
今から43年前、窓際のトットちゃんが大ブームになり、ガリガリ君や雪見だいふくが誕生したのが1981年だ。その年に製造された新車のバイクがデッドストックとして眠っていたら……。米国で発見されたヤマハの伝説的名車が眠りから覚め、初走行する様子が公開された!
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:Bikes and Beards
くんかくんか……木の箱はジャパンの匂いがするぜぇ~!
アッハハー! エンジンの上に蛇が巣を作ってたみたいだぞ!
いや、ネズミっぽいぞ……?
41年も箱入り(動画公開時)になっていた新車のヤマハSR500を買ってきたのは、人気YouTubeチャンネル『Bikes and Beards』。単なる箱入りじゃない、完全未開封だ。
日本で輸入バイク(または逆輸入バイク)を扱うショップに行ったことのある方はご存じかもしれないが、車両メーカーは海外に新車を出荷する際には箱詰めにするものだ。メーカーによってはホイールやハンドル、カウル類を全て外し、なるべくコンパクトに梱包したりする。
最終的には販売店が開梱して車両を組み立て、走れる状態に整備してユーザーに引き渡されるわけだが、彼らが見つけてきたSR500は当時のままの箱に入っていて、開封した形跡なし。つまり、日本から米国へと海を渡ってきたものの販売には至らず、そのままの状態で眠っていたわけだ。
まず外側の段ボールを剥がすと、現れたのは木枠。以前の記事で紹介したホンダFT500 Ascotが鉄枠の箱に入っていたのに対し、ヤマハは木の箱だった。
思わず匂いを嗅いでしまうのは『Bikes and Beards』でなくともライダーのサガというものだろう。
世界でもっとも保存状態のいいヤマハSR500……のはずだったけど
惜しい、実に惜しいッ!
箱を開ける前から下のほうに空いている穴を気にしていた『Bikes and Beards』の面々だったが、木枠に続いて湿気対策の紙や発泡スチロールのトレーを丁寧に取り外していったところ、エンジンのシリンダー背面に蛇の巣? いやネズミの巣か……を見つけてしまった彼らであった。
うむ、まあ多少の腐食は我慢である。ネズ公は3日間オシッコ我慢の刑に処す。もういないけど。というかワイヤーとか齧ってないといいよね……。
そんなこんなで梱包が解かれたSR500、走れる状態にすべく丁寧に組み立てていくことに。
SR500は1978年から1999年まで生産されたが、米国にSR500が輸入されたのは1981年までの3年間のみ。多くのカフェレーサーカスタムが生まれ……といった解説が続くなか、車両はゆっくりと本来の姿を取り戻していく。1978、1979年は前後ディスクブレーキで、この1980、1981年モデルはリヤにドラムブレーキを採用している(米国では)らしい。
トラブル発生、キーがないじゃん! → キックの鬼、出現す
箱のどこを探してもキーがないという悲劇。20分にわたって探した彼らは、往年のヤマハを知るベテランメカニックに電話して助けを求めるが、あるはずのところにない。
透明のバッテリー筐体など珍しいメカに感心しながらも、やっぱりない。
ついに見つけた場所は……動画の10分32秒のところで確かめてもらいたい。
さて、ようやく組み上がってからが勝負だ。ヤマハSR名物、油ぶ……じゃなくてキック始動である。前回のホンダFT500はセルフスターターだったからなぁ。
無事(?)に走り出したSR500はチョークの戻し忘れなどご愛敬もありつつ、美しい姿を取り戻した。なんつーか、癒し動画だなこれ。
動画には「思い出が蘇る!」「キーを探すところ笑った」「あなたたちレストアチャンネル化しつつある?」などの2000件を超えるコメントが寄せられている。
さーて、明日は家まで乗って帰るかー。
※画像はYouTubeチャンネル『Bikes and Beards』より。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
43年で歴史に幕……と思ったらタイで続いてるよ! 平成32年排出ガス規制の壁、ABS義務化、そして灯火類の追加レギュレーション……。日本ではさまざまな理由から継続生産ができなくなり、2021年モデルを[…]
SR愛が止まらない! 「この美しいティアドロップを永遠に」 2021年に惜しまれつつ43年の歴史に終止符を打ったヤマハ「SR400」の美しい造形を、いつまでも残したい──。そんな多くのファンの愛に応え[…]
新車が復活できる可能性は低い。であれば…… 1978年に誕生した当時の基本設計を変えず、2021年まで生産され続けたヤマハSR400。生産が終了した今でも根強いファンを抱えるレジェンド的な存在だ。その[…]
※2023年12月14日更新 16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪([…]
