
SHOEIは、システムヘルメットの第3世代となる『NEOTEC3』を新発売する。フルモデルチェンジにより快適性と安全性が大幅に向上した。ヨーロッパではすでに発売中だが、国内の発売予定は’23年12月となっている。
●文:ヤングマシン編集部(山下剛) ●外部リンク:SHOEI
フルモデルチェンジで快適性と利便性が大幅に進化した第3世代
ネオテックはSHOEI初のシステムヘルメットで、日本にシステムヘルメットを浸透させた先駆的ヘルメットだ。システムヘルメットの特徴は、フルフェイス並みの安全性を確保しつつ、フリップアップできるチンガードを備えることでジェットヘルメット(オープンフェイス)のような利便性も併せ持つことだ。街乗りはもちろんだが、とくにツーリングで重宝する機能を満載しており、快適性と利便性に優れるヘルメットだ。
走行状態ではフルフェイスヘルメットと同様の安全性を確保。
そんなシステムヘルメットの第3世代となる『ネオテック3』は、いったいどのように進化したのか。ディテールをひとつずつ見ていこう。
ヘルメット形状は従来モデルよりもシャープになっている。フェイスカバー(チンガード)などの可動部とシェルとの接合部は、段差のないシームレスな構造で、風洞実験や実走行の検証によってたどり着いたこの形状によって密閉性が向上した。外観の美しさだけでなく、空力性能も高められている。
帽体にはSHOEIで最高の安全性を誇り、フラッグシップモデル『X-Fifteen』にも採用する『AIM+』を用い、軽量ながら剛性と弾性に優れる。
システムヘルメット最大の特徴であるフェイスカバーの開閉は、中央部に設けられたロックレバーによって行い、2段階で固定できるシステムも合わせて従来モデルより継承。フェイスカバーを開けたまま荷物の積み下ろしなどをしても、フェイスカバーが閉じない強固なロック機構だ。全閉時のロック機構には金属を採用し、シェル側のピンを全包囲する360度ピボットロッキングシステムは転倒の際にフェイスカバーが開いてしまう事態を防ぐ。フェイスカバーの扱いやすさには従来モデルから定評があり、赤いロックレバーは外観上のアクセントにもなっている。
フリップアップすることでオープンフェイス的な使い勝手を実現。歪みのない内蔵式サンバイザーは従来よりも5mm延長された。写真は専用設計コミュニケーションシステムを装着したイメージだ。
システムヘルメットのもうひとつの特徴である内蔵式サンバイザーは、『QSV-2サンバイザー』を新たに採用。従来より5mm延長したことでより広範囲にわたって直射日光を遮る。また、欧州サングラス規格に匹敵する品質で、歪みのない良好な視界を確保している。開閉機構には強靭なワイヤーを用いており、操作はスムーズで快適だ。
ベンチレーションの吸気部は額と顎にあり、ヘルメット内部の空気を効率的に排気する。とくに顎(フェイスガード)に設けられた吸気口は、シールドの曇りを防ぐデフロスターに加えて、付属する新設計ブレスガードを装着することでフレッシュエアの一部を口元へ流ため、息苦しさを軽減してくれる。また、デフロスターにはフィルターを備えているので、走行風に紛れるゴミや虫などの侵入を防ぐ。もちろんフィルターは取り外して洗浄できるから清潔な状態を保てる。
内装システムはネオテック3専用の新設計で、チークパッドを後方側へ延長したことで首まわりとの隙間を小さくして風の侵入を軽減。また、チークパッドと頬が当たる面積が拡がったことで、ホールド性とフィット性を高めている。センターパッドにはポケットを設け、オプションの調整用パッドを入れればフィッティングを微調整できる。もちろん着脱式で洗濯でき、吸水速乾性に優れる素材と起毛生地を適材適所に配しているから被り心地は快適だ。
シールドには歪みのない視界と優れた剛性を持つ『CNS-3C』(従来のCNS-3からセンターロック式に変更)を新規採用。高剛性のシールドは開閉時にたわまないため操作しやすい。センターロック式は全閉時の密閉性を高めて静粛性に貢献するほか、微開状態でシールドを保持することも可能で、ヘルメット内部をすばやく換気できる。防曇効果に長ける『DRYLENS』に対応しているので、雨天時や低気温時も安心だ。
しっかりした締結力と耐久性を発揮するステンレス製のマイクロラチェット機構を採用。グローブをしたままでも操作しやすい。
あご紐には、新開発のマイクロラエチェットチンストラップを採用。従来どおりステンレス製で耐久性を確保しつつ、さらに小型軽量化することで扱いやすく進化している。ストラップ部には高強力・高弾性の高機能繊維を編み込んでおり、強度を確保しながら従来よりもスリムになって装着感が向上した。
ネオテック2から採用されたコミュニケーションシステム(インカム)装着機構も、従来よりもコンパクトになった。このためインカム装着時の空力性能が高まったほか、ヘルメットとインカムがより調和するようになった。また、ヘルメットにインカムを装着したままバッテリー充電が可能となっている。インカムはSENA社SRL3などが装着可能だ。
左はブレスガード取り付け時の風の流れ。右の上下段はデフロスターフィルターの開/閉状態だ。
カラーバリエーションは、ルミナスホワイトやブラックなどオーソドックスなソリッドカラーを7色展開。海外では3パターンのグラフィックモデルもラインナップされているので、こちらも順次国内展開されるだろう。
信号待ちでフェイスカバーを上げて開放感を得たり、ヘルメットを被ったまま買い物を済ませられたりと、システムヘルメットの利便性は日常使いからロングツーリングまで幅広いシチュエーションで発揮される。快適性と利便性が大きく進化したネオテック3は、ツーリングをより楽しく、ゆとりある日々にしてくれる。
SHOEI NEOTEC3
●価格:7万9200円 ●サイズ:S(55cm)、M(57cm)、L(59cm)、XL(61cm)、XXL(63cm) ●色:白、黒、つや消し黒、つや消し濃灰、濃銀、銀、つや消し青 ●規格:JIS ●構造:AIM+(Advanced Integrated Matrix Plus Multi-FIber) ●付属品:布袋、ブレスガード、シリコンオイル、防曇シート、SHOEIロゴステッカー、サービスツール、スペア防曇シート用ピン ●2023年12月発売予定
ネオテック3 カラーバリエーション
マットブルーメタリック
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