERBOX

排気量900ccの3気筒エンジンをコンパクトな車体に搭載した新世代スーパースポーツモデルとして2014年に初代MT-09が登場した際、SP忠男はいち早くそのポテンシャルと伸びしろに注目し、「POWERBOX FULL」の開発を行いました。

最高速より街中やワインディングでのキビキビとした特性を重視したエキサイティングなエンジンは、スロットルをワイドオープンしていくような走り方ではライダーを魅了。しかしながら、信号待ちからスタートする時のようなアイドリングからクラッチをつないで走り始める際に、一般の街中走行で使用する2000rpm付近でのドン付きや神経質な感覚を見過ごすことはできませんでした。

ギヤを入れたら一気に加速するヨーロッパ諸国での使い方であれば、アイドリング回転数からいくらスロットルを開けた2000rpm付近でのギクシャク感や扱いにくさはそれほど問題にならないのでしょうが、平均スピードが遅く渋滞路も多い日本の一般道ではそのあたりのトルク特性が重要だというのが、SP忠男のマフラー開発で一貫した考え方です。

2014年の初代、2017年登場の2代目、そして2021年にデビューした3代目でも、SP忠男独自の「気持ちイー!」の哲学を継承してきたつもりです。

フルモデルチェンジによって3代目となった時点で、ノーマル状態でもエンジン出力特性はパワフルながら上質になり、不満を感じるシーンはほとんどなくなりました。しかしやはり全開走行のエキサイティングさと気持ちよさと裏腹に1500rpm付近でのトルク特性には改善の余地があると感じられ、エキゾーストパイプや膨張室の試作とテストを繰り返して心地良さと爽快感を両立させることができました。

えてして社外マフラーといえば、私たちコンストラクターもユーザーも最高出力/サウンド/デザインを重視しがちです。もちろんせっかくマフラーを交換するのですから、最高出力が少しでも上がる方が嬉しいのは間違いありません。しかしノーマルで100馬力を優に超えるエンジンの最高出力がアップしても、それを体感できるチャンスは実は皆無と言っても過言ではないでしょう。

その一方で、停止状態からギヤを1速に入れてクラッチをそっとつなぐのに合わせてスロットルをほんのわずかだけ開いて発進するシーンは、最高出力を体感するより遙かに多く直面します。

スロットルをガバッと開けるとあっという間にすぎてしまう1500~2000rpm前後からの回転域に豊かで少しフラットなトルク特性が、日本のユーザーや走行ペースにとっては重要であり、その領域でしっかり機能するマフラーを開発することで、ライダーが上手くなったように感じる、常に安心と心地よいフィーリングが実現します。

SP忠男のマフラーを高く評価してくださるファンのみなさんには、我々の狙いや「気持ちイー!」とは何か? をしっかりご理解いただけているようです。それは初代から3代目までのMT-09用POWERBOX FULLを装着していただいた方々の満足度の高さからも証明されています。

初代と2代目はマフラーパイプ後部に膨張室を設けたのに対して、3代目はマフラーパイプと平行して膨張室をセット。それによりステップ下部がすっきり見えるようになったのが特徴だ。

最新型でも要となるのはクラッチミート直後のトルクライン。“見せる”マフラーも意識して開発をスタート

2024年に登場した現行モデルである4代目は、これまでの10年で培ってきたMT-09シリーズの良い部分がしっかり詰め込まれています。

MT-09は3代目となる2021年モデルでエンジンとフレームの仕様を大きく変更したフルモデルチェンジを行っており、2代目から3代目への変化に比べると全体的には小変更に留まっているような印象かもしれません。

しかし、さらに前モデルから走りの質感は着実に向上しており、エンジンはエキサイティングながらコントロールしやすく、安心感も大幅にアップしていることが、ノーマル車でもしっかり分かります。

またネイキッドの中でもストリートファイター寄りのキャラクターという特性もあるのでしょうが、YRCモードをストリートにしていても、2000rpmからトルクラインが急激に盛り上がるように感じました。

もう少し細かく説明すると、スロットルを開けた時にトルクラインに起伏を設けて、豪快な加速フィーリングが感じられるよう演出されているような感じです。エキサイティングさを押し出すために、わざとラフな特性を与えているのかもしれません。

しかし、この味つけは、信号待ちからスタートしたり、発進停止を繰り返すような渋滞路ではライダーを急かすような一面があり、私たちの感覚では日本の一般道ではもう少し穏やかな特性にした方が、もっとライダーに寄り添えるのでは? と感じました。

それを実現するには、クラッチミート直後のトルクラインを自然な右肩上がりにすることで、力強くありながら唐突にならない走り出しが実現でき、安心感を大幅にアップできるはずだと予想を立てました。

