YZF-R9/MT-09ベース発電機/新トリシティ125etc。ヤマハ関連注目ニューストピック【2025年5月版】

YZF-R9/MT-09ベース発電機/新トリシティ125etc。ヤマハ関連注目ニューストピック【2025年5月版】

世界で生産されるバイクの1割弱を生産し、国内ではホンダに次ぐバイクメーカーとして認知されているヤマハ。そんな同社について、2025年5月はどんなニュースがあったのだろうか。ヤングマシンの記事から厳選して注目トピックをお伝えする。やはりバイクは趣味の世界が大切か!?


●文:ヤングマシン編集部

ヤマハ「YZF-R9」日本価格は140万円台前半か

ヤマハの新型スーパースポーツ「YZF-R9」の日本国内導入が2025年春以降と案内されており、正式発表への期待が高まっている。とくに注目したいのは価格で、台湾で発表された導入価格が兄弟モデルであるMT-09 Y-AMTとほぼ同価格帯だったことが明らかになった。

この価格比を参考にすると、日本仕様のYZF-R9は約138万8000円程度になる可能性がある。ヤマハの関係筋からも「アフォーダブル(お手頃)は意識した」との発言があり、150万円を切る価格帯での登場が期待される。

YZF-R9はMT-09ベースの890cc並列3気筒エンジンを搭載し、最高出力は120psでYZF-R6と同等ながら、軽量な車体と先進のエアロダイナミクスにより高い戦闘力を持つ。すでにワールドスーパースポーツ選手権では活躍しており、ブレンボ製キャリパーや豊富な電子制御も備える。

MTシリーズのナイトミーティング「MT夜会」開催

ヤマハが主催するMTシリーズのイベント「The Dark side of Japan Night Meeting 2025」が、東京・お台場エリアのシティサーキット東京ベイで開催された。通称「MT夜会」と呼ばれるこのイベントは今年で2回目。最大の特徴は18時から21時という夜間開催にある。

MTシリーズのキャッチコピーである「The Dark side of Japan」の世界観を表現した企画だ。開催時間が夜であることやアクセスが良いことから気軽に参加しやすく、微妙な天気にもかかわらず前年並みの約650名が来場した。

イベント恒例のコンテンツは少なく、限定グッズ販売やプロジェクションマッピング、カスタム車の展示が行われた。参加者に20~30代の若年層が多い点も特徴で、夜のお台場という非日常的な空間で「同じMT乗りが集まる」雰囲気を楽しんだ様子だ。

人とくるまのテクノロジー展2025に出展

ヤマハは、「人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA」に出展し、同社の技術ビジョン「楽しさの追求と社会課題の解決で、みんなの未来を創る」に基づいた技術展示を行うことを発表した。

出展内容には、自動車メーカーへの供給を目指し開発中の自動車用電動駆動ユニット「e-Axle」が含まれていた。これはモーター、インバーター、ギアボックスを一体化した、高出力・軽量・コンパクトなユニットだ。

また、ハイブリッド航空機や電動船舶用の高出力4連結電動モーターも展示された。二輪車向け技術としては、電子制御CVT「YECVT」や、電子制御シフト機構「Y-AMT」を紹介。これらの技術は、二輪車の走行体験を広げるとともに、快適性や利便性を提供することを目指しているという。ヤマハは「人機官能」の開発思想のもと、これらの技術を通じて新価値創造に取り組むとしていた。

ヤマハ「トレーサー7/GT」欧州でモデルチェンジ

ヤマハは、欧州向けアドベンチャークロスオーバー「TRACER 7」および「TRACER 7 GT」の2025年モデルを発表し、多岐にわたる変更を実施。デザインの一新に加え、エルゴノミクスの見直しや足まわりの強化が図られた。

エンジンは最新のMT-07ベースで、新たに電子制御スロットル(電スロ)を採用し、3段階のライディングモードやトラクションコントロールを備えるYRC(ヤマハライドコントロール)を搭載した。

また、クルーズコントロールも新採用された。足まわりでは、フロントにφ41mm倒立フォークとラジアルマウントキャリパーを採用し、ロードホールディングとコントロール性を高めた。

メーターは5インチTFTフルカラーディスプレイとなり、スマートフォン連携でナビ表示などが可能だ。ツーリング向けのGTモデルは大型スクリーンやグリップヒーターなどを標準装備する。

ヤマハ「トリシティ125」欧州でマイナーチェンジ

ヤマハは、前2輪/後1輪のリーニングマルチホイールスクーター「トリシティ125」の2025年モデルを欧州で発表した。今回のマイナーチェンジでは、アッカーマンジオメトリによる自然なハンドリングはそのままに、外装デザインが大きく刷新された。

スタック型LEDヘッドライトや埋め込み式LEDウインカーなどが採用され、新しいフロントマスクとなり、より洗練された印象となった。機能面では、ナビ表示が可能な5インチTFTメーターが新採用された点が大きな進化だ。

スマートフォンをBluetooth接続することで、ナビゲーションやメッセージ表示、音楽再生などが可能となる。また、アイドリングストップ機能やUSBタイプC電源ソケットを備えるなど、日常での利便性も向上している。従来通りユニファイドブレーキ(UBS)やスマートキーを採用し、エンジンはユーロ5+に準拠した。

ヤマハ発動機設楽社長、日本市場を「趣味の世界」と定義

ヤマハの設楽元文社長は、日本市場が年間販売台数40万台を割り込み、もはや二輪は移動手段ではなく「完全に趣味の世界」になっているとの認識を示した。この趣味の世界を日本の文化として定着させるため、ライダーだけでなくその周囲の環境整備が重要だと述べた。

設楽社長は、かつて10万人以上が集まった鈴鹿8時間耐久レースの熱狂を再び起こしたいとの意欲を示し、今年はファクトリー体制で参戦することを明らかにした。

また、カーボンニュートラルへの対応として、バイオエタノールなどの燃料変更により内燃機関を維持できる可能性は相当高いとの見解を示し、二輪の楽しみのために内燃機関を残すべきだと語った。

さらに自工会委員長として、二輪車の任意保険加入率向上や事故低減、マナー向上にも取り組む姿勢を見せた。ヤマハのものづくりについては、人の琴線に触れるような「感動創造」が重要であると強調した。

MT-09ベースの発電機搭載ハイブリッド無人機を共同研究

ヤマハと三菱重工業は、200kgの貨物を搭載可能な中型マルチコプター型無人機の開発に向けた共同研究を行っていることを発表した。この共同研究では、ヤマハが2023年に発表したコンセプトモデル「αlive RX」をベースとした小型軽量発電ユニットをハイブリッドタイプの中型無人機に搭載し、航続距離の大幅な延長を目指している。

αlive RXはMT-09の3気筒エンジンに類似するが、トランスミッションの代わりにモーターを内蔵するレンジエクステンダーだ。ハイブリッドシステムはエンジンで発電し、電動モーターで各ローターを回転させる方式を採用している。

4月中旬には三菱重工業の研究施設内で飛行試験が行われ、初浮上に成功したという。本研究の試作機は、6月に開催される「Japan Drone 2025」の三菱重工業ブースにて展示される予定だ。物流や災害対応など、多様な分野での活用が期待される高性能無人機の開発を加速させるものとして注目されている。

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