
レブルや現行エリミネーターに繋がる、日本製アメリカン=ジャメリカン。実はかつてロードスポーツと双璧を成すほどのラインナップを誇ったジャンルだ。日本ならではの解釈で独自の進化を遂げた、懐かしのジャメリカン(の極一部)をご紹介!
●文:伊藤康司 ●写真:YM ARCHIVES
黎明期:ロードスポーツベースのジャメリカンが誕生!
アメリカで’70年代初頭から盛り上がった、カスタムやチョッパーのブーム。当時の日本や英国のスポーツ車もカスタムベースとして使われた。その気運に乗ってカワサキが北米でZ900LTDを発売。そして’70年代後半からの空前のバイクブームに合わせ、国内でもロードスポーツベースの和製アメリカンが続々登場!
‘80〜 HONDA 750 Custom Exclusive:豪華な4発アメリカン
ホンダ市販車初の4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載するCB750Kをベースに、ツートンのスペシャルペイントやブラウンのシート、ブラックの“裏コムスター”ホイールなど豪華な装備を奢る。
【HONDA 750 Custom Exclusive】■空冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 748cc 65ps 5.9kg-m
ボディカラーと合わせたパニアケースやトップケースもオプションで用意されていた。
‘78〜 YAMAHA XS650 Special:国産アメリカンの草分け
ヤマハ初の4ストロークバイク650XS‐1(‘70年)はXS650E→TX650と進化し、そこから派生したXS650スペシャルは、国内でアメリカンの元祖となったモデル。スタイルはもちろん、バーチカルツインの鼓動感溢れる乗り心地やサウンドが、アメリカンにマッチした。
【YAMAHA XS650 Special】■空冷4スト並列2気筒SOHC2バルブ 653cc 51ps 5.4kg-m
‘79〜 HONDA GL400 Custom:独創の縦置きVツイン
シリンダーを22度捻った縦型水冷80度VツインのOHV4バルブエンジンを搭載するロードスポーツのGL400をベースに、段付きシートやプルバックハンドルで本格的なホースバックライディングを実現。
【HONDA GL400 Custom】■水冷4ストV型2気筒OHV4バルブ 396cc 40ps 3.2kg-m
‘76〜 KAWASAKI Z900 LTD:コイツが元祖ジャメリカン!
名車Z1こと900スーパー4の後継モデルであるZ900[A4]がベースで、おそらく日本メーカーが作った最初のアメリカン。モーリス製キャストホイールにグッドイヤー製タイヤを履く。
【KAWASAKI Z900 LTD】■空冷4スト並列4気筒DOHC2バルブ 903cc 81ps 7.3kg-m
ハイパフォーマンス:ハイメカ投入でパワージャンキーも納得!
初期のジャメリカンはロードスポーツ車をベースに、段付きシートやプルバックハンドルなどで“それ風”に仕上げた車両が主流だった。ところがレース由来の水冷V4エンジンやターボなどのハイメカを投入した日本独自のハイパーアメリカンが誕生。極めつけがドラッグレースをイメージしたVMAXやエリミネーターだ。
‘82〜 HONDA VF750 Magna:ナナハン最強パワー!
RC30やRVFなどレースで大活躍したホンダのV4エンジンを最初に市販車に搭載したのがアメリカンのマグナ(及びツーリングスポーツのセイバー)。最高出力72psは当時のナナハン=国内モデルで最強。
【HONDA VF750 Magna】■水冷4ストV型4気筒DOHC4バルブ 748cc 72ps 6.1kg-m
‘83〜 HONDA CBX400 Custom:新時代の並列4気筒
大人気のCBX400Fがベース…ではなく、新設計の4気筒を搭載。48psの高出力はもちろん、油圧式バルブクリアランス・オートアジャスターや背面ジェネレーターなど新機構を投入。
【HONDA CBX400 Custom】■空冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 398cc 48ps 3.4kg-m
‘82〜 KAWASAKI Z750 Spectre:ゴージャスなシャフト車
Z750GPと同系の空冷4気筒(キャブレター仕様)を搭載。ゴールドにペイントしたシリンダーヘッドやサスペンションなど豪華な出で立ち。カワサキは輸出車にCSR(スポーク)/LTD(キャスト)/スペクター(シャフト駆動)を用意した。
【KAWASAKI Z750 Spectre】■空冷4スト並列4気筒DOHC2バルブ 738cc 70ps 6.0kg-m
‘81 YAMAHA XJ1100 Turbo:幻に消えたハイテクターボ車
‘81年東京モーターショーに出品された試作車。XS1100S系の空冷4気筒エンジンにFI仕様のターボチャージャーを装備し、最高出力は120psで、サイコムと呼ぶドライブコンピュータを装備。残念ながら市販化には至らず…。
【YAMAHA XJ1100 Turbo】
‘85〜 YAMAHA VMAX:ゼロヨン10秒台のドラッグスペシャル
ベンチャーローヤルの1198ccのV4エンジンをベースに、高回転時に1気筒当たりツインキャブレターに切り替わって怒涛の加速を生む“Vブーストシステム”を装備し、最高出力は当時の市販バイクで最強の145ps。’07年に登場した2代目VMAXは1679ccで200psを発揮。
【YAMAHA VMAX】■水冷4ストV型4気筒DOHC4バルブ 1198cc 145ps 12.4kg-m
‘85〜 KAWASAKI Eliminator series:元祖エリミネーターはドラッグレプリカ
