フルフェアリングを装備した市販車といえばBMW R100RS(1976年)が知られているが、それよりもおよそ20年前の1958年、ロイヤルエンフィールドは足元までカバーするフェアリングを装備したツアラーを製造していたという。フロントフォークのインナーチューブやフェアリングの隙間まで覆う巨大なフロントフェンダー、高さのあるスクリーンによって優れた耐候性を実現していた。しかし時代はカフェレーサー全盛期で、装備を簡素化してバイク本来の姿かたちを追求することに誰もが熱中していた。そのためフルフェアリングを装備したコンステレーション(先に紹介したインディアンブランドのニューヨーク市警用バイクと同じモデル)の販売は伸びず、1965年に生産終了となった。この車両は1959年式で、エンジンは4ストローク693cc空冷並列2気筒を搭載。最高出力は50.7ps/6250rpm、車重は183kg、最高速度は115mph(約185km/h)だ。