
前回の装備編に続いて、エンジンとシャーシを解説。基本パッケージはCB1000ホーネットのSTD仕様に準じるが、これまた意外と細部は変わっている。シートレールが専用なのは確定。さらに出力特性とサスペンション設定が変更される可能性も!
●文:沼尾宏明(ヤングマシン編集部) ●写真:真弓悟史
エンジンはホーネットより低速寄り?!
152psを発生するスーパースポーツ譲りの直列4気筒+鋼管ダイヤモンドフレームというホーネットの基本構成を受け継ぐCB1000Fコンセプト。エンジンの詳細は不明だが、その出力特性は専用化される可能性が高そうだ。
ホーネットはストリートファイターらしくビュンビュン軽く吹け上がる過激な特性を持つのに対し、CB1000Fコンセプトは日常域での扱いやすい特性を狙っているという。そのため、元祖エフを思わせるメガホンサイレンサーと合わせ、FIのマップ変更などでキャラクターに合致した特性を造り込んでいるのでは…と編集部では睨んでいる。
【SS譲りの強心臓をさらに調教?】ホーネットは、最終型CBR1000RRの直4エンジンを搭載。軽量ピストンやエアクリーナーボックスなどを新設計して公道向けのキャラに調教したが、高回転域がパワフルで、素性は実にスポーティーだ。CB1000Fもこの心臓部がベースだが、よりストリート向けに低中速を重視した出力特性になる可能性がありそうだ。
【エフらしいメガホンサイレンサーは極太】4in2in1の集合方式やエキゾーストパイプはホーネットと同様だが、メッキ仕上げで極太の真円メガホンサイレンサーは独自設計。前後タイヤはBSのS22だ。
【ラジエターホースはシリンダー横回し】ラジエターホースの取り回しがホーネットと違う。ホーネットは上からタンク側へ目立たないよう配置されるのに対し、CB1000Fコンセプト(写真)は下からシリンダー横を通る。スペースやデザイン上の理由だろうか。
【ドリブンスプロケットは不変】ドリブンスプロケットは45T、ドライブチェーンのサイズは525でホーネットと同じ。ベース車は二次減速比が3.0と高く加速型だが、どうなる?
ホーネットSPは排気バルブでモリモリ
ホーネットSPはマフラー内部に可変排気バルブ(黄矢印)を配置。エンジン回転数に応じて制御することで158psと力強い低速トルクを実現した。CB1000Fは排気バルブなしだ。
シートレールの角度変更+曲げでロングテール化
フレームに関しては、シートレールが専用。カチ上げ&ショートテールのホーネットより角度を抑えて後方に延長し、エフらしい落ち着いたフォルムに貢献している。
ホーネットは、鋼管ダイヤモンドフレームにトレリス構造のシートレールを溶接。CB1000Fではこれを基盤にシートレールの角度を変えて曲げを加えつつ、後方へ延長しているようだ。なおZ900RSもシートレールに手を加えて、ベース車のZ900からスタイルを変更している。
【ホーネットフレームは完成度高し】CB1000ホーネットの鋼管ダイヤモンドフレーム(左)は高剛性としなやかさを兼ね備えるツインスパー形状を採用。軽量化を図りつつ、シートレール構造やエンジンハンガーなどで全体の剛性を最適化。高出力を支えつつ、俊敏で軽快なハンドリングに寄与している。
【安心のショーワSFF-BP】インナー径φ41mmのショーワ製SFF-BP倒立フォークを採用。フリクションが少なく、軽量な定番フォークだ。ホーネットのSTDと同様のアイテムだが、アウターを銀→ブラックとして引き締めた。
ショーワ製の前後サスペンションとニッシン製ブレーキキャリパーなどの足まわりも、基本的にホーネットのSTDと同じ。ただし、リヤサスペンションのリンク形状が変更されているのが確認できた。ホーネットよりニュートラルで穏やかなサスセッティングに変更されている可能性があるだろう。
気の早い話だが、市販された暁には、ホーネットのようにオーリンズリヤサス&ブレンボキャリパーとクイックシフターが標準のSP仕様もぜひ発売してほしい。ただしホーネットSPのような排気バルブは、マシンの性格からナシかもしれない。足まわりなら丸ごと換装するだけなのでスグ出せますよね、ホンダさん!
フロントにニッシン製の対向4ポッドラジアルマウントキャリパーを採用。ディスク径は不明だが、ホーネットと同じφ310mmだろう。
GDC(重力鋳造)製法で剛性バランスと軽さを両立したホーネット譲りのアルミスイングアーム。これにイニシャルと伸び減衰が調整可能なリヤサスと、ニッシン製の1ポッドキャリパーを組み合わせる。
【チェーンアジャスターがシンプル!】よく見るとチェーンアジャスターの形状が違う。ホーネットは両端が広がった形状なのに対し、CB1000Fはシンプルな角型だ。加えて後方へのチェーンの調整代も延長されている。
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