絶版車を後世に伝える、レッドバロンの取り組み(後編)【本社工場のパーツ“分解〜加修”プロセスを特別公開!】
レッドバロンの本社工場では、年間3000台ものバイクを分解し、高品質な中古パーツを生み出している。その効率的な稼働の仕組みを紹介しよう!
●文:ヤングマシン編集部(沼尾宏明) ●写真:山内潤也 ●BRAND POST提供:レッドバロン
単純に解体するのではなく、パーツの質もキープする
本社工場に集結した車両は、点検を経て、スピーディに解体される。熟練サービスマンが専用機器を使い、たった50分で1台のバイクをパーツリストに掲載されている状態にまで解体。以前は年間1500台程度だったが、効率化によって年間3000台もの解体が可能になった。
さらに、パーツの分類/検品/クリーニング、そして加修後の厳しい品質チェックを通過し、高品質な中古パーツとして甦る。この膨大なパーツは、パーツ保証のほか、店舗で販売される中古車の整備にも役立っているのだ。
また「パーツ保証」には、それぞれの車種固有のパーツ情報や整備情報が整っていることも重要。年間103万台もの整備実績から収集される情報を40年以上にわたって蓄積し、「US(ユニットサービス)データ」として全店舗に還元している。
レッドバロンの【パーツ保証】とは!?
レッドバロンでは、中古車のパーツ供給を含む修理体制を最長3年間有償で維持する“修理保証”を付帯してきたが、2023年3月から「パーツ保証」に呼称を変更した。なお、万が一“走行機能に影響を及ぼすパーツの供給”が困難になった場合、使用期間に応じた償却分を差し引いた査定金額で買い戻してくれる。これもパーツ保証に自信があるからこそできる仕組みだろう。
パーツ“分解”の流れ:効率よく分解し、76万点の部品を収蔵
1. 全国からバイクが集結
全国各地のレッドバロン店舗から、新旧国内外を問わず、様々なダメージ車/不動車/パーツ単体が輸送されてくる。その数は膨大で、所狭しと解体待ちの車両が。筆者が見たところ、レアな車両やまだまだ走行できそうな車両もあって驚いた。
2. 車両の状態をチェック
修理や再生が必要なパーツと、使用可能なパーツを判別してから解体。エンジンが始動する場合は、全店に設置される“コンピュータ総合診断機ACIDM(アシダム)”も活用される。
3. 解体ラインで分解
各パーツの状態を判別してから解体作業へ。1台あたりの解体時間は、なんと50分。昔ながらの手法で作業した場合、3時間かかるというから、いかに効率的かわかる。エンジンの取り外しも、レッドバロンが独自開発したロボットアームで楽々だ。
4. 検品し、状態を判断
解体された部品は検品場へ。加修が必要な部品は、下記の加修工場に回される。ここで重要なのが、品番の調査。同機種でも年式や色で仕様が異なるので、40年以上にわたって同社が蓄積したパーツ情報を元に、厳重にチェックしている。
5. パーツパレットで出番を待つ
パーツは車種ごとにパレットに保管される。その数は、年式など仕様別でカウントすると、3700車種超。パーツ数は76万点超と膨大だ。ここから1台のバイクが再生できるほどの充実度で、将来は10,000車種を目指すという。25年以上かけて中古パーツの確保に努めた結果、パーツ保証を付帯できる体制が整ったのだ。