
二輪車のロールスロイスとも呼ばれたブラフスーペリアが日本に上陸する。戦前に英国で製作されたオリジナルではなく、2013年にフランスで復活した新生ブラフスーペリアは往時と同じく1000ccクラスのVツインエンジンを搭載し、ビンテージインスパイアのデザインに身を包む。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:Brough Superior
“二輪車のロールスロイス”と呼ばれ──
編集部に突如としてメールが舞い込んできた。ブラフスーペリア ジャパン(Brough Superior Japan)のCEOを名乗り、Brough Superior Motorcyclesの正規子会社だという。日本向けにバイクを発売するというので、詳細を聞いてみた。
1919年にイギリスのノッティンガムでジョージ・ブラフによって設立されたブラフスーペリア(Brough Superior)は、世界最高のモーターサイクルを製造したと言われ、モーターサイクルで初めて時速100マイル(160km/h)を突破。1924年だけでも9個もの世界記録を樹立したという。その高性能・高品質ぶりは「二輪車のロールスロイス」と異名をとった。特徴的な1000ccのVツインエンジンを搭載し、アラビアのロレンスとして知られ、彼の地ではT.E.と呼ばれるトーマス・エドワード・ロレンスが乗り回していたことも有名だ。バイクを生産したのは1940年頃までで、その後はロールスロイスの航空機エンジンのパーツ生産などを行っていたが1950年代に閉鎖されている。
その後、2013年にフランスの実業家が商標権を手に入れ、モーターサイクルメーカーとして復活して同年のEICMAでは試作車を展示。そして2016年より生産が開始された。
ちなみに社名についてはブラフシューペリアとも、ブラフスーペリアとも呼ばれ、好事家には単にブラフと呼ぶ方もいるようだ。ここではブラフスーペリアジャパンCEOからのメールにならい、ブラフスーペリアと呼ぶことにしたい。
現在のブラフスーペリアのマシンは、997cc・挟み角88度のVツインエンジンを搭載し、他の何者にも似ていないビンテージスタイルのデザイン、ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションなどを採用。高級モーターサイクル好きには垂涎のマシンが少数生産されている。
2019年にはアストンマーティンとのコラボモデルを発表したことも、覚えてらっしゃる方はいるかもしれない。AMB001と名付けられ、サーキット専用で100台限定発売されたマシンは、997ccで88度Vツインエンジンにツインターボを組み合わせ、最高出力180ps、乾燥重量188kgとスペックもド級。アストンマーティン最新のクルマからインスピレーションを得たデザインに、車体構成の一部となるカーボンボディなどを備えていた。そして後継機はさらに凄い。
公道マシンは1300万円~、トラック用は2900万円~
今回、日本でブラフスーペリアジャパンが設立されるにあたって、まず導入されるのは同社の主力製品でもあるSS100、スペシャル仕様のロレンス(Lawrence)、そしてAMB 001 PRO(AMB001の後継機)。アストンマーティンと提携し、上記3モデルを含むシリーズ全体の販売とサービスを提供するディーラーネットワークの構築を開始したという。
SS100(スーパースポーツ100)は、日本の公道を走れるようにホモロゲートされたジャパンエディションで、価格はドル建ての8万9000ドル(日本円換算約1314万円・3/13現在)。
ロレンス(ローレンスとも)も同じく8万9000ドルで、こちらも公道仕様のジャパンエディション。
そしてAMB Proについてはレーストラック専用モデルとなり、アストンマーティン専売になるという。価格は19万6200ドル(約2898万円)だ。
これらの価格はシッピングコストや輸入関税なども含めたものとなり、ブラフスーペリアジャパンへの直接オーダーでは多少のディスカウントの可能性もあるという。もっとも、3車それぞれにカスタマイズが可能であり、あくまでもスタート価格と思ったほうがよさそうではある。
東京オフィスでは、日本市場に合わせたブラフスーペリアのカスタマイズオプションや、ディーラーがライダーのコミュニティやその他ローカルイベントを創っていく機能も提供する。
