
勢いを増すホンダ原付二種ラインナップ、“カブ系”と呼ばれる中でも一番人気のCT125・ハンターカブは、2024年12月12日発売モデルで初の価格改定を受けた。ここで改めて注目したいのは、似て非なるクロスカブ110だ。コスパや使い勝手で勝るのはどちらなのか?
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:ホンダ
CT125ハンターカブ[47万3000円] vs クロスカブ110[36万3000円/くまモン=37万4000円]
原付二種(51~125cc)クラスの販売台数でPCXとトップ争いを繰り広げるCT125ハンターカブは、相変わらず人気が落ちる気配はない。2022年モデルの新型エンジン搭載時にはコロナ禍による配車遅れもあったがすでに解消しており、2024年12月12日には一部仕様を変更した新型モデルが発売された。この際に初の価格改定も行われている(44万円→47万3000円)。
同じカブ系の派生オフロードタイプと言えるクロスカブ110は2022年4月にモデルチェンジを受け、令和2年排出ガス規制に適合した新型エンジンを搭載。ABSの採用にともなうフロントブレーキのディスク化、そして前後キャストホイール+チューブレスタイヤの装着といった変更も受けた。最新モデルの発売は2023年12月14日で、このときニューカラーが価格据え置きで登場している。
クロスカブ110は、スーパーカブ110をベースにオフロードテイストの外装を与え、フレームマウントのLEDヘッドライトを装着。初代クロスカブが採用していたレッグシールドは2代目で取り外され、スーパーカブ系とはデザイン的にもかなり独立した存在になっている。また、前後タイヤはスーパーカブ比でひと回り太く、サスペンションストロークも長めに取られている。
CT125ハンターカブとクロスカブ110を見比べると、カブ系オフロードタイプとひとくくりにはできない違いがある。すぐに目につくのは、アップ/ダウンマフラーやスポーク/キャストホイールといった違いだが、細かく見ていくとかなり異なるマシン造りになっていることがわかる。
もっとも大きな違いはフロントまわりだ。クロスカブはアンダーブラケットのみでフロントフォークを保持するユニットステアであるのに対し、ハンターカブはアッパーブラケットを持つ、いわゆるモーターサイクルタイプのフロントフォークを持っている。これによってハンターカブはフロントまわりの剛性が高く、サスペンションのキャパシティや最低地上高が許す範囲であれば、けっこうハードな走りでもネを上げることはない。
また、ハンターカブはエンジンに沿うように取りまわされたガードパイプやエンジンアンダーガードも装備しており、素のままの状態でもオフロード環境に対応できる。一方、クロスカブはこれらを装備しておらず、オフロードを走る場合にはグラウンドヒットなども想定して追加購入したくなるところだ。
ハンターカブは大型リヤキャリアを装備するのに対し、クロスカブはひと回りコンパクト。よりヘビーデューティなハンターカブに対し、必要な装備を整えつつもライトに仕上げたクロスカブ110という対比になるだろうか。
CT125ハンターカブ
クロスカブ 110
以前のモデルでは価格差7万7000円だったが、ハンターカブの2025年モデル登場によって価格差は11万円に。物価上昇の流れからすれば仕方ないところだが、ハンターカブの前後ディスクブレーキ+ABSに対して、クロスカブ110もフロントディスクブレーキ+ABS(リヤはドラム)などを装備し、次の価格改定があればまた差も少なくなることだろう。
ハンターカブにはない「くまモンバージョン」は標準モデルから+1万1000円だ。
アドベンチャー色の強いハンターカブと、舗装路中心のオールラウンダー・クロスカブ110
エンジンに関しては、CT125ハンターカブ、クロスカブ110ともに最新排出ガス規制に適合した新型に切り替わっている。スーパーカブC125などと共通のストローク63.1mmを持つロングストローク設定の空冷単気筒で、排気量は124cc/109ccの排気量の違いはシリンダー径によるもの。フィーリングは似通っているが、意外な元気の良さを見せるのはクロスカブ110だ。
ハンターカブのエンジンは旧エンジンの弾け感がやや薄まり、車体剛性は相変わらず高いもののトコトコ走りも得意。最高出力はクロスカブ110よりも1.1ps高い。
一方、クロスカブ110はわずかながら振動が少なく、フルルル~という感じで回転が上昇していく。旧型に比べるとやや燃調の薄さゆえかややドライな回転感覚だが、長めのサスストロークによって車体全体のリズム感がゆったりしているため、スーパーカブ110よりも牧歌的で、昔ながらのいわゆる“カブみ”は現行のカブ系でもっとも強く残っていると言っていい。
いずれも回して走ってもトコトコ走りでも気持ちいいわけだが、高回転まで使い切ろうとしたときの伸び感はクロスカブ110のほうが勝り、なんなら発進からヨーイドンで競争すると最高出力の違いが気にならない、ほぼ互角の加速を見せる。
