
いわゆるアースカラーのカーキ色をまとい、カワサキプラザで専売されるエリミネーター プラザエディションに試乗した。400ccのベストセラーはなぜこれほど売れているのだろうか?
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:カワサキモータースジャパン
様々な使い方や乗り方に応える懐の深さが魅力
2024年上半期、400ccクラスの販売台数でGB350をしのぎトップに躍り出たのがエリミネーターだ。それどころか、大型バイクを含めた車検付クラスでもZ900RSにダブルスコアでトップという快挙。その強さの秘密に改めて迫ってみたい。
試乗したのは、2024年3月に追加発売されたプラザエディション。前後カメラ付きドライブレコーダーなど、上級仕様・エリミネーターSE並みの装備とSTDのスタイリングを持つのが特徴だ。
端的に言うなら、コイツの強みは『無敵の汎用性』だろうか。低回転では扱いやすく高回転域では元気のいいレスポンスを見せる2気筒エンジン、低めのシート高、ビッグネイキッドのような扱いやすいライポジなどによって、リラックスした街乗りや高速巡行から、スポーティな走りまでも守備範囲。さらに国内メーカーの市販車で初めてドラレコを装備するといった話題性も魅力だ。
久しぶりにエリミネーターを目の前にすると、400ccクラスとしては立派な車格。かといって押し引きにさほど重さは感じず、ハンドル切れ角も十分で取り回しに苦労しない。
跨ると、クルーザーというよりもドゥカティ・ディアベルV4やホンダCB1300スーパーフォアといったビッグネイキッドの軽快版のように感じられるのも面白いところだ。
シート高735mmは抜群の足着きを約束。ステップはクルーザーでいうミッド位置にあり、ネイキッドと捉えればやや前め。ハンドル位置も自然で、上体はほぼ直立するリラックスしたライポジだ。
走りもまさしくそんな感じで、長めのホイールベースによる大型バイク的な落ち着いた旋回と、太すぎないタイヤと程よい車重による400ccクラスらしい寝かし込みの軽快さで、とても馴染みやすい。
軽く寝るけれど穏やかに曲がるというバランス感で、基本的には安定感がベース。それに元気のいいエンジンを組み合わせているので、スポーティに走っても全然疲れない。
このほか、カワサキならではのニュートラルファインダー(停止時に1速から2速に入らないようにする機構でニュートラルに入れやすい)や幅広のシート、ラバー付きのステップなど、扱いやすさや快適性にも配慮されているのを感じる。
一方で、試乗したのがド新車だったためかシフトが少し渋かったりもしたが、これは慣らしで解消するだろう。ブレーキやクラッチの操作は扱いやすく、上質とは言えないまでも全く不満を感じることはない。
なんにでも使えて扱いやすく、バイクらしいデザインや所有感を満足させる車格、そして利便性を高める装備……。こりゃあ売れるわけだよなと改めて思わずにいられなかった。
ハンドルに覆いかぶさるような姿勢も可能で、気軽にドラッグマシン気分も味わえる。直進安定性がいいので巡行ももちろん得意科目だ。
カワサキ エリミネーター プラザエディション
主要諸元■全長2250 全幅785 全高1140 軸距1520 シート高735(各㎜)車重177㎏(装備)■水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ 398cc 48ps/10000rpm 3.8kg-m/8000rpm 変速機6段 燃料タンク容量12ℓ(レギュラー指定)ブレーキF=ディスク R=ディスク タイヤサイズF=130/70-18 R=150/80-16
KAWASAKI ELIMINATOR PLAZA EDITION
プラザエディションは専用カラーとドラレコ、USB装備
【エリミネーター プラザエディション】前後カメラ付きのドラレコ、USBタイプCソケット、ETC2.0車載器を標準搭載する。STDのシルエットにSEの装備を追加したような追加グレードだ。 ●価格:86万9000円 ●色:パールサンドカーキ、パールストームグレー
マッチョ風味かつロング&ローのクルーザー的なシルエットながら、低すぎないシートや前方すぎないステップ位置が特徴だ。
丸型ヘッドライトや幅広のテールランプ、18インチの前輪が特徴的なスタイリングを構築。車体のスリムさはご覧の通りだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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