カワサキ Ninja ZX-25Rの登場により久しぶりに復活する、250cc直4マシンの歴史を振り返る。スズキが先行しヤマハが追撃する流れの中で、いよいよホンダがCBR250FOURにて登場。カムギアトレーン×アルミフレームといったハイメカを惜しみなく投入し、ライバルに対抗した。その後、フルカウルのCBR250R→CBR250RRへと道が切り拓かれていった。
●文:沼尾宏明/宮田健一 ●写真:真弓悟史 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
'85年11月にヤマハが投入した出色の2ストローク・TZR250によりレプリカブームが到来。これに応え、'86年12月、4ストロークでも他社に先駆けてレーシーなフルカウルを与えたFZR250をリリース[…]
ホンダの意地でハイメカを250ccに投入
スズキが先鞭を付けた市販250cc直4クラスは、続いてヤマハがFZ250フェーザーを発売。バイク雑誌の誌面は、250=1000の4分の1を示す「クォーター」と4気筒を意味する「マルチ」が合わさった「クォーターマルチ大研究!」的なタイトルの企画で飾られるようになっていった。
そもそもレーサーながら世界初の250直4を作ったのはホンダ。その自負もあってか、クラス3番手として投入されたCBR250FOURの直4は、ライバルにない技術を引っさげて登場した。それがワークスレーサー直系メカ「カムギアトレーン」だ。
チェーンの代わりにカムシャフトをギヤで駆動することにより、高回転時のより正確なバルブ作動と摩擦抵抗の低減を狙ったこの技術は、クロモリ浸炭コンロッドなどで軽量化が追求された往復運動部品や、キャブから燃焼室までの吸気経路をほぼ一直線とした設計などと合わせて、高回転まで鋭いレスポンスで吹け上がるスポーツ性の高さを発揮した。
CBR250FOURは、ハーフカウルのスーパースポーツスタイルで登場したが、レプリカブームの影響ですぐにフルカウルに変更。そして丸目2眼のレプリカスタイルのCBR250R→CBR250RRへと変わっていく。その直4エンジンはジェイドやホーネットにも受け継がれ、’07で排ガス規制のあおりを受ける最後まで、250直4の灯火を守り続けたのだ。
CBR250FOUR:カムギアトレーン×アルミフレーム投入でFZ追撃
’86 CBR250FOUR:エアロフォルムのハーフカウルにヤマハを超えるメカを凝縮
ヤマハに先を越されたことで意地を見せたホンダは、カムギアトレーンを採用した直4で逆襲。CBR250FOURは、ヤマハFZ250フェーザーよりも1000rpm上まで回る1万7000rpmをレッドゾーンに設定。車体もアルミ製の目の字断面ツインチューブ・ダイヤモンドフレームや、新設計のS字断面アルミキャストホイール、極太スイングアームといった装備が奢られた。カムギアトレーン独特の高周波音は、直4のそれと相まってモーターのように精密な印象を与えた。
’86 CBR250FOURスペシャルエディション
鳴り物入りで登場したCBR250FOURだったが、時代はレプリカスタイルが人気に。すぐにアンダーカウルを追加したスペシャルエディションも登場した。
CBR250Rシリーズ:重要なのは見た目とハイメカだった
’87 CBR250Rハリケーン:フルカウルで大ヒット
初代CBR250FOURはセールス的に今ひとつだったが、翌年には市場が求めていたフルカウルとトリプルディスク、セパレートシートで、車名も「CBR250R」に変更。これが大ヒットし、この後4スト250もレプリカ化がどんどん進んでいった。
’88 CBR250R: シングルディスクで不人気に
’87でレッドゾーン+1000rpmも果たしていたが、さらに3年めでは丸目2眼の文字通りレプリカスタイルへと毎年でモデルチェンジ。ただ、なぜかフロントブレーキがシングルに戻ってしまい、そこがファンを泣かせることになってしまった。
カムギアトレーン×アルミフレームというハイメカを積んだCBR250FOURで250cc直4クラスに乗り込んだホンダ。さらなるダメ押しの一手・CBR250RRへと進化を続ける。
250レプリカが4スト2スト問わず絶頂期に到達しようとしていた'90に、CBRはフルチェンジしてついに「CBR250RR」へと進化。エンジンはさらなる高回転化に成功し、レッドゾーンは1万9000rpm[…]
関連するアーカイブ
あなたにおすすめの関連記事
ライバルを打倒すべく、ツイン勢では最後発の'17年に国内投入された刺客「CBR250RR」。以降、他車がモデルチェンジするも、性能面では未だに追随を許さない。開発テーマはCBR1000RRと同じ「トー[…]
現行250ccスポーツのエンジンは2気筒が主流だ。十分に速くて楽しく、街乗りからサーキットまで万能性も高い。しかし、“20000”もの数字をタコメーターに刻み、つんざくような高周波サウンドでライダーを[…]
直列4気筒ニーゴーの名機が続々と生み出された'80〜'90年代をプレイバック。「レッドゾーンは何回転だったのか」がわかる機種紹介をカテゴリー別に特集していこう。第1回は本気系のエポックメイキングだった[…]
直列4気筒ニーゴーの名機が続々と生み出された'80〜'90年代をプレイバック。「レッドゾーンは何回転だったのか」がわかる機種紹介をカテゴリー別に特集していこう。第2回は、4気筒が一般化していく中で万能[…]
「普通2輪免許を取って、念願のバイクを手にしたい」そんなエントリーユーザーの憧れに一番近いのがニーゴースポーツ。普段使いメインか、ツーリングメインか、はたまたサーキット一筋でバリバリか。それぞれフルカ[…]
最新の記事
- 1
- 2