CT125ハンターカブ(赤)とクロスカブ110(青)の大きさを比較してみると、かなり接近していることがわかる。クロスカブ110は新エンジンに切り替わった際、最低地上高が6mm上がって163mmになったものひそかなポイント。
高めの速度で路面のギャップを拾った際には、高い車体剛性でクリアしていく感じのハンターカブに対し、ソフトにいなすのがクロスカブ110。この剛と柔の対比は、さまざまなシチュエーションでそれぞれのキャラクターを際立たせるだろう。もう少し細かくいえば、スポークホイール自体に吸収性があり、しっかりしたサスペンションと車体の全体が調和して駆け抜けるハンターカブに対し、軽くシャープなキャストホイール+チューブレスタイヤの挙動を、長めのストロークで吸収するサスペンションの組み合わせでおおらかな感じを出しているクロスカブ110、といったところだろうか。
ちなみに、いずれも自動遠心クラッチの繋がりの際(キワ)がよくチューニングされていて、発進やギヤチェンジで“ちょうどいい”フィーリングになっている。
さて、この2車をコスパで比較した場合はどうか。しっかりした車体に各種装備も充実したハンターカブは47万3000円も妥当なセンだろう。一方のクロスカブ110は、周囲の価格が上がってきていることから、以前よりもお買い得感が強まっているかもしれない。意外なほどよく走るエンジンと、ハンターカブにはないチューブレスタイヤを装備するのもロングツーリング派にはありがたい。いずれも甲乙つけがたいので、どちらかを選ぶ際には自分の用途に合っているか、けっこう本気で比較したくなってしまう。
CT125ハンターカブとクロスカブ110のスペックを比較
| 車名 | CT125ハンターカブ | クロスカブ110 | 
| 全長×全幅×全高 | 1965×805×1085mm | 1935×795×1110mm | 
| 軸距 | 1260mm | 1230mm | 
| 最低地上高 | 165mm | 163mm | 
| シート高 | 800mm | 784mm | 
| キャスター/トレール | 27度/80mm | 27度/78mm | 
| 装備重量 | 118kg | 107kg | 
| エンジン型式 | 空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ | ← | 
| 総排気量 | 124cc | 109cc | 
| 内径×行程 | 50.0×63.1mm | 47.0×63.1mm | 
| 圧縮比 | 10.0:1 | 10.0:1 | 
| 最高出力 | 9.1ps/6250rpm | 8.0ps/7500rpm | 
| 最大トルク | 1.1kg-m/4750rpm | 0.90kg-m/5500rpm | 
| 始動方式 | セルフ式(キック併設) | ← | 
| 変速機 | 4段リターン | ← | 
| 燃料タンク容量 | 5.3L | 4.1L | 
| タイヤサイズ前 | 80/90-17 | ← | 
| タイヤサイズ後 | 80/90-17 | ← | 
| ブレーキ前 | 油圧式ディスク(ABS) | ← | 
| ブレーキ後 | 油圧式ディスク | 機械式ドラム | 
| 価格 | 47万3000円 | 36万3000円~ | 
| 車体色 | 赤、ベージュ、灰 | 青、緑、灰、くまモン | 
| 発売日 | 2024年12月12日 | 2023年12月14日 | 
HONDA CT125 HUNTER CUB[2025 model]
CT125 HUNTER CUB[2025 model]グローイングレッド
CT125 HUNTER CUB[2025 model]パールシュガーケーンベージュ
CT125 HUNTER CUB[2025 model]パールスモーキーグレー
HONDA CROSS CUB 110[2024 model]
CROSS CUB 110[2024 model]マットジーンズブルーメタリック
CROSS CUB 110[2024 model]マットアーマードグリーンメタリック
CROSS CUB 110[2024 model]パールディープマッドグレー
CROSS CUB 110[2024 model]グラファイトブラック(くまモン バージョン)
CT125ハンターカブ&クロスカブ110 ディテール比較
前端が絞り込まれた三角形のシートと大型リヤキャリアを装備。そのキャリアに繋がるハイマウント吸気ダクトによって水深50cm程度あっても渡河できる(よい子は真似しないように)。
シートを装備するのはライダー側のみで、後ろには小ぶりだがしっかりしたキャリアを備える。タンデムするにはシートクッションの追加が望ましい。シートを開けるとシンプルに燃料タンクが現れる。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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