70~80年代にキックスターターからセルフ式に移行 現行バイクはスターターボタン(セルボタン)を押すだけで簡単にエンジンが始動できる。しかし1960年代頃までのバイクは、ほとんどが「キックスターター」[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
2019年モデル概要:WのDNAを今に伝えるモデルが再始動 1966年当時、カワサキブランド初の大排気量4ストロークマシンとして登場したW1が背負った最速という使命は、今なお続くニンジャやZシリーズが[…]
オモチャの延長から生まれたミニ&レジャーバイク 自分がバイクに乗り始めた1970年代前半の日本は、ちょうど戦後の高度成長期が真っ盛りの頃。バイクが働く乗り物から楽しむ乗り物へと移り変わった時代で、そこ[…]
コロナ禍を経て戦線復帰 愛らしいスタイリングとスポーティーな走りで人気のレジャーバイク「モンキー125」は、2022年7月より一時受注を停止していた。というのも当時、コロナ禍によるロックダウンや世界的[…]
カワサキW800(2017) 試乗レビュー この鼓動感は唯一無二。バイクの原点がここに 1999年2月に発売されたW650は2009年モデルを最後に生産を終了。その2年後の2011年、ほぼ姿を変えずに[…]
インパクト大なシリーズ初カラー 現代的ストリートファイターのMT-09をベースに、アルミタンクカバーなど金属の質感を活かした専用外装などでネオレトロに仕上げられた1台であるXSR900。3種のパワーモ[…]
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
インパクト大なシリーズ初カラー 現代的ストリートファイターのMT-09をベースに、アルミタンクカバーなど金属の質感を活かした専用外装などでネオレトロに仕上げられた1台であるXSR900。3種のパワーモ[…]
カワサキ500SSマッハⅢに並ぶほどの動力性能 「ナナハンキラー」なる言葉を耳にしたことがありますか? 若い世代では「なんだそれ?」となるかもしれません。 1980年登場のヤマハRZ250/RZ350[…]
※この記事は別冊モーターサイクリスト2010年11月号の特集「YAMAHA RZ250伝説」の一部を再構成したものです。 ヤマハ RZ250のエンジン「2ストロークスポーツの純粋なピーキー特性」 ヤマ[…]
新型スーパースポーツ「YZF-R9」の国内導入を2025年春以降に発表 欧州および北米ではすでに正式発表されている新型スーパースポーツモデル「YZF-R9」。日本国内にも2025年春以降に導入されると[…]
人気記事ランキング(全体)
カワサキ500SSマッハⅢに並ぶほどの動力性能 「ナナハンキラー」なる言葉を耳にしたことがありますか? 若い世代では「なんだそれ?」となるかもしれません。 1980年登場のヤマハRZ250/RZ350[…]
マーヴェリック号の燃料タンク右側ステッカー エンタープライズに配属された部隊 赤いツチブタは、「アードバークス」の異名を誇る米海軍「第114戦闘飛行隊(VF-114)」のパッチ。1980年代には第1作[…]
インパクト大なシリーズ初カラー 現代的ストリートファイターのMT-09をベースに、アルミタンクカバーなど金属の質感を活かした専用外装などでネオレトロに仕上げられた1台であるXSR900。3種のパワーモ[…]
公道モデルにも持ち込まれた「ホンダとヤマハの争い」 1980年代中頃、ホンダNS250Rはヒットしたが、ヤマハTZRの人気は爆発的で、SPレースがTZRのワンメイク状態になるほどだった。 しかしホンダ[…]
※この記事は別冊モーターサイクリスト2010年11月号の特集「YAMAHA RZ250伝説」の一部を再構成したものです。 ヤマハ RZ250のエンジン「2ストロークスポーツの純粋なピーキー特性」 ヤマ[…]
最新の投稿記事(全体)
直4&丸目。王道のジャパニーズネイキッドスタイル 直列4気筒エンジンの存在感を際立たせつつ、丸1眼ヘッドライトとオーソドックスな外装。CB1000Fコンセプトのスタイルは、往年のエフらしさを漂わせつつ[…]
日本映画史の記憶に残り続ける『トラック野郎』シリーズ第1作 『トラック野郎 御意見無用』は、1975年に公開された鈴木則文監督による日本映画。東映製作/配給の『トラック野郎』シリーズの記念すべき第1作[…]
2019年モデル概要:WのDNAを今に伝えるモデルが再始動 1966年当時、カワサキブランド初の大排気量4ストロークマシンとして登場したW1が背負った最速という使命は、今なお続くニンジャやZシリーズが[…]
そもそも「過給機」とは 世界最大規模の2輪車ショーといわれるEICMA(ミラノショー)。2024年11月に開催された同ショーにおいて最大級の注目を集めたのは、ホンダが初公開した電動過給機付きV型3気筒[…]
快適性向上、簡易ナビ/USB-Cを標準装備! ロイヤルエンフィールドから新型「ハンター350{HUNTER 350)」が登場! 日本で総輸入発売元を務めるピーシーアイが新型を発表するとともに、価格や発[…]