新型ZX-25Rが出るまで待てない!

250cc4気筒の実力再検証:ZXR250 vs Ninja400比較サーキットテスト

いま二輪業界をザワつかせているニューモデルと言えば、’19東京モーターショーで初公開されたカワサキ Ninja ZX-25Rだ。4気筒エンジンをクォータークラスに復活させることになるそれは、世界中から熱い視線を集め、ファンの期待は盛り上がるばかり。ガマンしきれなくなった我々は、まずはオリジナルを体感するため、かつての名車ZXR250で全開テストを行ってみた。


●文:伊丹孝裕 ●写真:真弓悟史 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

本誌メインテスター・丸山浩氏(左)とジャーナリスト・伊丹孝裕氏(右)が実走を担当。今回のZXR250はこの日のために丸山氏自らが用意してきた程度極上車である。

’80年代後半から’90年代初頭に全盛を誇ったクォーター4気筒とは一体どんなマシンだったのか? それをあらためて体感するために袖ケ浦フォレストレースウェイに持ち込んだのが、’90年型のカワサキZXR250である。 

【’90 KAWASAKI ZXR250】クラス最後発ながら1万9000回転から始まるレッドゾーンや倒立フォークといった先進性を武器にヒット。クロスミッションと大径キャブを装備したSP仕様も存在した。 ■水冷並列4気筒DOHC4バルブ 249cc 45ps/15000rpm 2.6kg-m/11500rpm 144kg(乾) ■タイヤF=110/70R17 R=140/60R18

カワサキを選んだのは、デビューまでのカウントダウンが始まったZX-25Rを見据えてのこと。その源流とも呼べるマシンを体感することで、新時代のクォーター4気筒のポテンシャルを図ろうという企画だ。 

とはいえ、単に走らせるのも芸がない。そこでエンジンは2気筒ながら排気量は150ccも大きいNinja400を仮想ライバルとして用意し、それぞれのラップタイムを計測した。

【’20 KAWASAKI Ninja400】初代は650の車体に400ccのエンジンを搭載していたが、現行は250のコンパクトな車体がベース。それによって得られた劇的な軽量化と高い運動性がポイントだ。 ■水冷並列2気筒DOHC4バルブ 398cc 48ps/10000rpm 3.9kg-m/8000rpm 167kg(装備) ■タイヤF=110/70R17 R=150/60R17

ヨンヒャク忍者に肉薄するラップタイム

今回のテストトラックは、都心からのアクセスが良好な美しいサーキット・袖ヶ浦フォレストレースウェイ。大小様々なコーナーが組み合わせられたテクニカルコースで、250はもちろんリッタースーパースポーツでも存分に楽しむことができる。ビギナーでも気後れすることのないアットホームな雰囲気も魅力だ。●千葉県袖ヶ浦市林348-1 TEL:0438-60-5270

【注目すべきはボトムスピード】250の車体に400のエンジンをぶっ込んだニンジャ400はさすがの速さを発揮。ただし、’91年型の250もそれほど遜色なく、コーナーへの飛び込みと旋回スピードでパワーのハンデをカバー。その時に発するサウンドは、パドックの人々が「いったい何が走ってるんだ?」と二度見するほど官能的なものだった。

速い遅いで言えば、パワーもトルクも勝るNinja400がZXR250を上回った格好ながら、30年近く前のマシンが最新の格上クラスにコンマ9秒差に詰め寄ってみせたわけだ。

特に凄みを感じさせるのがグラフで示した速度比較で、ZXR250(赤線)のトップスピードはどの区間でもニンジャ400を下回っているにもかかわらず、旋回中のボトムスピードは圧勝。コーナリングに特化していることがわかる。

「スロットル開け始めの区間はパワーとトルクの差がそのまま出るからNinja400が速い。でもおもしろいのは間違いなくZXR250でしょう。なにせ音がいいから気分が盛り上がるし、コーナリングスピードで格上マシンに迫れるのが醍醐味。タイムを狙うにはミスもロスもないように緻密に組み立てていく必要があるんだけど、そこがレーシングマシン的ですごく充実感がある。フレームやサスペンションのクオリティもそれに見合うもので、開発コストがしっかりかけられていることがよくわかるね」と丸山氏。

一方の伊丹氏も「Ninja400は楽に走れるけれど、満足度が高いのはZXR250。こんなに開けっ放しで乗れるマシンは他になく、非日常的な回転域を使っているのに恐怖感がないところがすごくいい。たいして速くないからと言えばそれまでだけど(笑)、タイム争いじゃなくてスポーツを堪能するならベストな1台だと思う」と語った。

ダンロップ スポーツマックスα14

【30年前の車両に最新兵器を投入】安全のため、タイヤだけは最新のラジアルタイヤに換装されている。ヒジ擦りも余裕でこなす高いグリップと軽快なハンドリングを両立するダンロップのスポーツマックスα-14をチョイス。フロント16インチからリヤ18インチまで揃う豊富なサイズが魅力だ。

ラップタイムや区間スピードの計測には、超小型GPSロガーのデジスパイス3を使用した。車体に貼付するだけで加減速の様子がきめ細やかに比較できるため、それぞれのマシンの特徴が手に取るようにわかる。

250cc4気筒の実力再検証する本特集、次ページではZXR250とNinja400の0-1000m全開加速テストの結果をお届けする。

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