そのために3本のエキゾーストパイプの太さや長さを幾度となく変更し、2000rpmあたりのトルクを補正するとともに、そこからつながる4000rpm前後までのトルクラインがかなり秀逸になったことで、強すぎた刺激が落ち着いて、一般道でのふだん使いでも緊張したり身構えることなく気軽に乗れるようになりました。

エキゾーストパイプの径や長さで1500~2000rpm付近のトルクラインを整え、マフラーパイプと膨張室で中~高回転領域のPOWER特性を調整する。文字にするのは簡単だが、両者の役割は明確に分かれているわけではなく、試行錯誤によって実走テストにおける心地良さと爽快感を追求していく。

完成したMT-09/MT-09SP(2024-)用POWERBOX FULL RS。パッと見では3代目用と似ているが、別体だったエキゾーストパイプが溶接されたワンピース構造となり、パイプ長も径も2024年モデル用として最適化し、膨張室も最新型に合わせて開発。車体側の大きな変更はO₂センサーが2個に増えた点で、3代目はエキゾーストパイプ集合部の車体左側1カ所だったのに対して、2024年モデルはマフラーパイプ右側にもセンサーを取り付けている。

膨張室の内部構造を何度も変更して中速以上のパワーを引き出し、誰が乗っても分かる「気持ちイー!」を実現

エキゾーストパイプによって2000~4000rpmまでのフィーリングが改善した一方で、5000rpm前後のパンチが落ちてワインディングでの爽快感がスポイルされてしまったので、次なる対策が必要となりました。

マフラーらしいルックスにもこだわりたい私たちは、SP忠男の得意技である別体膨張室を採用したPOWERBOX FULLで開発を行っています。エキゾーストパイプからサイレンサーにつながるメインパイプと平行に配置した膨張室は、膨張室自体の容積/メインパイプとの接続位置/接続パイプの太さによって出力特性に大きく影響します。

さらに外から見るとシンプルな円筒状ですが、膨張室内部もいろいろな構造をテストしています。

今回のMT-09の場合、5000rpmから上のパワーを引き出すために膨張室内部の隔壁を調整してバランスを取り直し、最終的に膨張室内の内圧調整用の穴を2つにして、それぞれの穴径を変えながら狙いを達成しました。

完成したPOWERBOX FULLは、まず1500rpm付近からトルクを引き出し、トルクラインを少しフラットに整えたことで、ライダーのコントロール下に置いています。それによってライダーは、クラッチミートして走り出した直後からリラックスでき、急激に盛り上がるトルクに身構えることなく走行できるため、長距離ツーリングでも渋滞路でもリラックスできます。

また5000rpmから上の回転域も爽快でめちゃくちゃパワフルになっていますが、中~高回転域でもリラックスできる味つけとなっています。

SP忠男が目指す「気持ちイー!」とは、心地良さと爽快感が伴うことで実現すると考えていますが、今回の新型MT-09用POWERBOX FULLも狙い通りの性能にまとまったと自負しています。

私たちは30年以上にわたってマフラー開発を継続していますが、試作品が狙った通り、思い通りの性能を発揮することばかりではありません。そんな時はパイプの直径/長さ、膨張室やマフラーパイプの組み合わせを何度も変えて試作を繰り返します。

そこではシャーシダイナモによる測定値も参考にしますが、それにも増して実走によって「気持ちイー!」と感じるか否かを重視しています。その上で、開発スタッフが自信を持って太鼓判を押せる製品を市販化しています。

これは余談ですが、私たちは基本的なエンジンや車体構成がMT-09と同じと言われているXSR900GP用POWERBOX FULLも製品化しています。開発順序としてはMT-09が先でXSR900GPは後となり、MT-09用POWERBOX FULLをXSR900GPに装着することは物理的に可能でした。そのままJMCA試験を受け販売することもできましたが、いったん保留に。

その状態でも十分な性能は出るのですが、XSR900GPが「気持ちイー!」かと言えば、否でした。そこで私たちはXSR900GP用として、見た目はMT-09用とそれほど大きく違いのない、しかし新設計のPOWERBOX FULLを開発しました。

これはメーカーの自己満足だと評されるかもしれませんが、MT-09にはMT-09の、XSR900GPにはXSR900GPの「気持ちイー!」があると思えばこその専用設計であり、マフラーに対する私たちのこだわりであるとご理解いただければ幸いです。

性能はもちろんのこと、マフラーらしいデザインにもこだわったMT-09用POWERBOX FULL。素材はポリッシュ仕上げの超軽量ステンレス製。マフラーパイプの左側に配置された円筒形の膨張室は内部に隔壁などで心地良さと爽快感を両立。またバックステップはBabyFace製を装着。詳細&購入はこちら ●価格:19万6900円(税込) ※適合機種:[2024-]MT-09/SP(8BL-RN87J)

