ハーレーダビッドソンは、中国向けにリリースした並列2気筒エンジン搭載のブランニューモデル「X350」および「X500」をグローバル展開する模様だ。というのも、オーストラリアへの正式導入が発表されたのだ。そして日本においても「廉価なモデルの検討」についてハーレーダビッドソンジャパン社長が言及している!
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:Harley-Davidson Australia
日本ではX350の導入が検討されている模様
ハーレーダビッドソンのブランニューモデルとして中間排気量のマシンが複数登場し、海外を賑わしている。このところ2輪市場が活気づいている中国ではQJモーターサイクルとのコラボレーションで、ベネリのマシンとベースを共有する「X350」および「X500」を開発、そしてインドでは440ccの空冷シングルエンジンを搭載した「X440」をヒーローモトコープとのコラボレーションで発表している。
いずれも、ハーレーならではのスタイリングを体現しながらリーズナブルな価格設定としており、ハーレーブランドへの入門バイクに位置付けられている。
これら3車のうち、中国生産の「X350」および「X500」がオーストラリア市場に正式導入されることがわかった。豪州の公式HPで発表されたもので、カラーバリエーションは2車ともに4色となって中国仕様よりも1色多くなっているのが特徴だ。
X350は、ハーレーダビッドソンジャパンが1970年代から40年以上にわたってフラットトラックレースで活躍したXR750をセルフオマージュしたかのようなスポーティなデザインが特徴で、豪州価格は8495豪ドル(日本円換算約79万9000円)。エンジンは水冷353ccの並列2気筒で、中国仕様よりも詳細なスペックが公開されている。最高出力は36ps/9500rpm、最大トルクは3.16kg-m/7000rpmだ。
灯火類はフルLED、φ41mm倒立フロントフォークを採用し、フロントブレーキにはウェーブタイプのダブルディスクを奢る。さらに、シート高が中国仕様よりも817→777mmと40mm低くなっており、さらに街乗りしやすい車体になっていることがうかがえる。
そしてX500は、X350よりも丸っこく落ち着いたデザインが特徴となっており、搭載する並列2気筒エンジンはショートストローク(70.5×45.2mm)のX350に対し、スクエアに近い設定の69×66.8mm。こちらは最高出力47ps/8500rpm、最大トルク4.69kg-m/6000rpmを発生する。強化された低回転トルクで余裕の走りを実現し、倒立フロントフォークは極太のインナーチューブφ50mm、フロントにラジアルマウントキャリパー、フルLED灯火類など装備も充実。こちらは1万1495豪ドル(約108万2000円)だ。
このうち日本に導入される可能性が高そうなのはX350のほうだろう。普通二輪免許で運転でき、デザインも日本人好みのXR750系。リーズナブルな価格は入門バイクとして最適だ。そして見逃せないのは、ハーレーダビッドソンジャパンの野田社長が「廉価なモデルの検討」に言及していることだ。
さて、X350が日本に導入された場合の価格を占うために、すでに販売されているマシンの日豪における価格比を適用してみたい。たとえばナイトスタースペシャルは、豪州で2万5995豪ドル(約244万6000円)となっており、日本仕様価格の237万3800円の1.03倍ほど。この係数をX350の8495豪ドル(約79万9000円)に掛け合わせると、日本仕様は77万6000円ほどになると想定できる。80万円を切るなら、確かにハーレーのラインナップで欠けていた入門モデルにふさわしいだろう。
ただし、強敵になりそうなトライアンフ「スピード400」は70万円切りの可能性を残し、販売中のロイヤルエンフィールド「クラシック350」の69万4100円~、そしてホンダ「GB350」は56万1000円など、ライバル勢との戦国時代も予感させる。ここではぜひとも競争力のある価格を期待したいところだが……。
待て、続報!
X350 & X500 のスペック
車名 | X350 | X500 |
全長×全幅×全高 | 2110×──×──mm | 2135×──×──mm |
軸距 | 1410mm | 1485mm |
最低地上高 | 143mm | 153mm |
キャスター/トレール | 24.8°/140mm | 24.5°/100.4mm |
シート高 | 777mm | 820mm |
装備重量 | 195kg(乾燥重量180kg) | 208kg(乾燥重量199kg) |
エンジン型式 | 水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ | ← |
総排気量 | 353cc | 500cc |
内径×行程 | 70.5×45.2mm | 69.0×66.8mm |
圧縮比 | 11.9:1 | 11.5:1 |
最高出力 | 36.7ps/9500rpm | 47ps/8500rpm |
最大トルク | 3.16kg-m/7000rpm | 4.69kg-m/6000rpm |
変速機 | 常時噛合式6段リターン | ← |
燃料タンク容量 | 13.5L | 13.1L |
WMTCモード燃費 | 20.2km/L | 20.6km/L |
タイヤサイズ前 | 120/70ZR17 | ← |
タイヤサイズ後 | 160/60ZR17 | ← |
ブレーキ前 | 油圧式ダブルディスク | ← |
ブレーキ後 | 油圧式ディスク | ← |
価格 | 8495豪ドル | 1万1495豪ドル |
HARLEY-DAVIDSON X350[2023 Australia model]
HARLEY DAVIDSON X500[2023 Australia model]
X350 ディテール写真
