
●文:ピーコックブルー(ヤングマシン編集部)
面倒でもプロテクター着用はゼッタイ大事!
バイク走行中の事故は、ライダーなら誰にでも起こり得ます。とくに高速走行時の転倒や事故は大きな衝撃を伴い、最悪は命に関わることもあります。
そんなときライダーを守る最後の砦として重要な役割を果たすのが、身体を守るプロテクター。しかしながら、警視庁の調べによると、胸部プロテクターの装着率は、2016年の7.2%から2023年には9.2%へと改善しているものの、依然として低い状況にあります。
装着しない理由として挙がるのは「着用が面倒」が43.1%ともっとも高く、次いで「値段が高い」が21.8%を占めるなど、その重要性が十分に理解されていないことが問題視されています。
そもそもプロテクターは、身体のどの部分をどのように守ってくれるのでしょうか? また、優先的につけるべき部位はどこなのでしょうか?
プロテクターで守れる部位は?
バイク用のプロテクターは、繊維強化プラスチックなどの軽量かつ高強度の素材/衝撃吸収性に優れた軟質樹脂などでつくられています。身体の各部位に個別で取り付けられるタイプのほか、ライディングジャケット/インナーウェアに組み込まれたものもあります。
プロテクターで守ることができるおもな部位は、以下の通りです。
- 胸部
- 背中/脊髄
- 首・頸椎
- 腰
- 肩
- 肘
- 膝
- 脇腹/肋骨
- お尻
- 大腿部
それぞれの部位を守れるプロテクターが販売されており、それらを組み合わせることでほぼ全身を守ることが可能です。
プロテクターの装着箇所が多いほどより安全ではあるものの、部位が増えるほど装着に手間がかかるうえに動きにくくなるなどの弊害も生じるため、装着部位をある程度絞るのがよいでしょう。
優先して守りたい3つの部位
[優先度1] 胸部プロテクター
もっとも優先して装着したいプロテクターとして、胸部プロテクターが挙げられます。
心臓/肺など人間にとって重要な器官が集中している胸部の損傷や衝撃は致命的であり、警視庁の調べでも胸部は頭部に次いでもっとも事故致死率が高い部位となっています。
[優先度2] バックプロテクター
次に優先したいのは、頚椎や脊髄/腰椎を保護するバックプロテクターです。
いわゆる背骨の損傷は、軽度であっても重篤な後遺症が残る割合が高く、死亡を免れたとしても身体麻痺により歩行困難などの症状に陥る恐れがあります。
事故時の背面の損傷率は胸部ほど高くはありませんが、高い速度域での事故ほど地面への落下姿勢が不規則になるため、高速度で走行するシーンほど背骨の保護が重要となるでしょう。
[優先度3] 関節プロテクター
3つめは、肘/膝/肩などの関節プロテクターです。
四肢の関節部は転倒時/事故時に地面と接触しやすく、すり傷/打撲/骨折などのリスクがとても高くなります。命には関わりにくい部位ではあるものの、一時的であっても手足が満足に使えなくなることは日常生活で大きな苦労を強いられることになります。
とくに肘/膝は、とっさに受け身を取って地面に打ち付ける場合も多く、これらの部位を保護するプロテクターを装着することは胸部の保護性能も増すことになります。
プロテクター装着の仕方は3種
ちなみにプロテクターは、装着方法もさまざま。装着方法の違いによってプロテクターは大きく3つに分けられ、それぞれにメリットとデメリットがあります。
アウターウェア型
アウターウェア型は、ライディングジャケット/ライディングパンツなどの各部にあらかじめ保護材が組み込まれたもの。
手軽に装着できる反面、季節ごとのウェアを準備する必要があります。また保護材が着脱可能となっている場合は、同一規格のジャケット等に移し替えて季節ごとに使い回すことも可能です。
個別部位型
ベルトなどで固定する部位別プロテクターは、着脱に手間がかかるものの、お気に入りのウェアを着たまま保護性を高められる利点があります。
必要な部位だけを購入して追加できる点も個別部位型のメリットと言えるでしょう。
インナーウェア型
アウタージャケット/オーバーパンツの下に着用する保護材付きのインナーウェアは、アウターウェア型と個別部位別の中間的な性質となるプロテクターです。
アウターウェア型ほど手軽ではありませんが、上半身/下半身をまとめて装着できるため個別部位型よりは楽です。また、インナーウェア型には保護部位がズレにくいというメリットもあります。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(交通/社会問題)
講習内容を検討する“指導検討委員会” が開催 2025年1月29日、埼玉県知事公館において「令和6年度 高校生の自動二輪車等の交通安全講習に係る指導検討委員会」(以降、指導検討委員会)が開催された。本[…]
