ホンダは、2023年11月にイタリアで開催されたEICMA(ミラノショー)にて、ヨーロッパ向けの2024年モーターサイクルラインアップを発表。ヤングマシンがスクープしたように、この中にはホンダ欧州ネイキッドスポーツの新たな旗艦となる「CB1000ホーネット」も含まれていた。詳細スペックは未発表だが、現在までに判明していることをお伝えしよう!
●文:ヤングマシン編集部(田宮徹)
やはり伝統のモノバックボーンフレームは捨ててきた
そのアグレッシブな雰囲気と引き締まったウエストは、「ホーネット(=スズメバチ)」こそ名乗らなかったが、実質的なCB900ホーネットの後継だった、2008~2017年型の初代CB1000Rをどことなく感じさせる。このCB1000Rは2018年型で2代目となり、ホンダネオスポーツカフェシリーズの頂点として日本でも正規ラインアップ。そして2024年、ホンダは欧州向けネイキッドスポーツのフラッグシップとなってきたこのCB1000Rをフルモデルチェンジして、「CB1000ホーネット」として新たに展開する。
ホーネットの車名は、2023年モデルとして導入された755cc水冷並列2気筒エンジンのCB750ホーネットで復活され、2024年モデルとしては471cc水冷並列2気筒のCB500ホーネットも追加されるが、CB1000ホーネットはそんな新生スズメバチ一家の女王蜂になるのにふさわしい、攻撃的なシルエットと刺激的なスペックが与えられている。
かつてのホーネットシリーズあるいはCB1000Rは、スチール製またはアルミ製のモノバックボーンフレームを採用してきたが、新型CB1000ホーネットは近年のスポーツバイクではよりオーソドックスなツインスパー型を選択。シートレールまで一体化されたスチール製となっている。
最終型CBR1000RRベースのエンジンを搭載
従来型CB1000Rのエンジンは、2008年型で新登場した初代CB1000R用に改良を加えたもので、そのルーツは2007年以前のCBR1000RR(SC57)。これに対して新型CB1000ホーネットは、2017年型CBR1000RR(SC77)に搭載されていた999cc水冷並列4気筒エンジンがベースとなっている。
2017年型のCBR1000RRは192馬力/11.6kgf-mを誇っており、当然ながらCB1000ホーネットの最高出力にも注目が集まった……のだが、まるで肩透かしを食らわせるかのように、ホンダからの発表は「110kW以上の最高出力と100Nm以上の最大トルク」というものだった。これを換算すると、最高出力は150馬力以上、最大トルクは10.2kgf-mということになるが、どの程度この数字を超えてくるのか、正確なスペックは後日発表を待ちたい。
このパワーユニットにはスロットルバイワイヤが使われ、3タイプのプリセットライディングモード/ホンダセレクタブルトルクコントロール(=トラクションコントロール)/アシスト&スリッパークラッチが使われている。エキゾーストシステムは4-2-1集合形式で、マフラーデザインも極めてオーソドックスだ。
より軽快なコーナリング特性を狙っていると予想
車体は、前述のスチール製ツインスパーフレームに、倒立フロントフォークとアルミ製スイングアーム&リヤモノショックを組み合わせる。前後サスペンションはショーワ(日立アステモ)製で、フロントフォークがフルアジャスタブルのSFF-BP仕様なのは従来型CB1000Rと同様。スイングアームは、CB1000Rの片持ち式から、CB1000ホーネットは両持ち式となった。リヤサスはプロリンク式だ。またフロントブレーキは、CB1000Rと同じく310mm径ディスクにラジアルマウント4ポットキャリパーの組み合わせながら、キャリパーメーカーがトキコからニッシンとなっている。
すでに発表されているスペックのうち、気になったのはタイヤサイズ。フロントは120/70ZR17でこれまでと同じだが、リヤタイヤは180/55ZR17にワンサイズ細くなった。このことからも、無暗にパワー&トルクを上げることはせず、公道走行に最適な軽快に操縦できるスポーツ性が重視された仕様であることが推察できる。
性能や装備でその他に公表されているのは、スマートフォン連携機能を備えた5インチTFTフルカラーディスプレイを採用していることぐらい。こちらも、従来型CB1000Rですでに同様のアイテムを導入しており、目新しい内容ではない。
欧州の2024年カラーは3タイプ展開
2024年の欧州仕様CB1000ホーネットには、グランプリレッド/マットイリジウムグレイメタリック/パールグレアホワイトの車体色が用意される。全体的にはシンプルかつピュアにまとめられているが、鋭さを演出するデュアルLEDプロジェクターヘッドライトや、羽根を前方に折り畳んだホーネットシグネチャーを取り入れた燃料タンクデザインが目を引く。
従来型CB1000Rと比べれば、デザインと車体構成ともにスポーツネイキッドのスタンダード路線。かつてのホーネットみたいな奇抜さや従来型CB1000Rほどの個性はないが、多様なライダーの好みにマッチする現代ストリートファイターの王道パッケージだ!
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