夏場にバイクを駐車する際、暑さでサイドステップがアスファルトにめり込んでしまい、バイクが転倒してしまうことがあるって、ご存知ですか?
●文:ピーコックブルー(ヤングマシン編集部)
夏場はサイドスタンドがアスファルトにめり込む危険性あり!いったいどういうこと?
駐車場などに使われている一般的なアスファルトについて、その軟化点は47.0〜55.0℃と言われていますが、夏場の強烈な直射日光が当たった場合の表面温度は、黒い色も相まって60℃以上にもなります。
ふだんは硬いアスファルトでも、高温状態になることで平常時よりも柔らかくなり、バイクを停める際のスタンドがめり込んでしまう……そんな可能性があるわけです。とくに片側のみで車体を支えるサイドスタンドは、狭い接地面に車両重量が集中するためとくにめり込みやすく、バイクが傾くことで転倒する危険性が高まります。
このトラブルは、比較的気温が低い北側の地方でも油断できません。たとえば夏の北海道ツーリングでも、停車中にスタンドがめり込んでバイクが倒れることも。これは、寒冷地用アスファルトの軟化点が40℃前半と、一般的なアスファルトの軟化点よりわずかに低くなっているためです。
一方で南側の地方であっても、標高が高い地域の路面は寒冷地用アスファルトが使われている可能性があります。地域/気温に関わらず、夏場は駐車中のサイドスタンドのめり込み事故に注意しましょう。
基本的に、気温が高いほど/バイクが重いほど/スタンドの接地面積が小さいほど、アスファルトにめり込みやすくなります。この原則を知り、以下のような対策方法を講じることも可能です。
- 日陰など路面温度が低い場所に駐める
- アスファルトではなくコンクリートの上に駐める
- サイドスタンドの接地面積を増やす
バイクは駐車場の数が少なく、駐車する場所を選べない場合も多いため、“接地面積を増やす”のがもっとも広く使える対策方法と言えるでしょう。
スタンドの接地面積を増やすには、丈夫な板をスタンドと路面の間に挟み込むことで対策ができます。たったこれだけでスタンドの接地圧力が分散され、熱せられたアスファルトでも沈み込みにくくなります。
「サイドスタンドプレート」などと呼ばれる、軽く携帯性に優れた専用の板がバイク用品として販売されていますが、かまぼこ板のような木端/100円ショップの木製コースターなどでも代用可能。出先で手元に使えそうなものがない場合は、平らに潰した空き缶を板の代わりに使えます。
ちなみに、板が厚すぎると逆にバイクが倒れやすくなるため、なるべく薄く丈夫な板状のものを準備するとよいでしょう。
そのほか、サイドスタンドに取り付け可能な「サイドスタンドエクステンション/プレートエクステンション」と呼ばれる接地面拡大プレートも販売されています。これなら駐車の度にいちいち着脱作業をする手間がかかりません。
ところで、もしスタンドがアスファルトにめり込んでしまったら、何かしらの罰則が課せられてしまうのでしょうか?
道路法101条では「道路や付属物を故意に損傷させた場合や、破損によって周囲に危険を生じさせた場合は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する」と規定されています。
しかし、バイクのスタンドがアスファルトにめり込む事例のほとんどは、予期しないもの。そのため上記の「故意に損傷させた場合」には該当しにくく、したがってサイドスタンドでできた小さな穴/凹み程度で罰則が科せられる可能性は低いと考えられます。
とはいえ、できてしまった凹み/穴を無視することはできません。歩道など、穴ができたことで歩行者がつまずく危険性がある場合は、警察に報告するようにしましょう。またコンビニ/有料駐車場などの商業施設内では、施設管理者に状況を伝えて判断を仰ぐのがライダーとして守るべきマナーでしょう。
外気温やアスファルトの色などでアスファルトの柔らかさを判断するのは、ほぼ不可能。また涼しい午前中は大丈夫でも、午後になると気温が上がってめり込み始めるといった事態も起こりえます。
夏の直射日光が振り注ぐ日中は、バイクのサイドスタンドは確実にアスファルトに埋まるものとみなし、サイドスタンドプレートなどの対策が必須だと考えておきましょう。少なくとも、暑さが残る9月いっぱいまでは注意を怠らないようにしたいものです。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(夏の暑さ対策)
1分でわかる記事ダイジェスト とにかく暑すぎる真夏のツーリング 連日、猛暑が続いている。ライダーにとって、ツーリングをする際の気温や天候って非常に気になるもの。真夏の沖縄で、白バイに乗車した際の暑さ対[…]