GPZ900Rが搭載するカワサキ初の水冷DOHC4気筒16バルブエンジンを転用し、ドラッグイメージに仕上げた。国内はエリミネーター750やGPZ400Rのエンジンがベースの400も発売。エリミネーター250は初期の並列2気筒からVツインに移行。
【KAWASAKI Eliminator900】■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 908cc 115ps 8.7kg-m ※諸元は900
‘97〜 HONDA X4:CB1300のベース車
水冷1284cc4気筒は5000rpmで12.3kgmの強力な最大トルクを発揮。翌’98年発売のCB1300SFはX4がベースで、一般的な「ロードスポーツ→アメリカン派生」とは逆のパターン。
【HONDA X4】■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 1284cc 100ps 12.3kg-m
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
アメリカの野生動物や軍隊に由来する車名 「最強」「最速」そして「独自のルックス」をイメージするカワサキブランドのルーツといえば2ストロークマシンの怪物500SSマッハⅢと4ストローク4気筒キングZ1を[…]
燃料タンク部分に収納スペースと給油口はテールカウルの思いきった新しいデザイン! 1990年4月、スズキはいかにもエアロダイナミクスの良さそうなフルカバードボディの250cc4気筒をリリース。 最大の特[…]
ホンダCBR250RR(2021) 試乗レビュー 全方位にスペックアップした2021年モデル 2020年モデルからの変更箇所は多岐に渡る。 ピストン、ピストンリング、コンロッド、バランサーシャフト、バ[…]
2020年モデル概要:スタンダードモデルが堂々の復活 排ガス規制の影響により2016年7月発売のファイナルエディションで生産終了したW800が、W800ストリート/カフェとして復活したのは、2019年[…]
2003年モデル概要:MotoGP直系の先進技術を取り入れたSSとして登場 2003年当時、最先端のMotoGPマシンだった「RC211V」で培った先進技術とスタイリングを随所に取り入れ開発された。初[…]
最新の関連記事(カワサキ [KAWASAKI])
アメリカの野生動物や軍隊に由来する車名 「最強」「最速」そして「独自のルックス」をイメージするカワサキブランドのルーツといえば2ストロークマシンの怪物500SSマッハⅢと4ストローク4気筒キングZ1を[…]
2020年モデル概要:スタンダードモデルが堂々の復活 排ガス規制の影響により2016年7月発売のファイナルエディションで生産終了したW800が、W800ストリート/カフェとして復活したのは、2019年[…]
ライトウェイト&ハイパワーな400が装いを新たにした 2022年モデルの発売は、2021年9月10日(一部カラーは10月15日)。並列2気筒エンジンを採用し、ニンジャ250とほぼ共通の167kgの軽量[…]
スリップオンながら純正マフラーから2馬力UP! 本製品は、トリックスターがこれまでレースで培ったすべてを集約し具現化したブランド最高性能サイレンサー「IKAZUCHI」を採用。オールチタンにて構成する[…]
カワサキW800(2022) 試乗レビュー カワサキW800(2022) 概要 ■全長2190 全高1075 軸距1465 シート高790(各mm) 車重226kg ■水冷4スト2気筒SOHC4バルブ[…]
人気記事ランキング(全体)
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
インフレの今、価格破壊王のワークマンがまたやってくれた! 春から初夏にかけ、ツーリングのシーズンがやってきた。爽やかな空気を全身に浴びてのライディングは最高だ。しかし…この期間はジメジメ・シトシトの梅[…]
その姿、まるでGB400TT MkIIの正統後継者! 欧州ホンダは、2025年も例年通りカスタムコンテスを開催。これは正規ディーラーがホンダ車をベースにカスタムを手がけ、オンライン投票で最優秀マシンを[…]
圧倒的に軽いCB1000Fコンセプト。足着き性も良好だ CB1000FコンセプトをCB1300スーパーフォアと比較すると、前者の方がコンパクトで引き起こしも圧倒的にラク。ただ跨ってみると意外と大柄な印[…]
フェイスリフトと前後サスペンションの再設定 ホンダが「XL750トランザルプ」の国内2025年モデルを発売する。CB750ホーネットに似た2眼ヘッドライトを新たに採用し、センターダクトを設けたウインド[…]
最新の投稿記事(全体)
Street VWs Jamboreeの概要 フォルクスワーゲンの祭典、Street VWs Jamboree 2025が6月1日に開催されます。 概要についてはこちらの記事に詳しくまとめてありますの[…]
アメリカの野生動物や軍隊に由来する車名 「最強」「最速」そして「独自のルックス」をイメージするカワサキブランドのルーツといえば2ストロークマシンの怪物500SSマッハⅢと4ストローク4気筒キングZ1を[…]
燃料タンク部分に収納スペースと給油口はテールカウルの思いきった新しいデザイン! 1990年4月、スズキはいかにもエアロダイナミクスの良さそうなフルカバードボディの250cc4気筒をリリース。 最大の特[…]
ツーリングの目的地としても楽しめる「日本の峠」たち ツーリングの醍醐味にはいろいろあるが、バイクならではの「五感で感じる風景」や「季節の移ろい」を楽しむことも大きな魅力。 山/海/川/田園風景など、走[…]
◆今回のPRO解説者:以前にはネオクラ車の解説記事もお願いしたバイクデザインのプロフェッショナル。1980年代前半に某社に入社したベテランで、オンロード系をメインに排気量の大小を問わずさまざまな機種を[…]