X500 ディテール写真
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
ハーレーダビッドソン「X440」の写真をまとめて見る(全26点) 350ccのライバル勢に対し440ccシングルで対抗 ハーレーダビッドソンのブランニューモデル「X440」がインドで発表された! エン[…]
ポテンシャルの高さはこんなものじゃない。課された使命は年間2万台だと思っている HDJは昨年、'17年以来の販売台数1万台超えを記録しV字回復を成し遂げた。さらに、今年はハーレーダビッドソン(以下H-[…]
ホンダ「GB350/S」2023年モデルの写真をまとめて見る GB350はマットパールグレアホワイト、GB350Sはプコブルーを追加! 2022年にクラストップの販売台数を記録し、供給が追い付かないこ[…]
最新の関連記事(ハーレーダビッドソン)
ハイパワーだけでなく、本来持つテイスティさを損なわず、より“らしさ”を強調するストロークアップ エンジンを強化する際、排気量アップが効果的なのはたやすくイメージできるだろう。ハーレーダビッドソンはエボ[…]
ベテランカメラマンに「これはアートだ」と言わしめる流麗なフォルム リヤタイヤが路面を蹴り飛ばすかのような、豪快で胸の空く加速フィールはスタートダッシュだけではなく、速度レンジが上がってからもまだまだ続[…]
TRIJYA(トライジャ):カフェレーサースタイルのX500 パンアメリカやナイトスターなど水冷ハーレーのカスタムにも力を入れているトライジャ。以前の記事では同社のX350カスタム車を掲載したが、今回[…]
デイトナを制した伝説のマシンが代官山に出現! 日本が世界に誇るサンダンスハーレーのレーシングマシン「Daytona Weapon I」と「Daytona Weapon II」が、代官山蔦屋書店(東京都[…]
リグニスによるカスタムコンプリートのニューモデル『フリスコスタイル』とは 「これこれっ、これなんだよなぁ」と、エボリューションVツインを知る人はもちろん、もしかしたらハーレーダビッドソンに乗ったことが[…]
最新の関連記事(新型小型二輪 [251〜400cc])
2018 カワサキ ニンジャ400:250と共通設計としたことでツアラーから変貌(2018年8月30日公開記事より) 2018年型でフルモデルチェンジを敢行した際、従来の650共通ではなく250共通設[…]
プロトは国内導入を前のめりに検討中! イタリアで1911年に誕生し、現在は中国QJグループの傘下にあるベネリは、Designed in Italyの個性的なモデルをラインナップすることで知られている。[…]
2018 カワサキ ニンジャ250:電スロなしで全域をカバー/限界性能もアップ(ヤングマシン2018年1月号より) 伸び上がる! レッドゾーン以降もキッチリ回り、従来型より明確に高回転パワーがアップし[…]
オンロードでも安心感ある良好なコーナリング特性 2024年4月に、従来型の400Xがモデルチェンジされ、同時に車名も変更されてデビューしたのがNX400ですが、そのスタイリングにはラリーマシンのテイス[…]
R750スタイルでフレンドリーなサイズ感と価格を実現したX350に新色 1970年代初頭から40年以上にわたってフラットトラックレースで活躍してきた伝説のマシン XR750をオマージュした「X350」[…]
人気記事ランキング(全体)
アッパーカウルはフランスで882.5ユーロ 1980年代のGSX1100S KATANAをモチーフにしたスペシャルモデルを製作することは、S2コンセプトのスタッフが何年も温めていたアイデアだった。それ[…]
【’09VMAX開発秘話】2リッター「音魂(オトダマ)」は失敗だった 新VMAXの開発には実に十数年の歳月が費やされた。このプロジェクトを長い間推し進めてきた中心人物は開発の経緯をおよそ次のように語る[…]
ライトグレーのボディにライトブルーのホイールが新鮮! ヤマハが「MT-25」の2025年モデルをインドネシアで世界初公開した。欧州で発表済みの兄弟モデル・MT-03に準じたモデルチェンジ内容で、現地価[…]
従来は縦2連だったメーターが横2連配置に ヤマハは、2004年に欧州で誕生し、2017年より日本を含むアジア市場へ(250として)導入されたスポーツスクーター「XMAX」の2025年モデルを欧州および[…]
欧州&北米で昨秋登場した新型YZF-R3の250cc版 ヤマハはインドネシアで新型「YZF-R25」を発表した。2024年10月に欧州&北米で登場した新型YZF-R3と同様のモデルチェンジ内容とした2[…]
最新の投稿記事(全体)
西日本のバイク用品店4店舗にて開催! 2025年シーズンにおいて、Hondaのマシンの開発をしながら、Moto GPにスポット参戦するMotoGPライダー中上貴晶選手のサイン会が、アライヘルメットプレ[…]
先日、バイク好きな友人と車でドライブしているときに(私は助手席だけれど…)ライダー同士がすれ違う際に、ピースをしあっている光景を見た。なんだか楽しそうなことしてるなーと思い、「あれって、車に乗ってる俺[…]
スパナプライヤー:刻みのないジョーが平行にスライド。スパナのように使えるプライヤー ストレートのスパナプライヤーは、細部の形状や仕上げは異なるものの、ヒンジの仕組みや特徴はクニペックスのプライヤーレン[…]
ハイパワーだけでなく、本来持つテイスティさを損なわず、より“らしさ”を強調するストロークアップ エンジンを強化する際、排気量アップが効果的なのはたやすくイメージできるだろう。ハーレーダビッドソンはエボ[…]
直線基調の斬新スタイルへの挑戦 「デザインの源流はバック・トゥ・ザ・フューチャー」 好みにカスタムしたバイクで行きつけのカフェに向かい、日がな一日、気の合う仲間とバイクを眺め、バイク談義に耽る。 その[…]
- 1
- 2