[A] 猛暑日はライダーへの負担がハンパなく大きい。自分で絶対守る何箇条かを決める覚悟が必須 避けるべきシチュエーション 真夏にバイクに乗る経験がまだ少ない方は、照りつける直射日光と照り返すアスファル[…]
おすすめのヘルメット用洗剤は? イヤなニオイを抑える、定期的な内装洗浄と洗剤選び ヘルメットが発するイヤなニオイのおもな原因は、インナーパッドなどに染み込んだ汗/皮脂が酸化したり、雑菌が繁殖して発生す[…]
押し引きで熱い! 座ると熱い! そんなシートの熱さをどうにかしたい… ツーリングや街乗りにかかわらず、真夏のバイクは炎天下に駐輪していた後に触るのが最初の大きな関門になる。押し引きでシートに触れば手の[…]
SHISEIDO(資生堂) クリアサンケアスティック 日焼け対策といえば、まずは日焼け止めを塗ることが何より大切です。日焼け止めと言ってもさまざまな種類がラインナップされていますが、昨今人気を集めてい[…]
最新の関連記事(バイク雑学)
ライダーを魅了してやまない「ハイパーVTEC」 CB400SF(スーパーフォア)に採用されていることでも有名な、バルブ制御システム「ハイパーVTEC(HYPER VTEC)」。この口コミを検索してみる[…]
「コスプレとバイク」本編 今回のバイク:Vストローム250とNIKEN Vストローム250はスズキの250㏄クラスのアドベンチャースタイルのバイクです。ガソリンが17L入るタンクやフロントのスクリーン[…]
バイクのハンドルに荷物をかける行為は交通違反? じつは、ハンドルにレジ袋/カバンなどを引っかけて運転する行為は、明らかな交通違反です。 道路交通法第55条第2項には、「運転視野やハンドル操作などを妨げ[…]
キャストでもスポークでもない独自構造のホイール 国産の2輪車にキャストホイール車が登場し始めたのは、1970年代後半のこと。当初は一部の高級モデルにのみ採用されたこともあり、ワイヤースポークとは違う新[…]
イラスト入りのカントリーサイン カントリーサインとは、正式には「市町村案内標識」といい、町と町との境界に設置されています。 市町村案内標識自体は日本各地にありますが、そのほとんどが都道府県章や市町村章[…]
人気記事ランキング(全体)
ファンバイクは”個性”重視。けっこう選びやすい ホンダの125ccには本格スポーツのCB125Rがあるし、原付二種まで範囲を広げたらクロスカブ110も入ってくるし、スクーターやビジネス車(公道走行、一[…]
いい加減さがいい塩梅!? ダートで遊べるPG‐1 「個人車両なので頼むから無理はしてくれるな…」という編集担当の目を盗んでダートセクションにPG -1を連れ込んでみたら、これが何だか楽しくて仕方ない([…]
ホンダは欧州で「GB350S」を発表。欧州では久々に『GB』の名が復活することになる。 標準モデルのGB350に対し、ややスポーティなアレンジがなされたGB350Sは、日本などでGB350S、最初に登[…]
早くも番外編、2017年の東京モーターショーで同時公開された3台のカスタマイズモデルだ! 2017年10月25日、東京モーターショーでZ900RSが世界初公開されると同時に、Z900RSカスタムプロジ[…]
全ての個体にシリアルナンバー入り カワサキドイツの設立50周年を記念した特別モデルが登場した。1975年にカワサキドイツが設立されてから間もなく50周年を迎えるが、すでに2025年モデルとして登場して[…]
最新の投稿記事(全体)
前輪荷重多めでスポーティーなPG-1 ヤマハPG-1の現地向けプロモーションビデオは、往年のスズキ バンバンやドゥカティ スクランブラーシリーズを連想させる、アクティブ&ポップなテイストで構成されてい[…]
【ドライバー:谷田貝洋暁】本誌ハンターカブ実験担当として渡河性能実験に続き、今回のサイドカーでの高速道路走行実験にも抜擢されたフリーライター。無理/無茶/無謀の3ない運動の旗手。 【パッセンジャー:難[…]
深みのあるブルーにゴールドのラインとロゴ ヤマハはタイで、日本でいう軽二輪クラス(126~250cc)にあたるネオクラシックネイキッド「XSR155」に新色のダークネイビーブルーを追加発表。従来のマッ[…]
様々な使い方や乗り方に応える懐の深さが魅力 2024年上半期、400ccクラスの販売台数でGB350をしのぎトップに躍り出たのがエリミネーターだ。それどころか、大型バイクを含めた車検付クラスでもZ90[…]
Honda & MAAN Motocicli Audaci presentano il “SuperCub 125X” 生産モデルから大幅に逸脱しない設計……だけど雰囲気は一変! 日本でも好評[…]