ブラフスーペリアジャパンはアジア初のオフィスであり、現在のところ、日本では東京に1ディーラーを構える予定で、その他にもディーラー開拓を模索中だという。東京オフィスには日本人スタッフがおり、日本語でのコンタクトが可能。また、近くにディーラーがなくてもブラフスーペリアジャパンを通じてファクトリーに直接注文できる。
ブラフスーペリアジャパンの問い合わせ先
eメール: info@pistaenterprises.com
電話番号: 080-7296-1881
公式サイト(こちらは英語): www.broughsuperior.com
S.S.100 JAPAN EDITION
1920年代にアラビアのロレンスのによって伝説的な地位を獲得したのがスーパースポーツ100ことSS100だ。ブラフスーペリアを象徴するモデルであり、フランスのワークショップで手作りかつカスタムビルドされる。公道走行可能な日本仕様は8万9000ドルで、写真のようにジャパンエディションのロゴがあしらわれる。シリアルナンバーを見る限りでは、10台が製作されるようだ。
Brough Superior S.S.100 JAPAN EDITION
Brough Superior S.S.100 JAPAN EDITION
LAWRENCE JAPAN EDITION
こちらは、アラビアのロレンスが使用していた伝統的な短剣の流れるような曲線にインスピレーション得たデザインの2シーターモデル。もちろん公道走行可能だ。価格はSS100と同じく8万9000ドルで、ジャパンエディションのロゴとシリアルナンバーも同様に10台想定と思われる。
Brough Superior LAWRENCE JAPAN EDITION
Brough Superior LAWRENCE JAPAN EDITION
AMB 001 PRO
世界88台限定で製作されるAMB 001 PROは、アストンマーティンの伝統的なデザインとブラフスーペリアのモーターサイクルエンジニアリングを組み合わせたデザインコラボレーションモデル。2019年に発表されたAMB 001の後継モデルだ。今作のPROは前モデルから25%の出力向上を果たし、225psを発生することで乾燥重量175kgと合わせてF1カー並みのパワーウエイトレシオ1.28ps/kgを実現している。AMB 001 PROは単一仕様で提供され、アストンマーティンに由来するレーシングカラーや『レースウィング』バッジを採用。レーストラック専用モデルで、価格は19万6200ドルだ。
Brough Superior AMB 001 PRO
Brough Superior AMB 001 PRO
Brough Superior AMB 001 PRO
Brough Superior AMB 001 PRO
Brough Superior AMB 001 PRO
Brough Superior AMB 001 PRO
コンフィギュレーション用の素材
自分仕様にするためのシートやハンドルなどもラインナップされる。見るからに超高級……。
Configuration Finish Japan Brough Superior
Configuration Finish Japan Brough Superior
Configuration Finish Japan Brough Superior
Configuration Finish Japan Brough Superior
Configuration Finish Japan Brough Superior
エンジンの造形美を見よ!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(新型バイク(外国車/輸入車))
通勤からツーリング、サーキット走行まで使えるカウル付き軽二輪スポーツ 日本の道に最適といえるサイズ感や、通勤/通学からツーリングまで使える万能さが軽二輪(126~250cc)の長所。スクーターやレジャ[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc 400ccクラスは、普通二輪免許を取ってから間もないビギナーも選ぶことができる排気量帯で、16歳から乗ることができる。 そんな400cc[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