サイレンサーエンドはスラッシュカットタイプ。オレンジ色のステップはBABY FACE製で、干渉することなく同時装着が可能だ。

跳ね石などによるラジエターコアの破損や損傷を防ぎ、ドレスアップ効果もあるラジエターコアガードも発売中。SP忠男のアイコンである目玉マークがアクセントとなっている。●価格:1万8150円(税込)

モータージャーナリストによる「気持ちイー!」MT-09用POWERBOX FULLインプレッション

私たちがこだわって開発したMT-09用POWERBOX FULLは、ノーマルとどう違うのか、何が「気持ちイー!」のか。ここではモータージャーナリストの大屋雄一さんの試乗により、ノーマルマフラーとの比較/POWERBOX FULLの特徴を解説してもらいます。

以下は大屋雄一さんからいただいたコメントです。

「“クロスプレーン・コンセプト”を掲げて2014年4月に発売されたヤマハMT-09。2021年に登場した3代目で水冷4ストローク並列3気筒CP3エンジンの排気量を846ccから888ccへと拡大。最高出力は4psアップの120psとなり、2024年にリリースされた4代目もこれを引き継いでいます。

846cc時代は低~中回転域でのトリプルらしい粒立った鼓動感が印象的でしたが、888ccになってからは良い意味でスムーズになり、この領域を使って一般道を流していると心地良いとすら感じます。

一方で、7000rpmを超えてからの弾けるようなパワーフィールは健在で、電子制御のリフトコントロールをオフにすれば、スロットルワークだけでフロントを持ち上げることはたやすいはずです。低~中回転域でのジェントルさと高回転域でのアグレッシブさ。この二面性こそが最新型MT-09の魅力のひとつと言えるでしょう。

マフラーをSP忠男のPOWERBOX FULL RSステンレスに交換すると、まず気が付くのはサウンドの違いです。純正マフラーは2つの排気口がほぼ真下を向いており、アスファルトから跳ね返った音がライダーの耳に届くため、音圧が適度に和らげられています。

対してSP忠男はマフラーエンドが斜め上に向いているので、サウンドがダイレクトに聞こえます。それでいて音質自体は落ち着きがあるというか、深みのある低音なので、決して耳障りではありません。

もっとも感心するのは発進時の安心感です。排気量が888ccもあるのですから、スロットルをほぼ開けずとも、クラッチワークだけで動き出すことも可能です。しかし、純正マフラーの場合はアイドリングのすぐ上、具体的には1500rpmあたりでクラッチミートしようとすると、なんとなくストールしてしまいそうな雰囲気があります。

これはプリセットされているどのライディングモード(ストリート/スポーツ/レイン)でも変わらないことから、自然と2000~3000rpmあたりでクラッチをつなぐようになっていました。

これに対してSP忠男の方はストールの兆候すらなく、しかもクラッチミートして以降、一般道で多用する4000~5000rpmまでスムーズにトルクがつながるので、流れの速いバイパスからジワジワと進む渋滞路まで、シチュエーションを問わず扱いやすさがアップしています。

高回転域にかけてのフィーリングは、その手前のトルクが増したことでパワーカーブがよりストレートに近付いた印象です。二面性というか、いわゆるケレン味は減りましたが、それと引き換えにライダーがコントロールできる幅が広がったのは間違いありません。

乗り手の感性に馴染む自然な応答性がヤマハハンドリングの真髄ですが、そのエンジン版と言えばイメージしやすいでしょうか。

10000rpm付近まで回した時の澄んだサウンドや、MT-09のスタイリングにマッチしたクールな造型、純正マフラーよりも優れた質感なども含め、これ1本でさまざまなメリットが得られます。4代目MT-09オーナーに自信を持ってお勧めできる逸品です」

大屋さん、ありがとうございました。このMT-09用POWERBOX FULLは、週末に全国各地のバイク用品店で開催している快感体感試乗会ライドオンキャンペーンや、それ以外のタイミングであればSP忠男浅草店の試乗車で実感していただくことが可能です。MT-09オーナーのみなさんはぜひ試乗して、ビッグバイクらしい雄大なエンジン特性を体感してください。

エンジン下に四角い箱を吊り下げたようなノーマルに比べて、丸いパイプがいかにもマフラーらしいPOWERBOX FULL。テールパイプが路面に向かっているノーマルマフラーに対して、スラッシュカットでエンド部分が斜め上向きのため、エキゾーストサウンドにダイレクト感がある。

ノーマルマフラーとの比較によってPOWERBOX FULLの特徴をより明確に導き出した大屋雄一さん。

パイプ構成のマフラーによって、車体下部を軽快に見せることにも成功している。


※本記事はSP忠男が提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。