BMW R1200GSにタンデムをして世界一周を目指した男女二人(滑川氏とAyuさん)のドキュメンタリー映画「タンデム・ロード」。福島県出身の普通の女の子Ayuの目を通して見た世界は、とても美しく、そしてとても儚いものだった。来年の劇場公開を前に、監督の滑川将人氏へ作品の魅力や思い出について、インタビューした。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:タンデム・ロード
30ヶ国427日間/走行距離約6万キロ/バイクにタンデムで世界一周
編集部:見る前は、きれいな景色や観光案内的な旅内容ばかりだったら、正直、2時間はキツいかな…と思っていたのですが、いやー一気に見入ってしまいました。
滑川氏:そうですね。たしかにバイクで世界一周を目指した記録映画ではあるのですが、どちらかというとタンデムシートに乗っている普通の女の子のAyu(亜由美さん)の目線で、いろいろな国での出会いや出来事を描くことを意識しました。バイク旅を通して彼女が成長していく姿を感じていただければと思います。
編集部:しかし、なんでバイクでタンデムして世界一周をされようと思ったのですか?
滑川氏:自分的には映画業界に携わりながら三十歳をすぎて、なんとなし今後どうやって生きていこうかな、と考えた時に、好きなバイクを使って自分の作品を作ってみたいと思ったこと。そして日本を一緒にタンデムで廻っていたAyuが仕事に行き詰まっていて、自分のやりたいことは何だろうと考える時間として一緒に世界を回ろうと思いました。
編集部:で、実際にバイクで世界を巡られて見ていかがでしたか?
滑川氏:いやー、正直、甘く見ていました(笑)。二人とも海外旅行経験がほぼゼロの中、外の世界っていいよね、なんて思って出かけたのですが…大変でした(笑)。
編集部:バイクで世界を巡って、何か得られましたか?
滑川氏:今まで大きいと感じていた地球が小さく感じられるようになり、世界で起きていることが身近に感じられるようになりました。
編集部:具体的にはどのような感じでしょうか?
滑川氏:たとえば、すぐ隣りのロシアでは、こんなに近いのに、まったく違う世界が広がっていて、こんなに違うことを考えている人がいる。そういう世界があることをリアルに感じられるようになりました。今までに日本の中で完結していたことが、外の世界もあるということをリアルに実感できるようになりました。また、どこに行っても、人の本質というのは同じなんだと感じました。
編集部:滑川監督にとってバイクとは?
滑川氏:バイクって、目的地まで線で結ばなければならなくて、その線は文化のグラデーションであって、文化=人とすると、バイクって人に近いんものだと思います。どこにでもある目の前の道が、そういうところに繋がっているみなさんとの物語と共有をしてるんだと思います。この映画を見てそんな何かを感じてもらえたらいいなと思います。
滑川氏の思い出深い場所(出来事)
最初の渡航国ロシア
住んでいる人や建物がまるでファンタジーのような異世界感を感じられる国。でもここで会ったナターシャの家に呼んでもらい、こうやってバイク旅を続けていけばきっといい出会いが生まれるんだろうな、と以降の旅の形を作ってくれた場所です。
2人のターニングポイント パリ
宿に戻ったら宿主に「お前のパートナー出て行ったぞ」と言われて見たら、Ayuの荷物も姿も見当たらなくなってました。今までタンデムシートに乗っていただけの女の子が、自分の意思で自分の旅を始めた場所。2人の旅の形を考えさせられたターニングポイントです。
最南端の地 アルゼンチン
世界の最果てウシュアイアに着いて、Ayuは単に後ろの載っているだけの女性ではなく、命を預け合わないとできない旅で、パートナー、戦友としてすでに僕の先を行っているなと感じた場所。彼女はどんどん成長して行って、僕を追い抜いていきました。
映画「タンデム・ロード」作品概要(2025年公開予定)
2025年1月10日まで、劇場公開に向けての応援プロジェクトのクラウドファンディングを実施中。応援参加すればステッカーやTシャツ、エンドロールへの名前記載などがリターンされるぞ。
イベント情報
「ワールド・ツーリング・ネットワーク・ジャパン」主催イベントに滑川監督がゲスト出演!
- タイトル:タンデム 〜 二人での旅の形を探して
- 話し手:滑川将人(映画監督)
- 日時:2024年11月30日(土)開場14時00分 / 講演14時30分より16時30分まで
- 場所:東京都杉並区高井戸地域センター、第一第二集会室
〒168-0072 杉並区高井戸東3丁目7番5号 - 参加費:500円(ZOOM視聴も500円)
- 詳細:https://www.wtn.jp/
12月8日(日)BIKERS BAKERYにてトークイベント開催!