AMAスーパークロス2位の実績を持つモトクロッサーのエンデューロ仕様が上陸! トライアンフが開発したオフロードマシンには、250cc4ストローク単気筒エンジンを搭載するモデルと、450cc4ストローク[…]
クラシックなボバースタイルをもつ”個性爆発”のゴアン クラシック350 名は体を表すというが、ロイヤルエンフィールドのニューモデル「ゴアン クラシック350」が表現するものは何か? 英国発祥のロイヤル[…]
最新の関連記事(記念モデル/限定モデル)
モンキーFSシリーズの最新作として誕生! ホンダ「CB1000F コンセプト」で往年のフレディ・スペンサーが駆ったレーシングマシンのカラーリングが話題になったばかりだが、憧れの“スペンサーカラー”をま[…]
タイホンダ創立60周年を記念したスペシャルエディション 特別仕様車の製作に旺盛なカブハウスは、タイホンダの創立60周年を記念した「New Monkey Chrome Legacy Limited Ed[…]
古代中国絵画風の虎をあしらった荘厳なグラフィックモデルが登場 「FEARLESS(フェアレス)」とは、恐れ知らず、勇敢、大胆といった意味の英語だ。このモデルにあしらわれるのは、古代中国絵画風に描かれた[…]
2年ぶりに新登場した白黒反転グラフィックはクリアとマットの2バリエーションが揃う 『Z-8 IDEOGRAPH』は、ヘルメット左側面に大きく描かれた「X」の文字と、フェイスガード右側面のちょっぴりポッ[…]
ファーストガンダムのアナザーストーリーをSHOEIプレミアムヘルメットで体感せよ! 『Z-8 機動戦士ガンダム THE ORIGIN』シリーズは、地球連邦軍とジオン軍のモビルスーツを模した全6種が期間[…]
人気記事ランキング(全体)
カワサキの新世代モビリティが大阪万博で公開 2025年日本国際博覧会、通称「大阪万博」のカワサキブースで、未来のオフロードビークル「CORLEO(コルレオ)」が注目を集めている。バイクのように乗車する[…]
「その時、スペンサーになれた気がした」 MVX250Fの上位モデルとして400版の発売が検討されていたが、250の販売不振を受け計画はストップ。この心臓部を受け継ぎ、NS250Rの技術を融合したモデル[…]
日本でもっとも人気の高いジャンル=ネオクラシック プロポーションの枷を覆す【カワサキ Z900RS】 まず、現代のバイクと昔のバイクではプロポーションがまったく違うんです。昔のバイクはフロントタイヤが[…]
バイクキャビン:小型エアコンを装備すれば抜群の環境に! 難しく考えることなく、手っ取り早く購入できるガレージとして高い人気を得ているのが、デイトナが取り扱う各種シリーズ製品だ。 全モデルに共通している[…]
〈WEBIKE FESTIVAL〉2024.10.19 SAT. ロングウッドステーション(千葉県長柄町) 【X500 ヒデヨリさん】「見た目など、あえてハーレーらしさを捨てたチャレンジ精神の塊のよう[…]
最新の投稿記事(全体)
他の積載方法とは異なる、シートバッグの利便性 2輪でツーリングをする際の荷物の積載方法は、①ストレッチコード/ネット、②タンデムシート上部に装着するシートバッグ、③後輪左右に設置するサイドバッグ、④車[…]
昨年の最終戦から連勝を続けた水野涼 2025年の全日本ロードレース選手権がようやく4月19日・20日に栃木県・モビリティリゾートもてぎで開幕しました。4月9日・10日には、PRE-TEST “Roun[…]
実は大型二輪の408cc! 初代はコンチハンのみで37馬力 ご存じ初代モデルは全車408ccのために発売翌年に導入された中型免許では乗車不可。そのため’90年代前半頃まで中古市場で398cc版の方が人[…]
トレッドのグルーブ(溝)は、ウエットでタイヤと接地面の間の水幕を防ぐだけでなく、ドライでも路面追従性で柔軟性を高める大きな役割が! タイヤのトレッドにあるグルーブと呼ばれる溝は、雨が降ったウエット路面[…]
キーロック付きタンクキャップ:スズキGT380(1972) バイクの燃料キャップは、そもそもは転倒時の漏れ防止の安全対策からキーロック式が採用されるようになったが、その最初は1972年のスズキGT38[…]
- 1
- 2