絶版車を後世に伝える、レッドバロンの取り組み(後編)【本社工場のパーツ“分解〜加修”プロセスを特別公開!】
パーツ“加修”のプロセス:職人技でパーツをリビルド。末永く走るために加修は必須。エコでもある!
パーツ保証を実現するには、部品の確保も重要だが、パーツの“修理&再生技術”も必要だ。本社工場内には、パーツを再生するための部署を設置。レッドバロンの高い技術力と設備の数々によって、破損&劣化した部品でも、修復可能なものは極力再生している。破損した部品をメーカー基準に沿って加修することで、入手困難なパーツをストック化。サスペンション/キャブレター/シートなど、その技術の一端を以下に公開しよう。
ちなみに加修は、ユーザーにとって修理費を安く抑えられるメリットもある。近頃は、車両の一部に破損がある場合、ユニットを丸ごと換える“アッセンブリー”での新品交換が常識。問題ない部分も含めての交換となるため、高額な部品代がかかってしまう。しかし同社の加修技術があれば、一部の修理で済み、コストダウンが可能。さらに環境にも優しい。
なお、パーツ保証における部品は、極力メーカー純正品を使用。同社でも欠品の場合は、互換品や代替品を使う。これも確保できない場合、リサイクルパーツを使用し、ユーザーの要望に近付ける努力をしている。使えるパーツをムダにせず、再利用できる体制。そしてバイクが故障しても修理できる技術を持つこと。どちらもパーツ保証には重要だ。
サスペンションの加修:ダンパー効果を回復
ダンパーが抜けたサスペンションを体感してみた
キャブレターの加修:摩耗する部品を独自に作製
1990年代までのバイクの大半に採用される燃料供給システムが、キャブレター。現行車はポンプで電気的に燃料を噴射するFI(フューエルインジェクション)が主流で、不具合が生じたとしてもキャブレターの調整や修理ができるショップは激減している。
特に、吸入空気量を調整するバタフライバルブは偏摩耗しやすく、すき間ができるとNG車のホーネットのようにエンジン不調の原因になる。しかしながら、一般的に交換用の純正部品は存在しない。そこでレッドバロンはバルブを独自作製。摩耗しやすいアルミに代わり、頑丈な真鍮に置き換えるケースもある。
シートの加修:表皮を張り替え、カスタムもOK
シートは経年劣化などで破れてしまい、水を含んでスポンジがダメになる場合も。レッドバロンでは表皮から製作しており、純正品とほぼ同様の見た目に再生可能だ。表皮を張るのは難しく、職人ワザが光る。また、タックロール加工は高周波溶着機を用いるため、仕上げが美しく、浸水もない。
塗装の加修:キャンディなど複雑な色も再現
レッドバロンでは全国に4つの塗装工場があり、本社工場もその1つ。店舗で販売する中古車向けと、一般ユーザーからの依頼で外装塗装を行う。4輪と違い、2輪は純正色の配合データが公開されていないが、近頃は配合データを分析してくれるAI調色が普及し、精度も高くなった。しかし特定の塗装の再現は苦手。そこで職人が自分の感覚で調色し、純正と同様のカラーを見事に再現している。