
ホンダが「CUV e:」なる商標を出願していることがわかった。公開日は12月14日で、区分は『乗物』とされている。末尾に「e:」が付くことから、二輪の新機種を想定したものである可能性がかなり高い。
●文:ヤングマシン編集部
1994年にリース販売された「CUV ES」の名を継ぐ流れか
ホンダが2023年12月6日に「CUV e:」という商標を出願していたことがわかった。この車名、中国で販売されているスーパーカブ似の電動モペッド「Honda Cub e:(ホンダ・カブ・イー)」に似ていることからカブ系を想像してしまう。日本で最も販売されたコミューターであるスーパーカブ、その電動版の登場は時間の問題とも思えるが、今回の場合はそれが当てはまるとも言えなそうだ。
中国で販売中の「Honda Cub e:」は、最高速度25km/h以下のEB=Electric Bicycleカテゴリー。足漕ぎ用のペダルも付いた電動自転車だ。
というのも、1994年3月に発売された「ホンダCUV ES(シーユーヴィ イーエス)」という車名のほうが、今回の商標への関連が強そうに思えるからだ。
ホンダが約30年前に発売したCUV ESは、当時の2ストロークスクーター「ディオ」をベースとした原付一種の電動スクーターで、車体価格85万円かつ官公庁や地方自治体に向けて200台限定のリース販売とされたもの。当時のミニマムトランスポーターとして、排気ガスを出さないクリーンで静かな乗り物のひとつとして開発された。
現在の電動スクーターと大きく異なるのは、バッテリーに当時主流だったニッケルカドミウムを採用していたこと。リチウムイオンの前に主流だったニッケル水素、さらにその前ということになる。外装はほとんどディオと同じデザイン(カラーグラフィックは専用)だが、車重はディオの68kgに対して130kgと倍近く、最新の電動スクーター「EM1 e:」の92kgと比較しても、最新のリチウムイオン電池がいかに高性能かを思い知らされる。
ちなみに、搭載するニッケルカドミウムバッテリー容量86.4V-20Ahで充電時間は最長8時間、1充電あたりの走行距離は30km/h定地走行テスト値で61kmだった。
そんなCUV ESに関連しそうな名称を与えられるCUV e:についてはまだ何の情報もないが、車名からはスクータータイプになる可能性がうかがえる。もちろんCub e:のようなタイプでも我々としては親しみやすいが……。続報はしばらく先になりそうだが、引き続き情報収集に努めたい。
参考:ホンダCUV ES[1994 model]
車体サイドに書かれた「電気スクーター」の文字が誇らしげ。プラグインを表現したイラストや環境対応を思わせる車体色は現代にも通じる?
【ホンダCUV ES】主要諸元■全長1785 全幅615 全高1035 軸距1265 シート高─(各mm) 車重130kg■直流ブラシレスモーター 定格出力0.58kW 最高出力3.3ps/3600rpm 最大トルク0.9kg-m/3200rpm バッテリー種類=ニッケル・カドミウム/12KR-20000M バッテリー電圧/容量 86.4V/20Ah ■ブレーキ前後=ドラム ■タイヤサイズF=80/100-10 R=90/90-10 ●当時価格:85万円(200台限定・リース販売のみ ●色:緑×白 ●発売日:1994年3月10日
ホンダCUV ES[1994 model]
ホンダCUV ES[1994 model]
ホンダCUV ES[1994 model]
ホンダCUV ES[1994 model]
ホンダ ディオは1988年に発売され、1990年にフルモデルチェンジ。写真は1993年12月1日に発売されたモデルで、ホンダCUV ESの外装はこの形をベースにしている。フロアボード下にバッテリーを積むCUV ESと厚みを見比べると違いがよくわかる。
ホンダ ディオは1988年に発売され、1990年にフルモデルチェンジ。写真は1993年12月1日に発売されたモデルで、ホンダCUV ESの外装はこの形をベースにしている。フロアボード下にバッテリーを積むCUV ESと厚みを見比べると違いがよくわかる。
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