ウイングレットは天然素材を使用!

スズキ「GSX-R1000R」の次期モデルも見えた?! チームスズキCNチャレンジの鈴鹿8耐参戦マシンの全貌公開

スズキは、2022年末をもってMotoGPや世界耐久選手権(EWC)へのワークス参戦を終了していたが、既報のとおりカーボンニュートラルという新たな使命を帯びて鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦した。


●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:ススキ ●外部リンク:スズキ

「GSX-R1000Rは、現行モデルが最後とは誰も言っていない」

2022シーズン末をもってMotoGPやEWC(世界耐久選手権)のワークス活動を終了したスズキは、レースグループも解体。もうスズキのワークスマシンを見ることはないのか……と思われていた中、2024年春の東京モーターサイクルショーでサステナブルアイテムを用いた新たなプロジェクトが発表された。

チームスズキCNチャレンジと名付けられたプロジェクトは、再生素材を用いた外装パーツや40%バイオ由来の燃料などを使用したGSX-R1000R CNチャレンジ仕様で鈴鹿8耐に挑み、カーボンニュートラル技術を開発していくというものだった。

レースでは既報のように予選16位、決勝8位という好成績を納め、「厳しい環境で負荷をかけなければ意味がない」という言葉通りのレース運びを見せた。

また、レース後のインタビューでは「スズキが最初にやることに意味があった」とし、ライバル勢に先駆けてカーボンニュートラル技術の開発をともなうレース活動を実現したことでスズキの存在感を示している。

そんな中、関係者筋からは見逃せない発言もあった。いわく「GSX-R1000は現行モデルが最後とは誰も言っていない」と──。

スズキから写真が提供された「GSX-R1000R CNチャレンジ仕様」の技術的な詳細については多くがベールに包まれているが、次期モデルへの期待を込めながらマシンのディテールを眺めてもらいたい。

今回使用されたCN/サステナブルパーツ

こちらは鈴鹿8耐のスズキブースで展示されたサステナブルアイテム。

【タイヤ】ケミカルリサイクル技術により、使用済みタイヤを熱分解することで得られる分解油から、耐久性能に重要な役割を果たすカーボンブラックを生成し、再生資源として使用したブリヂストン製タイヤ。通常のタイヤとは特性が異なっていたというが、その性能の高さはラップタイムと決勝順位が証明している。

【オイル】Motulが提供した、非化石のオーガニック原料をベースオイルに使用しすることで、CO2排出量を削減するエンジンオイル。今回のCNチャレンジのため新たに用意されたもので、べンチテストを繰り返して性能を確認して使用。灼熱の8時間耐久レースをノントラブルで走り切った。

【燃料】食用目的とは競合しない、農業残滓から製造される40%のバイオ由来の燃料を用いることで40%のCO2削減を実現するELFのMOTOR40 FIM。FIM24のレギュレーションに準拠し、今シーズンからWSBKでも使用されている。性能的には一般のガソリンとそん色なく、エンジンのハード面的変更も不要だったそうだ。

【バッテリー/電気】バッテリーは、エリーパワー のリチウムイオンバッテリーで、優れた始動性を発揮して素早いスタートが切れたそうだ。また、エリーパワーはピット裏に建てられたプレハブ内で使用する電気を、太陽光発電で賄うシステムも提供した。

【ディスクローター】熱処理工程を廃止することで、製造時のCO2排出量を50%削減したサンスター製のディスクローター。摺動部にディンプル小孔を採用して、パッドクリーニング効果とクラック耐久性を実現した。

【ブレーキパッド】熱処理をしていないローターに合わせてサンスターが開発した専用のブレーキパッド。ブレーキの効きやコントロール性は従来の性能を維持しながら、約15%の摩耗量低減を実現し、ブレーキダストの排出量を低減。

【前後フェンダー/ウイングレット】トラスが提供したウイングレット、フロント/リヤフェンダーは、ビーコンプ社の天然亜麻繊維を使用したもので、カーボン製品と比べると85%のCO2削減が可能。四輪のスーパーフォーミュラ等でも使用しているという。

GSX-R1000R CNチャレンジ仕様

2024 FIM世界耐久選手権 “コカ·コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第45回大会を戦ったGSX-R1000R CNチャレンジ仕様。8時間のレースを戦った臨場感を残すためにカウルに付着したタイヤダストなども完走したそのままで撮影された。※タイヤおよびホイールについては転がし(移動)用に換装(ブレーキディスクは走行後のもの)

GSX-R1000R CNチャレンジ仕様

GSX-R1000R CNチャレンジ仕様

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