- タイトル:BIKERS BAKERY×タンデム・ロード
- 話し手:滑川将人(映画監督)、滑川亜由美
- 日時:2024年12月8日(日) 講演16時より
- 場所:BIKERS BAKERY
〒252-0174 神奈川県相模原市緑区千木良257-1 - 参加費:無料
- 詳細:https://www.instagram.com/bikersbakery/
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
ゆるキャン△SEASON3登場のビーノを忠実に再現 山梨県を舞台とし、女子高校生のほんわかしたアウトドアライフを描いている「ゆるキャン△」。現在に続くキャンプブームを牽引した作品としても知られており、[…]
スーパーカブは、そのデザインや優れた燃費性能、信頼性で世界中で愛されるホンダの名車です。とくにとくにアジアでの人気が高いイメージがありますが、じつはじつはアメリカでも高い評価を受けていることをご存じで[…]
1989年以降、400ccを中心にネイキッドブームが到来。250でもレプリカの直4エンジンを活用した数々のモデルが生み出された。中低速寄りに調教した心臓を専用フレームに積み、扱いやすい速さが美点。特に[…]
剛性を求め丸から角へ。そしてしなり重視の時代に このスイングアームの考え方だが、今回お話を尋ねたプロによると、まずはショックユニットをしっかりと作動させる「縦剛性」が重要。ショックに入力が伝わる前にス[…]
もう走れるプロトがある! 市販化も明言だ 「内燃機関領域の新たなチャレンジと位置づけており、モーターサイクルを操る楽しさ、所有する喜びをより一層体感できることを目指している。走りだけでなく、燃費、排ガ[…]
最新の関連記事(ライフスタイル)
一般人ほど相続に気をつけろ! “相続”は「金持ちの問題」と思っている人が多いようですが、それは大間違い! 少しでも物やお金を持っていれば、相続は誰にでも関係します。そして、一般人ほど面倒です。 お金持[…]
投資におけるリスクはネガティブな意味ばかりではない “リスク”は”危険”という意味もありますが、投資の世界では”結果の振れ幅”とか、”予想通りにいかない可能性”という意味で使います。 バイクを投資目的[…]
みなさん始めまして!北海道札幌市在住のふーまと申します。バイクや車とそのオーナーさんを被写体にした、映像制作や写真撮影をしているチーム「Garagefilm」で活動をしております。 動画作品は、You[…]
旧車価格が高騰! 資産価値はどれくらい? 少し遡ること4年前、2020年からのコロナ禍で旧車の価格が爆上がりしたことを覚えていますか? コロナで外出を控える中、”密”を避けて外出できるソロキャンや登山[…]
そもそも“道楽”ってなに? “道楽”をデジタル大辞泉で調べてみると、「本業以外のことに熱中して楽しむこと。趣味として楽しむこと」となっていましたが、なんだかピンとこないのでChatGPTに聞いてみまし[…]
人気記事ランキング(全体)
カワサキUSAが予告動画を公開!!! カワサキUSAがXで『We Heard You. #2Stroke #GoodTimes #Kawasaki』なるポストを短い動画とともに投稿した。動画は「カワサ[…]
もう走れるプロトがある! 市販化も明言だ 「内燃機関領域の新たなチャレンジと位置づけており、モーターサイクルを操る楽しさ、所有する喜びをより一層体感できることを目指している。走りだけでなく、燃費、排ガ[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
根強い人気のズーマー 2000年代、若者のライフスタイルに合ったバイクを生み出すべく始まった、ホンダの『Nプロジェクト』。そんなプロジェクトから生まれた一台であるズーマーは、スクーターながら、パイプフ[…]
「日本の旗艦が世界を討つ」 今から約半世紀前の1959年は、ホンダがマン島TTレースおよび世界GPに挑戦を開始した年だ。 同年、戦後より国民の移動手段として補助エンジンや実用二輪車を製造販売してきたホ[…]
最新の投稿記事(全体)
ゆるキャン△SEASON3登場のビーノを忠実に再現 山梨県を舞台とし、女子高校生のほんわかしたアウトドアライフを描いている「ゆるキャン△」。現在に続くキャンプブームを牽引した作品としても知られており、[…]
首都圏のバイク用品店 3店舗で開催 去る1月25日(土)、東京都と埼玉県のバイク用品店3店舗において、アライヘルメット プレゼンツによるMotoGPライダー小椋藍選手のトークショー&サイン会が実施され[…]
「ホンダを完全に打ち負かすべし」:カワサキ900スーパー4 1968年10月の東京モーターショーで発表、翌1969年より市販されたホンダCB750フォアは世界を驚かせた怪物だった。しかし、最も驚いたの[…]
スーパーカブは、そのデザインや優れた燃費性能、信頼性で世界中で愛されるホンダの名車です。とくにとくにアジアでの人気が高いイメージがありますが、じつはじつはアメリカでも高い評価を受けていることをご存じで[…]
109cc空冷エンジン+オートマチック、シート高865mm、約31万円のタウンライドマシン ホンダは、北米向け2025年モデルを五月雨式に発表。本記事で紹介するのは、日本に導入実績のないナビ=NAVI[…]