
52回目となった東京モーターサイクルショーは、前年比4%増しの集客という大盛況のうちに幕を閉じました。車両メーカーはもとより、パーツ&アクセサリー、あるいはバイクに関連した団体やサーキットなどの施設によるプレゼンテーションはいずれもバイク好きの胸をときめかせてくれたものです。そんな胸アツな展示の筆頭といえば、バイカー大好き「ヨシムラ」ブースにほかなりません。油冷のGSX-R750コンプリートマシンの復刻など、大ニュースも飛び込んできました。おもな展示内容と合わせてお伝えしましょう。
●文:ヤングマシン編集部(石橋 寛) ●写真:石橋 寛/真弓悟史
現代によみがえった”604号車”コンプリートマシン
出展社は180社、車両は584台が展示されるなど、大盛り上がりだった第52回東京モーターサイクルショー。ここで紹介するのは、ヨシムラブースについてです。
ブースのセンターを飾ったのは、ブラックとレッドのヨシムラカラーに身を包んだGSX-R750でした。
マニアにはお馴染みの1986年、AMAスーパーバイクに参戦したゼッケン604号車そのものかと思いきや、キャブやマフラーといったディテールを見ればオリジンではないことが分かりました。
これこそ、ヨシムラが現代によみがえらせた「ヨシムラGSX-R750#604コンプリートマシン」です。
ヨシムラワークスのマシンを自ら忠実に再現しただけでなく、現代のパーツをふんだんに取り入れて信頼性の高いものに仕上げている。中古のGSX-R750をベースとするため、何台コンプリートできるかは不明ながら、マニアには見逃せないマシンに違いない。
市場に出回る台数は多くても数台程度か
単なる復刻、レプリカマシンの製造にとどまらず、”ロードゴーイングレーサー”としての本質を追求するべく、程度のいい中古車をベースとして新たに組み上げられた1台。
マフラーやキャブ、あるいは細かなエンジンパーツ(およそ30品目以上)に至るまでヨシムラの製品が組み込まれたほか、程度に応じて純正互換パーツへと換装。むろん、ヨシムラの中でも熟練のメカニックが組み上げるなど、通常のレストアとはまったく違う仕上がりとなっているのです。
また、驚くべきはその販売方法で、最低金額604万円からのオークション方式が取り入れられているのです。
関係筋によれば「何台作れるかは、ベース車両の数にもよる」とされ、多くても数台程度と思われます。
「スタンダード車両とは一線を画すハイパフォーマンスを誇りながらも、長く、安心して乗り続けられる仕上がり」という魅力はもちろん、伝説的なマシンとしてのプレミアは想像すらできません。
当時のライダー、辻本 聡氏も太鼓判を押すヨシムラGSX-R750#604コンプリートマシンに、ぜひご期待ください。
当時の604号車を走らせたのが、レジェンドライダー辻本 聡さん。ブースでのトークショーにも登壇し、当時の思い出や新たなコンプリートマシンへの熱い想いを語っていた。
特別に仕立てたZ1+復刻プロジェクトのパーツ展示も
そのほか、絶版車マニアからは垂涎の的となるカワサキZ1(フェーズ1)もサイクロンマフラーやTMRキャブなどがチョイスされたヨシムラのコンプリートマシンとして展示され、その存在感に圧倒された方も多いはず。
一般的なパーツカタログで見るより、実車に装着されているのをチェックする方が、よりイメージもわきやすいもの。Zのまわりは終始人だかりが途絶えることがありませんでした。
旧車の仕上げ方もそれぞれ好みがあるものだが、展示されたZ1のようにヨシムラのコンプリートを目指すというのもまとまりがよさそうだ。むろん、ZをオマージュしたZ900RSでも同じことが言え、カワサキファンには参考となったに違いない。
Zが装着していたのは、今回のサイクルショーで発表された新製品”フルエキゾースト ストレートチタンサイクロン 4-2-1″。対応年式はZ1の1972/1973/1974/1975年。
ヨシムラ SERT Motul GSX-R1000Rの実車を展示
また、EWC2024でシリーズチャンピオンを獲得したヨシムラSERT Motulのスズキ・GSX-R1000Rの実車展示にも胸を熱くされたことでしょう。
なにしろ、ル・マンとボルドールという、ある意味で頂点ともいえるレースを制覇しているマシンです。
ル・マンとボルドールという2大24時間レースを制したヨシムラSERT Motulのスズキ・GSX-R1000R。リアルなレーサーならではの迫力と緻密さが垣間見え、ヨシムラの巧みな仕事ぶりが理解できただろう。
ハンターカブも”ヨシムラ流”になると…
続いては、ヨシムラのパーツを多数装着したホンダCT125。とかく、レーシーなパーツがコアにあると思われがちな同社ですが、パフォーマンスアップは小排気量マシンこそ有益なもの。
CT125専用のGP-MAGNUMサイクロンマフラーは「アクセル開け始めから豊かなトルクを発揮。中低速ではゆとりある走行フィールを実現しながら高回転までスポーティーなライディングに貢献」するだけでなく、スタイリングのスパイスにも役立つ逸品です。
アルミ製エンジンカバーや、メーターバイザーによる引き締まったスタイリングも見逃せないポイント!
ホンダCT125も人気のバイクだが、ヨシムラの手にかかれば、この通りひと味違ったスタイルに仕上がる。クラシカルな丸エンドのマフラーや、エンジンカバーなどパフォーマンスだけでなく、バイクのテイストさえ濃くなった印象だ。
KATANA用の新型ステアリングステムにも注目
そして、さりげなく展示されていたKATANA用の新型ステアリングステムにもご注目。
軽量&高剛性なことはもちろん、ハンドルポジションの改善、すなわちよりレーシーでコントローラブルなライディングを実現する優れモノです。
実際、ブースでまたがった方々は「いい感じ!」と、口をそろえていた次第。KATANAユーザーはチェックしてみることオススメです。
KATANA向けの新製品がこちらのステアリングステムで、ノーマルポジションよりも自由度が増し、より快適&スポーティーなハンドリングが楽しめるという。発売予定だが、価格は未定。
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