なぜ二輪用エアバッグをテスト? 相変わらずバイクの事故は減っていなくて、死亡事故の件数もまだまだ多い。先日、取材に伺った日本二輪車普及安全協会でもそんな話が出て、二輪の死傷者数は減少してはいるものの、[…]
偵察用KLX250、救命救助のセロー250などが登場 東京都北区の浮間舟渡駅の真ん前にある浮間公園。「釣りのできる公園」として周辺住民から人気で、池に向かって釣り糸を垂らす人の姿が多数見られます。 そ[…]
規制の根拠は「道路法・第46条第3項」 高速道路などを走っていると、時折インターチェンジの手前などで「危険物積載車両ここで出よ」という表示を目にすることがある。この表示を見かけた場合、その先に危険物積[…]
地域活性化ツーリングを開催、移動課題改善への提言も 2024年9月29日に開催された地域活性化・ライダー誘致イベント“伊豆ライダー誘致ツーリング”。 主催は若年層を中心に構成。バイクやクルマ、特定原付[…]
最新の関連記事(バイク用品)
どんなジャケットにも合わせられるベルトタイププロテクター ライダーの命を守る胸部プロテクターは、万が一の事故の際に内蔵への衝撃を和らげ、重篤なダメージから身を守る重要な役割を果たす。これまでも多くのプ[…]
2025年モデルではさらなる排熱&快適性を徹底追求! 空冷式ジーンズは2022年の登場以来、完成度を高め続けてきた。2024年には走行風取り込み効率を150%にまで高めたフィン付き空冷式ジーンズを投入[…]
身体の内側から危険を察知する「熱ごもりセンサー」内蔵 猛暑が続く夏がやってきた。ヘルメットを被り、革ツナギやジャケットをまとうバイク乗りにとって、もっとも警戒すべきは熱中症。いくら風を切って走っていよ[…]
取り付け簡単!バイク用4K超高画質ドラレコ このたび、タナックスよりオートバイ用のポータブルドライブレコーダー「AKY-710S」が発売された。取り付けが簡単で、小型/軽量/4K高画質の3拍子が揃って[…]
バイクオイル交換とは? エンジンオイルの役割 バイクのオイル交換とは、エンジン内部の潤滑や冷却、清浄などを担うエンジンオイルを新しいものに入れ替える作業です。 エンジン(内燃機)内部は精密パーツが高速[…]
人気記事ランキング(全体)
愛車とコーディネートしやすい4色のニューグラフィック ベンチレーション機能も優れており、100km/h走行時のアッパーエアインテークの流入量は従来モデル比で約1.2倍、トップエアレットからの排出量は約[…]
あったよね~ガンスパーク! 「ガンスパーク」ってありましたね~。覚えてるだけじゃなくて、実際に使ってみたという方も多いのではないでしょうか。1980年代後半~1990年代前半は、どのバイク雑誌を開いて[…]
1位:直4ネオクラシックZ400RS最新情報/予測 最強400ccモデルであるニンジャZX-4Rをベースとした直列4気筒のヘリテイジネイキッド「Z400RS」(仮称)が開発されているという噂。77ps[…]
ギラギラの深い艶でボディが潤うと評判のチューブ入りのクリーム状ワックス「ゼロクリーム」に、新しい仲間が加わります。 白と緑が反転したパッケージが目を惹く「ゼロクリーム ノーコンパウンド」! その名の通[…]
参戦初年度でチャンピオンを獲得したRCB1000と次世代のフラッグシップCBが競演 ホンダは、「2025 FIM 世界耐久選手権“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会」(三重県鈴鹿サー[…]
最新の投稿記事(全体)
どんなジャケットにも合わせられるベルトタイププロテクター ライダーの命を守る胸部プロテクターは、万が一の事故の際に内蔵への衝撃を和らげ、重篤なダメージから身を守る重要な役割を果たす。これまでも多くのプ[…]
規範を完全に凌駕した動力性能と信頼性 BSAのコピーか否か。これはW1シリーズの生い立ちを語るときに、よく使われる言葉である。そしてシリーズの原点となったメグロ・スタミナK1は、たしかに、BSA・A7[…]
「53年の歴史」と今後のヤングマシンについて語りつくす! 1999年にスタートし、著名人やセレブをゲストにカー&オートバイライフをトークするFMラジオ、「FMドライバーズミーティング」。 そんな歴史あ[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
2025年モデルではさらなる排熱&快適性を徹底追求! 空冷式ジーンズは2022年の登場以来、完成度を高め続けてきた。2024年には走行風取り込み効率を150%にまで高めたフィン付き空冷式ジーンズを投入[…]