
主要高速道路のサービスエリア(SA)/パーキングエリア(PA)には、おおよそ50km間隔でガソリンスタンドが備わっており、高速道路を降りずとも給油をすることができます。ですが、値段を見てビックリ。レギュラーガソリン価格が170円以上に達する現在、高速道路では200円を超えるガソリンスタンドも珍しくないとのこと。いったいなぜ、高速道路内のガソリンの値段はこんなにも高いのでしょうか?
●文:ヤングマシン編集部(ピーコックブルー)
高速道路のガソリンスタンドが高いのには理由がある
2024年7月1日現在、東京のガソリンスタンドのレギュラーガソリン価格は1リッターあたり170円前後です。それに対して、高速道路にあるガソリンスタンドの価格は、同じ東京でも195円前後と約25円もの開きがあります。
一般道と高速道路のガソリンスタンドで、これほどまでの価格差が生じるのは以下のような事情があるためです。
高速道路でも非24時間営業のガソリンスタンド/セルフ式ガソリンスタンドが増えてはいますが、現在でも主流は24時間営業の有人ガソリンスタンド。
高速道路のガソリンスタンドは利便性確保のために、たとえ利用客が少なくとも年中無休24時間営業をしなくてはならないため、より多くの人件費がかかります。
かといってセルフ方式の装置を導入しようにも、設備の入れ替え費用は燃料価格に転嫁しなくてはなりません。
さらに燃料の輸送代には高速料金が上乗せされるうえ、SA/PAに支払うテナント料も発生するなど、高速道路の燃料価格にはこれらの経費が上乗せされているというわけです。
また、一般道のガソリンスタンドは、燃料販売以外にも洗車/タイヤ交換/オイル交換/車検など、より利益率の高いサービスを実施することで収益を確保できます。
しかし高速道路のガソリンスタンドでは、こうしたサービスを実施しても利用者は少ないため、ほぼ燃料販売のみで利益を上げなければならず、必然的に燃料価格を引き上げる必要に迫られます。
さらに一般道のガソリンスタンドであれば、客足を増やすには燃料価格を下げるのがもっとも効果的です。どこで給油するかは利用者が選べるため価格競争が起こり、単価が安い店舗があれば周辺地域のガソリン単価全体が下がる傾向にあります。
一方、給油するガソリンスタンドを選べない高速道路では、価格を上げても下げても周囲の周辺の店舗にはほとんど影響しないため、価格競争が起きず、燃料価格は高止まりしがちになります。
ガソリン価格がもっとも安い県と高い県はどこ?
地域によって燃料価格に差があるように、高速道路でもSA/PAによって価格差があります。
一般道のガソリンスタンドの場合、価格が安い県は和歌山県/青森県が筆頭です。関東/東海の海に面した地域は比較的安価であり、もっとも燃料価格が高いとされる県は長野県です。
しかし、高速道路のガソリンスタンドでは様相が異なります。
全国の高速道路のなかでもっとも安いのは北海道で、7月1日現在の価格は180円前後となっており、北海道内の一般道のガソリンスタンドの平均価格との差は5〜10円程度です。
反対に高いのは関西/中国/四国の各県。東日本と比べると、西日本の高速道路の平均価格は10円ほど高い傾向にあり、7月1日時点でもっとも高かったのは大阪・吹田SAの206円です。
西日本にある一般道と高速道路のガソリンスタンドの平均価格を比べると、その差は約30円にのぼる箇所もあります。
燃料の販売価格には、経営形態や契約している元売り会社の取引価格、輸送に関わる交通事情などが影響する点は一般道のガソリンスタンドと同様ですが、高速道路では一般道と明らかに異なる傾向があるようです。
なお2008年以前は、高速道路会社がSAの上限価格を決めることで不当に高くならないよう調整されていたため、このように価格が高止まりすることはありませんでした。
しかし2008年5月に上記のルールが廃止されたことで、原油価格が高騰している現在は価格上昇に歯止めが効かなくなっています。
現在の状態で、再びこうした価格調整の仕組みが導入されるとは考えにくいでしょう。仮に高速道路料金を引き下げるなどして利用者が増えたとしても、燃料価格を押し下げるほど高速道路のガソリンスタンド利用者が増えるとは限りません。
原油高が続く間は、高速道路会社や国の援助がない限り高値の状態が続くと思われます。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(交通/社会問題)
意外と複雑な一方通行の表示 一方通行規制のおもな目的は、車両の相互通行による複雑で危険な交通状況を単純化し、交通の安全と円滑を図ることにある。とくに、道幅が狭く、歩行者や自転車の通行が多い住宅地や繁華[…]
[1] 7年目の高校生講習も秩父地域からスタート 埼玉県内を6地域に分けて全8回で開催される「令和7年度 高校生の自動二輪車等の安全運転講習」が2025年も始まった。 第1回目の講習会は、6月15日に[…]
レーダーでの速度取締の現場 赤切符と青切符の違いとは? 冬から春にかけては卒業や就職をひかえて新たに運転免許を取得する人が増えてくる時期です。自動車学校・教習所で習ったとおりの運転を心がけているつもり[…]
講習内容を検討する“指導検討委員会” が開催 2025年1月29日、埼玉県知事公館において「令和6年度 高校生の自動二輪車等の交通安全講習に係る指導検討委員会」(以降、指導検討委員会)が開催された。本[…]
なぜ二輪用エアバッグをテスト? 相変わらずバイクの事故は減っていなくて、死亡事故の件数もまだまだ多い。先日、取材に伺った日本二輪車普及安全協会でもそんな話が出て、二輪の死傷者数は減少してはいるものの、[…]
最新の関連記事(バイク雑学)
白バイ警察官になるためのファーストステップ、必要なのは執拗なアピールや根回し!? 警察官になっても、すぐに白バイ警察官になれる訳ではありません。白バイ警察官になるには、まず「白バイ隊員になりたい」と希[…]
シート後部、リヤ両サイドにある白バイの計3つのボックス 白バイのボックスは3つあります。荷物を入れるためのサイドボックス、無線機を入れる無線機ボックスがあり、サイドボックスは車両後部の左右に1つずつ、[…]
規制の根拠は「道路法・第46条第3項」 高速道路などを走っていると、時折インターチェンジの手前などで「危険物積載車両ここで出よ」という表示を目にすることがある。この表示を見かけた場合、その先に危険物積[…]
日本語表記では「前部霧灯」。本来、濃霧の際に視界を確保するための装備 四輪車ではクロスオーバーSUVのブーム、二輪車においてもアドベンチャー系モデルが増えていることで、「フォグランプ」の装着率が高まっ[…]
白バイがガス欠することはあるの!? 今回は、「白バイが警ら中にもしもガス欠になったら!?」について、お話したいと思います。結論を先に言うと、ガス欠にならないように計画を立てて給油しています。 私も10[…]
人気記事ランキング(全体)
スマホ連携TFTやスマートキー装備のDX ホンダがミラノショーで発表した2025年モデルのPCX125(日本名:PCX)。2023年には欧州のスクーターセグメントでベストセラーになった同車だが、日本で[…]
ニューカラーにスマートフォン接続機能が進化 2026年モデルでパッと目を引くのは、やはりカラー&グラフィックの変更だ。「Ninja ZX-4R SE」は、パールロボティックホワイト×メタリックスパーク[…]
みんながCBを待っている! CB1000Fに続く400ccはあるのかないのか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「[…]
意外と複雑な一方通行の表示 一方通行規制のおもな目的は、車両の相互通行による複雑で危険な交通状況を単純化し、交通の安全と円滑を図ることにある。とくに、道幅が狭く、歩行者や自転車の通行が多い住宅地や繁華[…]
スズキ ジクサー150試乗インプレッション 全日本ロードレースを走るレーシングライダー、岡崎静夏選手がスズキ「ジクサー150」の2025年モデルを試乗。彼女は想像以上にスポーティーな乗り味に驚いたと語[…]
最新の投稿記事(全体)
バイク専用設計で干渉しにくいL字コネクター デイトナのUSB-A to USB-C充電ケーブルは、バイク乗りの使いやすさを徹底的に追求した設計。スマホ接続部がL字コネクターになっており、走行中もハンド[…]
2025年上半期の国内登録台数は3099台で販売新記録! 発表会の冒頭、BMW株式会社モトラッド・ジェネラルマネージャーの大隈 武氏が壇上に立ち、2025年上半期のビジネス概要/取り組みを発表した。 […]
サスペンションのオーバーホールとは? バイクのメンテナンスで必要な項目と言えば、多くの方がまず“エンジンオイルの交換”を思い浮かべるのではないでしょうか? 実は、サスペンションも同様にメンテナンスが必[…]
RCFプレミアムサウンドはそのままに オートバイ用インカムMIDLANDの日本総代理店・株式会社LINKS は、「BT MINI PlusRCF」を2025年7月下旬に発売した。 MIDLAND至上最[…]
愛車のカスタムXSR700 ふだんは、女優/タレント/バイク/サウナ/SUP等々アクティブなライフスタイルすぎる日々なのですが、コラムを執筆するときは落ち着いて、ソファーや移動の際ケータイ片手に、真面[…]